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山菅利彦
YAMASUGE TOSHIHIKO

山菅利彦

株式会社エージェント・スミス 代表取締役

コーチング・ソリューションで、
スポーツ文化を変革する。
企業の業務課題を解決に導くIT企業、エージェント・スミス。多様な業種のクライアントの事業を分析し、改善の糸口を見つけ出す確かな手腕が評価されている。そんな同社が新たな事業として狙いを定めたのは、意外にも「ゴルフ」。2019年にゴルフスクール『Five elements(ファイブ・エレメンツ)』を設立し、スコアアップのための科学的、体系的な指導メソッドを提供。本気で上達を目指すプレーヤーから熱い視線を浴びている。
山菅利彦
スコアアップの「5つの要素」とは?

エージェント・スミスが『Five elements』で提供するのは、ゴルフのスコアアップのためのソリューション。ビジネス上の課題と同じように、ゴルフにも一見して発見できないボトルネックが隠れているものだ。

例えば、多くのプレーヤーが行うスタジオやドライビングレンジでの練習。その場では技術の向上を感じたものの、いざコースに立つと練習で確かめたフォームが無残に崩れてしまう。アドレスの際、自分がどの方向を向いているか、分からなくなることもある。

同社の代表取締役を務める山菅利彦氏は、こういった現象に多くのプレーヤーが悩まされる理由についてこう説明する。
「ゴルフは、多くの要素が不可分に組み合わさった競技です。しかし日本において、一般のプレーヤーがアクセスできる多くのゴルフスクールでは、ゴルフがもつ要素を総合し、体系立てて指導されていないことに大きな問題があります」

『Five elements』の大きな特徴は、社名に表れるように、ゴルフ上達の要素を5つに分解し、関連付けてコーチすることだ。

まず『スイング・メソッド』では、ショットの飛距離や方向性、再現性を向上。『フィジカルコンディショニング』では、プレーヤーの身体的特徴を分析し、ゴルフで必要となる筋力や運動神経を養成する。『ストラテジー&マネジメント』は実際のコースで、コースレイアウトと自身の実力に適した戦略ルートを組み立てる。『メンタルトレーニング』では、ゴルフにおいて極めて重要になる“心”に焦点を当て指導。そして最後に『エキップメント・フィッティング』では、プレーヤーの体力や技能に最適なクラブ選びを科学的にサポートしていく。

レッスンはプレーヤーごとにカスタマイズされ、ブースレッスンとコースでのラウンドレッスンを組み合わせて提案。5つの要素それぞれを担当するコーチ陣が、いわばプレーヤーの上達を目指す「チーム」となり、課題と毎回のレッスンでの進捗具合を共有、次の指導にフィードバックしていく仕組みだ。

「初心者からプロレベルの方、ジュニアから高齢の方、男性も女性も参加いただいており、その人に合った練習法を指導しています。最初のカウンセリングや数回の体験だけで、ほかのスクールとの違いがお分かりいただけると思います」と山菅氏も自信を示す。

山菅利彦
理想の指導体制にはコーチ人材の育成が急務

自らも30年以上のゴルフ歴をもち、アマチュアプレーヤーとして多数の競技を経験、技術向上や理論の研究に取り組んできた山菅氏。巷のゴルフ練習法、またスクールなどの指導法に疑問をもち続けてきた一人でもある。

「ゴルフアカデミーを運営する構想は10年ほど前から温めていたのですが、元々『私が入りたくなるようなアカデミーを創る』というのが一番の動機だったんです」と語る。

2019年の開業後、ほどなく常に予約が埋まるほどの反響を呼んだ『Five elements』。当初2人だった所属コーチは、1年弱の間にコースプロとスタジオで教えるコーチを合わせ10人以上に増員。提供できるレッスンの絶対数が増え、2020年4月には都内に二拠点目となるスタジオを構えた。

『Five elements』のレッスンの充実には、もう一人のキーパーソンの存在がある。それは、2019年12月にCTO(チーフ・テクニカル・オフィサー)に就任、カリキュラム全体の監修を務める、プロゴルファー矢野東氏だ。

山菅氏は、矢野氏と長年の交流の中で、ゴルフの指導を変革するという方向性で一致するとともに、現役選手としてひたむきに技術向上を目指す姿勢にも共感。コーチ陣の理論的・精神的支柱となるCTOを得て、指導内容はさらに厚みを増すことになった。

気になるのは、全国展開を含めた事業拡大だが、そのために重要なのは一にも二にも人材だと語る。コーチの人選と育成に妥協はない。
「プレーヤーとしての実力があっても、教えることにプロレベルであるかどうかは別の問題です。 事業拡大は検討していますが、指導のクオリティを保つことが前提となります。教えるノウハウを自社に蓄積し、優れた指導者を数多く育成していきたい。これは、アスリートのセカンドキャリアの創出という意味でも意義のあることだと考えています」

プレーヤーからの「自分が求めていた練習法に出会えた」という共感の声、「短期間でスコアが上がった」という成果報告を聞くことが喜びだという山菅氏。最後に聞いたのは、その「先」に見据えるものだ。

「日本のティーチング・コーチングの分野はまだまだ認識が遅れていると思っています。私たちが作り上げたソリューションを伝播、普及させ、日本におけるゴルファー育成に一石を投じていきたいと考えています」
『Five elements』を通じた独創的なソリューションに今後も期待したい。

山菅利彦

株式会社エージェント・スミス 代表取締役
https://five-elements.tokyo/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。