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土谷 泰平
TSUCHIYA TAIHEI

土谷 泰平

株式会社Venture Bank Next 代表取締役社長

スピード感のある出店によって全国展開を果たし、
ピラティス業界No. 1を目指す。
マシンピラティスとファンクショナルトレーニングを組み合わせた、サーキット形式のボディメイクスタジオ「URBAN CLASSIC PILATES」を展開し、2020年の設立以来、急成長を遂げている株式会社Venture Bank Next。同社を牽引する土谷泰平代表取締役社長のバックグラウンドを紹介しよう。
土谷 泰平
プロダンサーの夢をあきらめインストラクターに。

株式会社Venture Bank Next代表取締役社長、土谷泰平氏のかつての夢は、プロダンサーになることだった。「高校生時代にダンスをはじめ、大学を中退して札幌でバイトをしながらクラブでイベントを開催したりしていました」
2007年からはフィットネスクラブでインストラクターをしながらダンスを続け、11年にはダンスバトルの北海道大会のHIP HOP部門で優勝。しかし全国大会出場を決めたその翌日に悲劇に見舞われる。
「交通事故で意識不明の重体になって半年入院しましたが、右膝が曲がらなくなってしまい、ダンスはもうできないと思いました。今でも、正座はできないんですよ」

そんな土谷氏は、ダンスのインストラクターを退き、神奈川のフィットネスクラブに異動することになった。
本格的にフィットネスのインストラクターを目指すことにした土谷氏は、業界について知るにつれて、店舗運営に興味が湧き、おもしろさを感じていった。興味をもったものについて、徹底的に勉強して覚えるのが得意だと言う土谷氏。
ダンスイベントを主催していたころに独学で学んだ、画像や動画の編集スキルを活かし、ポスターやチラシの制作なども手がけていたと言う。

「13年に関東の店舗が撤退になったのですが、もう戻る気はありませんでした。もっと大きな会社で働きたいと思って、フィットネスクラブやホットヨガスタジオを展開して急成長している会社に転職しました」
そして都内の店舗で働き出した土谷氏。すぐに他店舗の仕事も任されるようになり、通常は数年かかるところを、入社1年でマネージャーに昇格。広告、採用から施工に至るまで、店舗運営と出店に関わることすべてに携わるようになった。3年目には部長に昇格し、手がけた新店舗はことごとく成功したが、このころにはさらにステップアップしたいという思いも抱くようになっていた。

そこで18年に、ベンチャーバンクグループの中核企業であり、ホットヨガスタジオ「LAVA」を全国に展開するLAVA Internationalに転職した。
「ベンチャーバンクグループでは次々と事業会社を立ち上げていて、“暗闇フィットネス”で有名な『FEEL CYCLE』の運営会社を分社化していることを知っていたので、自分も新規事業を立ち上げて社長になりたいと思って入社しました」
ところが土谷氏に与えられたのは、九州地区のスーパーバイザーとしてインストラクター達を指導管理する業務。
「こんなことをしていて何になるのかと思って、退職を申し出ました。するとその数日後、知らない番号から電話がありました」

土谷 泰平
事業において重要なことを学んだ会長秘書の2年間。

電話の主は、ベンチャーバンクグループ会長の鷲見貴彦氏。
「こちらの話は聞かずに一方的に話し始めて、『経営者になりたいなら、私の秘書になりなさい。私があなたを経営者に育てます』と仰るんですよ。思わず二つ返事で了承していました」
こうして19年4月から、会長秘書となった土谷氏。
「スケジュール管理から、資料作成、出張手配、プレゼントの手配まで何でもやりましたが、あの2年間は、私の人生に大きな影響を与えてくれました。秘書と言っても直接お話する機会は多くはないのですが、隙間のような時間ができると『こういう事業を考えているのですがどうですか?』と意見を伺ったりしていました。企画の内容が薄いと相手にしてくれないのですが、反応があったときは大事なことを教えていただきました」

「URBAN CLASSIC PILATES」も、鷲見会長からの助言が大きなヒントとなったと土谷氏は語る。「フィットネス中心という方向性は決めていたのですが、会長が『こんなのもあるよ』と、グループレッスンでないサーキット形式のピラティスを紹介してくれたんです。それを見て『これだ』と思いました。そして企画が固まると、会長が『年1回のグループ全体の会議で、ゼロから事業をスタートする制度を発表するから、それに立候補すればいい』と言ってくださいました。今では『いきなり社長制度』という名前がついていますが、この制度は自分のためにつくってくれたようなものだと思っています」

そして社内での厳しい審査を3回目でクリアすると、20年12月11日、土谷氏は株式会社Venture Bank Nextを設立し、同社の社長に就任した。事業展開において土谷氏が大切にしていることは、スピード感のある出店。これも「ビジネスではスピードも差別化になる」という鷲見会長の言葉がヒントとなっていると言う。21年3月に東京・浅草に出店した出店した1号店を皮切りに、23年12月現在ではすでに32店舗を展開。首都圏が中心だが、24年からは全国展開していく予定だ。
「設立時にとりあえず100店舗を目標にしましたが、24年期に50店舗出店することはもう決まっているので、ペースを考えれば25年早々には達成できそうです」

これまでは土谷氏が過去に培ってきた現場の集客やオペレーションのテクニックをベースに、各店舗に合わせて最適化を図ってきたが、全国展開に当たっては会社全体でノウハウを共有する仕組みを構築していくそうだ。「業界No. 1を目指し、グループの知名度を上げることで、鷲見会長に恩返ししたい」と語る土谷氏。24年1月からはパーソナルトレーニングの新ブランド「BREST」も立ち上げる。
「横展開を行って、Venture Bank Next自体もグループにしていきたい。インキュベーションこそベンチャーバンクですから。自分がそうだったように、インストラクターからでも運営を経て経営者になれる環境をつくりたいですね」と言う土谷氏の挑戦はとどまるところを知らない。

土谷 泰平

株式会社Venture Bank Next 代表取締役社長
https://urbanclassic.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。