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鳥越 勝行
TORIGOE MASAYUKI

鳥越 勝行

健康塾クリニック 院長

一人ひとりの患者に寄り添った医療で
人々の幸福度が最優先される社会を目指す
愛知県小牧市で2020年10月に開院した健康塾クリニック。地域の人々に“かかりつけ医”として頼られ、近隣のみならず遠方からも訪れる多くの患者たちに愛される。開院から僅か2年で地域に根ざした人気のクリニックを築き上げた院長の鳥越勝行氏に、医師としての矜持や今後の展望を聞いた。
鳥越 勝行
画像はイメージです。
大手自動車メーカーから医師の道へ

鳥越氏は大学卒業後、大手自動車メーカーにシステムエンジニアとして就職。当時は深夜までの残業や休日出勤が当たり前のうえ、会社の方針で膨大な業務知識などを学ぶ必要もあった。多忙を極める日々によぎったのが、「これだけ必死で働くならもっと広く社会の役に立つ勉強をしたい」という思い。

「二人の兄弟が医師となる道を選んでいたこともあり、3年で会社を退社して医大に入り直すことにしたのです」
そうして入学した名古屋大学医学部を卒業後は、県の中核病院などで研修を積み、同大学の附属病院などで勤務医として研鑽を積んだ。専門としたのは循環器内科。なかでも心臓カテーテル治療を中心に、難易度の高い手術を幾度となく手掛けるなど、医師として腕を磨くことに喜びを感じ、熱中した。

一つの転機となったのは、体調とメンタルを崩して数年間の休職を余儀なくされた経験だ。
「医師として復帰はしたものの、医療器具が進化しマニュアル通りの診断や治療が徹底される現代では、手技の上手さを追求してきた自分のような医師が、時代遅れの存在であることに気付きました。それならば心臓カテーテル治療にこだわらず、多くの人々の健康に寄与できる医師でありたいと、開業を決意したのです」

研修医時代から難しい症例を任されることも多く、一人ひとりの患者に真摯に対峙してきたことから内科全般の知識も深く、メンタル不調に陥り患者として心療内科に掛かった実体験は、幅広い患者に寄り添ううえでの貴重な経験となった。

加えて、「自分が筋トレ好きで、筋肉をつけるために必要な栄養素やPFCバランス、運動量などの知識が豊富だったことから、ときにはそうしたアドバイスもしながらトータルに患者さんの健康を守れるようなクリニックにしたかった」と、鳥越氏は自身のクリニックに“健康塾”という名をつけた。

鳥越 勝行
ビジネスではなく社会貢献としての医療

クリニックを開いたのは、決してアクセスしやすいわけではない郊外の地。それでも開院から間もなく口コミで評判が広がり、今や近隣で暮らす人々や働く人々が、老若男女問わずひっきりなしに訪れる。
そんな「健康塾クリニック」のモットーは、「患者さんにとにかく笑顔で帰ってもらうこと」

「病気を診たり治したりすることは当たり前ですが、それ以上のプラスアルファの要素で笑顔になってもらいたい。そのために大切なのは、目の前の一人ひとりの患者さんの訴えをしっかりと聞くことと、納得のいく説明をしてあげること。例えば何かしら不調を抱えて来院する患者さんに対し、検査の結果が問題ないからと言って『大丈夫です』と言うだけだと、患者さんは不安を抱えたまま帰ることになってしまう。当院では、不調を感じる原因を患者さんと一緒に考え、しっかりと説明するなど、患者さんに納得して笑顔で帰ってもらえる診療を心掛けています」

結果として一人ひとりの患者に対して診療時間は長くなるが、鳥越氏が気に掛けることはない。その背景にあるのは、「医療はビジネスではなく社会貢献」という、鳥越氏の確固たる医師としての矜持だ。

「生活習慣病予防やダイエットのための食事指導やアドバイスも日常的に行いますし、内科で受診された患者さんから色々な話を聞くうち、メンタル不調の相談をされるというケースも当院ではよくあります。そうした場合もとりあえず患者さんの話を聞き、ときには私の経験を伝えたりもしながら、少しでも患者さんが前向きになれるようなサポートを行います」

そうした場合に病院が得られるのは再診料のみ。経営的に考えると難しい面もあるが、「すべては患者さんの笑顔のため。スタッフも納得してくれていますし、今はメンタル不調で働けていない人が元気に社会復帰してくれれば、医療に関わる者としての社会貢献になる。生活習慣病予防なども同様に、病気にならず元気に活動できる人を増やすことが、医師としての社会貢献だと考えています」と、鳥越氏は話す。

開院から2年が経ちより強くなったのは、「人々が生きていくうえで大切なインフラである医療を守りたい」という思いだ。
「微力でも私が発信することで、患者さんの笑顔を一番に考え、医療を通じて社会に貢献したいという考えをもつ医師が少しずつでも増えていけば、日本の医療や社会が変わるかもしれない。当院は小さなクリニックですが、日々の医療による社会貢献を通じて、まずはこの場所から私たちの考えを広げていきたいと考えています」

不登校児や引きこもりの人など、社会に上手く順応できない患者たちとの関わりから、「今後は、社会に居場所を失ってしまっている年齢も生活環境も様々な人々が集い、それぞれの好きや得意を伸ばしながら集団として力を発揮できるスクールのような場を創出したい」とも、鳥越氏は語る。
目指すのは、人々の幸福度が最優先される社会。医療の枠を超えた、鳥越氏の挑戦がスタートする。

鳥越 勝行

健康塾クリニック 院長
https://kenkoujuku-cl.com
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。