より多くの患者を救うために
インプラント専門施設として難易度の高い治療にも対応する東京日本橋インプラント。その所長を務める玉木仁氏のモットーは、一人ひとりの患者に真摯に向き合うことだ。その姿勢を突き詰めることで、歯科業界の未来を切り拓こうとしている。同氏のインプラント治療に対する情熱と歯科業界に掛ける思いに、耳を傾けてほしい。
歯科医院の数はコンビニよりも多く、2019年3月に厚生労働省から発表された医療施設動態調査によると、歯科医院の数は68,000施設を超えて過当競争が続く。そのため保険診療では経営が成り立たなくなる医院も後を絶たず、審美や矯正といった収益性のある自由診療で治療を行う医院も増えている。インプラントもそうした診療科目の一つだ。
しかし近年、「インプラントの手術だけをしてアフターケアをしない歯科医師が増えた」と警笛を鳴らす玉木氏は、「今後、高齢化がさらに進む中でインプラント治療の重要性はますます高まります。多くの患者様が安心で安全なインプラント治療を受けられるようになるためにも、歯科医師の倫理観の向上は欠かせない」。と、歯科医師自身の意識改革を促す講演活動などにも積極的だ。
「口腔内の病原菌が誤嚥性肺炎や糖尿病、心臓疾患、脳梗塞、アルツハイマーなどを引き起こすことは、今では広く知られています。そして口腔内のケアが必要なのは、インプラントも同様。インプラントは手術をして終わりではなく、手術後も患者様の口腔内のメインテナンスと定期検診を行う必要があります」
玉木氏がこのように強く言い切るのには理由がある。今でこそ一般的となったインプラント治療だが、20数年前はまだ歯科医師の中でも知られていなかった。当時、歯が欠損した場合の治療はブリッジ治療か入れ歯治療の二つしかない。しかし、かみ合わせが悪く、食事を満足にできない人も多く存在し、課題が山積していた。
その頃、同氏は欧米の学会でインプラント治療に出合う。その治療法の説明を聞くや否や、インプラント治療に大きな可能性を感じた。歯が欠損した人でも快適な生活を送れる治療の第三の道になるのではないか、と。「より多くの患者を救いたい」。その思いに駆られ、まだマイナーだったインプラント治療の世界に飛び込み、技術を習得してきた。