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瀧川篤
TAKIGAWA ATSUSHI

瀧川篤

株式会社ラッセル 代表取締役

関わるすべてをハッピーにするためIT ベンチャーが目指す“ブランド化”
「専門家が知識を駆使して構築するIT」から、「ユーザー自身が操作しコントロールしていくIT」へのシフトチェンジを目指し、管理会計を中心としたシステムの企画開発から運用・保守、ITコンサルティングからIT人材を育成するためのトレーニングまで幅広い事業を展開する株式会社ラッセル。創業から7年で大きく成長し、IT業界での存在感を高める同社の代表取締役である瀧川篤氏に、成長の源泉や今後の展望について聞いた。
瀧川篤
画像はイメージです。
システムの導入から自走化までを支援

高校時代までは野球部に所属し、プロ野球選手を目指して白球を追いかける毎日を送ったという瀧川氏。大学には進むも野球部には所属せず、不完全燃焼な日々を過ごすうちに出会ったのがITの世界だった。
「最初は兄の紹介でIT企業でのアルバイトを始めたのですが、努力して覚えたプログラムでシステムが動いて、お客さんが喜んでくれることが嬉しくて。短いサイクルでどんどん結果が出るITの世界が楽しくなり、大学を中退してSEとしてその会社に就職したんです」
そう話す瀧川氏が当時から公言していたのが、「将来は社長になる」という決意だ。
「当時から企業に向けたEPM(Enterprise Performance Management)ソリューションの導入支援をSEとして行っていましたが、社長になるにはエンジニアとしての技術だけでなく、営業もできなければなりません。最初はパソコンの電源の入れ方もわからないところからのスタートでしたが、当時の社長や上司が『社長になりたい』と公言する自分を面白がってくれて色々なことを教えてもらううち、SEとしての仕事を覚えると同時に、お客様への提案営業にも力を入れるようになりました」
当初は30名規模の会社だったこともあり、就職した会社で社長になることを目指したが、合併による規模拡大を機に独立を決意。自らの初志を貫徹し、30歳で株式会社ラッセルを設立した。

起業の際に理念として掲げたのは、関わるすべての人やモノに「真の価値」や「新しい価値」を与えることができる、血の通った提案をすること。
「当社では、私自身が20歳からEPMの領域で経験を積み上げ、自分で会社を経営する準備もしてきたので、お客様の会計や業務内容を理解したうえでのシステム導入やコンサルティングに大きな強みをもっています。また、従来は専門家が構築するものだったITが、今後はユーザー自身が操作しコントロールする時代へとシフトしていくことを感じていたこともあり、お客様に対する教育やマニュアルをセットにしたシステムの導入支援を行なっています」

単純にEPMソリューションなどを導入しても、机上の計算ほどの効果が出ないことも少なくない。ラッセルでは常にそうした課題に向き合い、顧客企業にとっての最大のメリットを追求した提案を行いながら、細かなマニュアルと教育を通して、システムの実装から導入後の自走化までをサポートする。

「私自身が最初はまったく知識のない状態からのスタートだったので、パソコンやシステムのことがわからないという人の気持ちはよくわかります。当社の特徴でもある教育やマニュアル化などのサービスは、そんな私自身のバックグラウンドから生まれたものでもあるのです」

瀧川篤
規模の拡大ではなくブランド化を目指す

会社の創設から7年、現在はEPMの導入支援や各種システム開発、IT戦略の企画立案や営業支援、顧客のみならず開発ベンダーに向けた高度なトレーニングまで、名だたる大手企業から中小企業までを顧客に抱え、幅広い事業を展開する。現在の社員数は6名。売上も右肩上がりに伸びているが、「会社としての規模拡大は目指さない」と瀧川氏は話す。
「社員を増やして会社の規模を拡大するのではなく、何よりも一人ひとりの社員が楽しく充実して働ける環境が大切。そもそもそれぞれの社員が仕事を楽しんでいないと血の通った提案はできませんし、『お客様のため』という当たり前のことを実現するために、経営者として『社員のため』を追求するよう心がけています」
そう話す瀧川氏が規模拡大のかわりに目指すのが、「ラッセルのブランド化」だ。
「当社の社員がお客様に評価されることはもちろん、外部パートナーとして一緒に仕事をするSEさんなど、当社に関わった人たちがラッセルの評判を広めてくれて、自然にラッセルの名がブランド化されていくことが理想です。自分たちの取り組みや仕事を通じて周囲の人をハッピーにできれば、仕事はどんどん楽しくなる。そうして周囲の人を巻き込みながら仲間を増やしていくことが、会社としての成長や成功にもつながっていくのではないかと思っています」

最近では外部の若手エンジニアを対象としたトレーニングもスタート。OJTのような形で実践的な技術を伝えるトレーニングを通して、2023年には最低でも10名のエンジニアを育成することを目標に掲げる。
「その後は私のように未経験からIT業界に入りたいという人を対象にしたトレーニングも行っていきたい。そうした人たちが活躍することで、IT人材の不足という課題の解決につながりますし、結果的にラッセルというブランドが業界に広まっていけばいいなと考えています」
ITの世界に魅了された20歳の頃のまま、“楽しい”を原動力とする瀧川氏が牽引する株式会社ラッセル。若き経営者の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

瀧川篤

株式会社ラッセル 代表取締役
https://www.russell-llc.com/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。