「顧客第一主義」をマネジメントの土台に据える
住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」を扱うFBモーゲージ株式会社の創業は2015年。根石氏が35歳の時だった。大手不動産会社などからの依頼を受け、固定金利型の住宅ローンを提案、顧客一人ひとりに寄り添ったサービスが信頼を生み、業績を拡大させてきた。
「住宅購入という夢を、より多くの方が実現できるような手助けをしたいという思いから独立しました。『フラット35』は借り入れ時の金利が最終返済まで変わらない住宅ローン。銀行などの金融機関でローン審査が通らない方にも適応できる柔軟な仕組みが特徴です」。
確かに住宅購入は、人生において大きな決断の一つだ。顧客からの信頼を得るためにはローンに関する専門知識に加え、顧客の置かれた状況を的確に理解し最適な提案をできる人材が求められる。
創業以来、着実に評価を高めていった同社では、どのようにマネジメントを行っているのだろうか。「営業職にはあえてノルマを課さず、目の前のお客様に最大の価値を提供することを徹底しました。お客様や取引先との信頼関係が築ければ、経営的な視点でノルマを立て、そこに寄せようとしなくても、売上は自然とついてくると考えたからです」
業績を伸ばすのも経営者の仕事だが、それに耐えうる組織を作るのもまた、経営者の重要な仕事。「僕の最大のミッションは、スタッフに気持ちよく、楽しく仕事をしてもらえる環境を考えること」と語る同氏は、あえて自由度を高くすることで、社員が安心して顧客に向き合える居場所を作る。その徹底ぶりこそ、同社の中核に置かれる「顧客第一主義」の本質なのだろう。
生活を送るうえで資金計画が必要になるのは、住宅を購入する場合だけではない。同社では顧客のライフプランに関わる課題を経済的な側面から支援するため、サービスの拡充を検討している。
その一環として、リリースに向けて準備を進めているのが女性対象の総合的なファイナンスサービスだ。住宅ローンに限らず、保険や相続といったファイナンスにまつわる一連の相談を請け負う。
「女性のお客様のなかには、将来のライフイベントに向けた資金計画や、離婚後の住宅ローンの支払いについて悩まれる方も多くいらっしゃいます。既存のファイナンスサービスでは、女性が自分に合った商品を見つけるための情報と、それをサポートするための仕組みが十分に整っているとはいえません。現代は女性の生き方も多様化している時代。それぞれのライフプランに合ったご提案を行っていきたいですね」