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嶋敬介
SHIMA KEISUKE

嶋敬介

株式会社ノースアイランド 代表取締役

ファイナンシャル・プランニングの普及によって、
誰もが安心して人生設計できる社会を実現する。
収支や資産、家族構成などを元に、将来のライフプラン構築のための資金計画についてアドバイスを行うファイナンシャル・プランナー(FP)。日本ではまだその名前自体がなじみのなかった時代に、その先駆者となったのが株式会社ノースアイランドの代表取締役、嶋敬介氏だ。
嶋敬介
企業向けから個人向けまで幅広いFPサービスを提供

「人は『こうなったからこうしよう』と受け身になりがち。しかし『将来のためにこうしよう』『それを踏まえて次はこうしよう』と、能動的に生きられれば、もっと有意義な人生になるはずです。人生の各ステージの目標を達成するためにお金は欠かせないので、キャッシュフローの作成が大事。その際にFPを活用することで、ライフプランの選択肢を広げることができます」と語る、株式会社ノースアイランド代表取締役の嶋敬介氏。

1980年代半ば、税理士の仕事をしていた嶋氏は、基本的にすでに終わったことに対して行う税務より、未来に関わる仕事をしたいと考えるようになっていた。

「そんなとき、新聞記事の『ファイナンシャル・プランナー』という見慣れない言葉が目に留まりました。新しもの好きな私は興味をもち、経済系出版社がアメリカへFPの視察に行く企画を立てていることを知って、すぐ参加することに決めたのです」

アメリカでFPがごく日常的に利用されている状況を目にした嶋氏は、驚きとともにその可能性に惹かれ、「これは日本でも絶対にブレイクする」と確信。そして帰国後すぐにFP育成の活動に着手し、FP協会設立に参画する一方で、自ら独立系FP会社を創業した。

現在、ノースアイランドのサービスは多岐にわたる。個人向けサービスでは、ライフプランに関する幅広い相談を気軽に行える「マネーカフェ」を東京、大阪、デンバー、ハワイなどに展開。また以前からウェブセミナーなどネットを活用した情報提供を行い、2019年からはさらに回数を増やしてきた同社だが、2020年秋頃には個人がゲーム感覚でライフプランニングをシミュレートできるスマートフォンアプリをリリースする予定だ。

FPの相談料の相場は、時間制の場合1時間1万円前後といったところ。しかし実際の面談時間以外に事前準備などに時間と労力を要する個人向けのFPサービスはその料金ではペイしない。それにも関わらず、嶋氏が個人向けサービスの普及に注力しているのは、それが社会貢献につながると信じているから、そして何よりも大きなやりがいが感じられるからだ。

「お客様と接すると、とても喜んでいただける。お子さんの結婚式に招待されるなど、家族ぐるみのおつきあいになった方もいらっしゃいます。当社には金融業界から転職してきたFPも多いのですが、お客様から手土産をいただくとビックリしますよ。『今までは持っていくことしかなかったです』って(笑)」

嶋敬介
個人が能動的に人生設計を行える社会をつくりたい

FPには、顧客のニーズに応えるためにさまざまなスキルが求められる。日々変わる社会、経済、金融情勢をグローバルに把握し、それがこれからの生活にどう関わってくるのかをわかりやすく伝達しなければならない。税金や保険から、不動産、教育、医療、顧客が働く業界に至るまで、幅広い知識も必要だ。

「さすがにすべてを一人ではカバーできません。当社では、実際に顧客と面談するFPよりも、バックオフィスでサポートするFPの人員のほうが多いですね。また重要な情報を共有させていただくわけですから、コミュニケーション能力も重要です。信頼して話していただけるようにするのはもちろんですが、目標とするゴールは、人に聞かれて初めて意識することもよくあります。そうした潜在的に思っていることを引き出すことも必要なんです」

FPによるコンサルティングの定着には、優れたバックオフィスの存在やサポート体制が必要だということだ。

そこでノースアイランドでは、企業向けサービスとして、タブレットアプリ「Mobile FP」をはじめとする、金融機関や不動産業界の企業系FP向けの営業支援ツールの開発・提供を行っている。また福利厚生担当者などを対象にしたセミナーの実施や、従業員向けのライフプランコンテンツの開発・提供なども行う。システムを提供している企業は100社を超えるという。2020年には「MobileFP」に搭載されている「プレゼンテーション資料組立システム」(通称:My提案)が特許を取得した。こういった金融サービスに対して特許が認められるのは画期的なことで、いかに同社が先進的かつ独創的な取り組みをしてきたかがうかがえる。

現在では金融機関で金融商品を販売する担当者の多くがFPの資格を取得しているので、個人でも住宅や保険の購入に際して意識せずに企業系FPと接している機会は意外に多い。しかし自身の総合的なライフプランを考えるうえでFPを積極的に活用している人はまだ少ないのかもしれない。その状況を改善し、誰もが安心してライフプランの機会を得られる社会を実現することが嶋氏の願いだ。

「コロナ禍によって世界は大きく変化しつつありますが、今後も時代を先読みし、新たなソリューションの構築に取り組んでいきたいですね」と語る嶋氏。創業時からの理念である「FPが身近にいる安心」を実現する挑戦は止まらない。

嶋敬介

株式会社ノースアイランド 代表取締役
https://www.knowsi-land.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。