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日本経済向上の一翼を担う
2012年に創業した同社は、2022年には年商150億円まで事業を拡大。「Asia-Pacific High-Growth Companies 2022・2023 (アジア太平洋地域の急成長企業ランキング)」に2年連続でランクインする、100万社から選ばれた成長企業だ。不動産とひと口に言っても、マイホームの売買、資産形成、相続、保険など、顧客の悩みは多岐に渡る。さらにライフステージにより状況は絶えず変化し、その都度相談できるパートナーを探すのは難しい。そこで同社は、不動産のワンストップサービスを開始。7年間の会社員時代に、関野氏が顧客から感じていたニーズに応えたいという思いからだった。
「お客様から『この相談はできないの?』と言われる機会が非常に多かったのです。アメリカではかかりつけ医や顧問弁護士と同様に、専属のリアルエステート・エージェント(不動産業者)をもつことは一般的です。我々もそのポジションを目指し、不動産に関わるすべてを取り扱えるようにしています」
売買したらそれで終わりではなく、顧客との縁を保てる点も強みだ。1口1万円から不動産投資ができるクラウドファンディングの運営により、不動産投資の普及も促している。関野氏いわく、不動産投資はインフレに強く、金融機関から借入を行うため自己資金を抑えられる点がメリットだという。
「誰もが数億円単位の投資ができるわけではありませんから、小さくはじめてステップアップしてほしい。日本の不動産はまだまだポテンシャルを秘めているのです。欧米と比べて価格が非常に安く、品質は極めて高いため、外国人投資家に注目されています。日本は老朽化した建物を壊して新しくする考え方が主流ですが、アメリカには築100年経っても現役の高層ビルが少なくありません。いいものをより長く使うスタイルが広まれば、日本の不動産の価値はさらに向上するでしょう。その魅力を国内外に周知することで、日本経済向上の一翼を担えるような事業展開を目指しています」
「三方よし」の精神で顧客と共に成長する会社づくりを目指す
人生100年時代に備え、資産形成を各自が行うことは当たり前になりつつあるが、不動産の情報には不透明な部分がまだ多い。関野氏は、再現性のある市場をつくるため、企業向けセミナーや独自のサービスにより正しい情報を発信していくつもりだという。
「我々は特許技術により不動産取引データを全てAIで学習し、適正なデータを蓄積しています。 それを公開して誰もが市場価格を把握できれば、騙されることも減るでしょう。お客様のレベルに合わせた商品を相場の情報と併せて提案するために、専用のサービスサイト開設も予定しています」
2024年は年商250億円を見込む同社。大きな成長を続けられる秘訣は何だろうか。
「常に新しいことに挑戦しているからでしょう。お客様に期待され、別のお客様を連れてきていただけるという流れができています。大事なのは自社の利益だけでなく、その先の課題解決につながるかどうか。『三方よし』を理想としています」
たとえば、同社では産業用太陽光発電所の販売事業も行っている。これは、太陽光によって発電した電力を売電し収益を得る投資方法。SDGs(持続可能な開発目標)の目標のひとつにも掲げられている再生可能エネルギー普及に貢献するほか、投資の選択肢のひとつとして顧客に提案している。さらなる強みとして、関野氏は自身の「若さ」と「体力」を挙げる。今年39歳、毎朝5キロのジョギングやトレーニングを欠かさない。
「代表取締役の職務に加え、すべての現場の意思決定に関わっています。グループ会社がピンチのときには現場に向かって自分で作業したり、若い社員にテレアポのやり方を実際に見せたり。教育においては、上下関係をつくらないことを心掛けています。同じ目線に立って、同じことをする。とても馬力が必要なんですよ」と笑う。
関野氏のこの姿勢は、創業2年目の出来事に起因する。創業時は5人だった社員が2年目には40人近くになり、著しい成長を見せていた。「これから」と一気に拡大を目指したそのとき、15人以上の社員が退職。組織としてまだ未成熟な時期に、自身は経営に専念し、現場は社員に任せきりにしてしまったことが原因だと振り返る。
「会社を拡大すると決めた以上、全社員が成長するまで責任をもたなくてはなりません。自分にできることは全部やろうと決めてから調子が上がり、会社が拡大しても軸がブレなくなったので、このやり方がフィットしていたのだと思います」
2024年内の上場を目標に掲げる同社。今後も成長が期待される日本発ベンチャー企業として、コア事業の不動産投資ワンストップ事業をはじめ、多様なニーズに対応し、顧客と共に成長する会社づくりを目指す。