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関博司
SEKI HIROSHI

関博司

株式会社アヅマテクノス 代表取締役

ものづくりに不可欠な計測・制御機器の業界を、
ホールディングス化によって活性化したい。
新潟県の株式会社アヅマテクノスは、真空産業機器、光学精密測定機器、電子計測機器、計装システム機器といった、計測や制御に関する機器を主に扱う技術商社である。
関博司
画像はイメージです。
レスポンスの早さで顧客からの信頼を獲得

「祖父は海軍の技術者で、終戦後の1947年に自宅の1階を改築し、個人でコンパスなどの船舶計器の販売と修理を始めました。それが弊社のルーツです。その後、船舶だけでなく工業計器なども手がけるようになり、さらに時代や顧客のニーズの変化に応じて取扱商品を拡充して今日に至っています」と語る、代表取締役の関博司氏。現在は営業スタッフ約20名と技術部門スタッフ約10名を抱え、販売に加えて計測器の測定値が正しいかどうかを確認する校正作業や修理、機器導入の際の工事の施工なども行う。

「現在の弊社の主な顧客は、製造業や大学などの研究機関になるのですが、カタログ品をそのまま納めることは少ないです。目的に応じて細かく仕様を決めてメーカーに発注し、場合によっては装置を動かすためのソフトを別途制作します。もちろんニーズを伺ったうえで、こちらから導入する機器をご提案することもあります」
導入時だけでなく、導入後もトラブル時の対応やメンテナンスなどを請け負う。ユーザーが個々の機器のメーカーとやりとりするのは手間なので、技術商社の存在意義は大きい。

「とりわけ、トラブル対応の際に会社の真価が現れると思っています。弊社は技術部があるのでトラブルにすぐ対応できますし、ソフト制作なども安価に行えます。さらに離職率が低いので、かなり昔に納入した古い機器についても、対応できるスタッフがいることが強みです」
長年にわたって新潟県を中心とする信越および東北の地域に密着し、価格の安さだけでなく、アフターサービスを含めた総合力で勝負してきたアヅマテクノス。顧客からの信頼は絶大で、安定した経営を実現できてはいるが、関氏は現状に胡座をかくつもりはない。

「お客様も今のままとは限らない。10年先、20年先を見据えて、変化についていけるようにしておかないといけません。たとえば近年の製造業の現場では、省人化のための自動化が求められる傾向がありますが、その際には自動寸法測定器など、自動化に貢献できるような機器が必要になる。ニーズを捉えて、取り扱う商品の幅を広げておく必要があるのです」

関博司
M&Aなどを通じて新たな領域を積極的に開拓

また、積極的に設備投資が行える企業や研究機関は、やはり大都市圏に集中しているのが現状だ。リスク分散のためにも、今後は既存の商圏にこだわらず、東京や大阪をはじめ他の地域へ進出していくという。実際、創業75周年となる2022年を前に、将来への布石となる攻めの手も打ち始めている。アヅマテクノスは、この2年の間に相次いで2つの会社をM&Aによって傘下に加えた。1社は受配電機器、サーボモータ、空調制御機器など制御・省力化機器を主に扱う技術商社である冨士工機株式会社。もう1社は、超低温冷凍機や放射線測定器などの輸入販売を手がける仁木工芸株式会社だ。こちらは東京のほか、神奈川や大阪にも拠点を持っている。

「今後も時代を睨みつつ、M&Aを通じてグループ会社を増やすことによって得意な領域を拡張するとともに、対象エリアや顧客、仕入先を拡大していきたいですね」
21年11月には、念願の東京オフィスも開設したアヅマテクノス。これからの課題として関氏が挙げるのは、リクルーティングと人材の育成だ。

「クライアントに提案を行う際、機器単体ではなく、それらを組み合わせたシステムとして提案できたほうが、ずっと喜んでいただけます。今も何人かそれが可能なベテラン社員はいるのですが、まだまだ足りない。また、システム提案については社員個人のスキルに頼っている状態なので、その人がいなくなってしまったら途切れてしまう。個人でなく、チームとして取り組めるような仕組みづくりも必要ですね」
理系、特に工学系の若い人材を求めているが、優秀な人材はメーカーに流れてしまいがちなのが悩みだ。

「弊社が扱っている商品は、ふだん目にする機会がない機器が多いせいか、難しい業界だと感じる人が多いようです。いずれも一般消費者に渡る前の製造工程や品質管理の工程で使用されるのですが、ものづくりには必要不可欠な機器ばかり。納入した装置を立ち上げる際には達成感がありますし、クライアントに感謝される喜びも味わえます。そうしたところをもっとアピールしていきたいですね」

ホールディングス化には、そのための認知度、ブランド力を高めるという意図もあり、今後はホールディングス会社にて採用活動を行っていくという。最終的には、さまざまなクライアントの要求に対し、導入からメンテナンスまでワンストップで対応できるグループにすることが目標だと語る関氏。
「今はまだマンパワー不足ですが、逆に言えばそれだけ成長の余地があるとも感じています。社会に大きく貢献できる存在として、会社と社員をしっかり育てていきたいです」

関博司

株式会社アヅマテクノス 代表取締役
https://azumatec.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。