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齋藤健博
SAITO TAKEHIRO

齋藤健博

銀座さいとう法律事務所 代表弁護士

弁護士である自分を必要としている人に、
あらゆる手を尽くして応えていきたい。
スマートフォンやSNSの普及によって、ここ数年で弁護士業のスタイルにも変化が見られている。代表的な例が、LINEや携帯電話で昼夜を問わず、24時間法律相談を受け付ける「LINE弁護士」や「直通電話弁護士」の登場だ。その先駆者のひとりが、銀座さいとう法律事務所の齋藤健博弁護士。業界では非常識とされた新たなスタイルを貫いた、齋藤弁護士の矜持に迫る。
齋藤健博
根底にあるのは「徹底した依頼者主義」

LINEのID や携帯電話番号を公開し、24時間、相談や依頼を受け付ける。今でこそ徐々に増えてきて認知度も上がりつつあるが、数年前まではその存在がほとんど知られていなかった「LINE弁護士」や「直通電話弁護士」と呼ばれる存在。その先駆けのひとりが、銀座さいとう法律事務所の齋藤健博弁護士だ。

齋藤氏は2015年の司法試験に一発合格。新人弁護士として大手法律事務所で研鑽を積んだ後、昨年8月に独立し、自らの法律事務所を開設した。齋藤氏が新人時代から貫く「LINEや携帯電話での24時間の相談対応」というスタイルは、なかなか周囲の理解を得られなかったという。

「そもそも自分自身が物事を早く進めたい。また、法的なトラブルは早く相談してもらうことで、色々な策を講じることができます。LINEを使った対応などは、自分としてはごく自然な対処法でした。しかし、当時の業界では前例がほとんどなかったため、同じ事務所の弁護士にもいい顔はされませんでしたし、多くの同業者から批判されました」

LINEのやり取りで依頼者と適切な距離が取れるわけがない、といった同業者からの批判に晒されながらも、自らのスタイルを貫いてきた齋藤氏。「自分がせっかちなので」と笑うが、その裏側には徹底した依頼者主義のスタンスが見え隠れする。

弁護士を志した理由や経歴にも、齋藤氏の個性がうかがい知れる。慶應義塾大学の総合政策学部を卒業したのちに、同大の法学部法律学科に再入学。そのまま同大の法科大学院へと進み、弁護士となった。

「大学に入学すると、周囲には明確に夢を語る人がたくさんいました。一方で、夢も目標もない自分がいる。そこで、自分のなかに一つの軸をつくろうと考え抜いた末に思い至ったのが、司法試験を受験することだったのです。今になって思えば、ただ没頭できるものが欲しかっただけなのかもしれません」

司法試験に合格するために、法学部に入学した齋藤氏は、朝5時に起床して、7時から夜11時まで大学で勉強し、自宅にはただ寝に帰るだけという日々を送った。

「当初は法学の研究をしてみたいと思っていました。法理論についてはしっかり勉強した自負があります。その後、目標が変わって、弁護士として働いているのですが、案件に追われる今も、生活自体はそれほど変わっていません」

齋藤健博
依頼者が思い描く未来に向けて伴走する。

そう笑う齋藤氏のスマートフォンには、依頼者や新規の相談者からのLINEでの相談が、まさに昼夜問わず、寄せられている。ブライベートな趣味などに費やす時間がほとんどないのは、学生時代も今も同じだ。

「誰からも必要とされない自分は、生きている意味があるのか。学生時代にはそう本気で考えていました。弁護士として働いている今は、本音をさらけ出して相談してくれる、多くの依頼者がいる。この状況に心から感謝しています。弁護士に相談するということ自体、かなり高いハードルがあると思います。だからこそ、そこを乗り超えて私のもとに辿り着いてくれた方には、全力をもって応えたいと考えています。私には遠慮せず、依頼者の方に何かあれば、休日であろうと深夜であろうと、すぐに相談してほしい」

銀座さいとう法律事務所は不倫、離婚を中心とした家事を中心に、必要に応じて刑事事件や企業法務を扱う。ジャンルにこだわらず、依頼者にとって何が必要なのか、考え抜くスタイルを貫いてきた。

「不倫相手の奥さんに呼び出され『今すぐ数百万円の慰謝料を払ってほしい』と言われた女性から依頼を受けて、その現場に駆けつけるケースも珍しくありません。感情的にもつれてしまった状態を、私が介在することでどのような方向に導いていくことができるのか。法理論やその適用だけでなく、どうやって人の感情に寄り添うかといった、弁護士の人間的な部分が常に試されているのは、エキサイティングです」

不倫や離婚などが絡む問題には、するべきではないといった社会通念が常につきまとうが、加害者側、被害者側、どちらの立場からの相談にも、齋藤氏は、フラットに耳を傾ける。そしてどちらの立場の依頼者に対しても、事件の解決後にどうなっていたいかを考えてもらうことにしているという。

「たとえば事件が解決した半年後に、不貞を働いた配偶者を許して、一緒にいたいと思うのかどうか。そこに軸を合わせた上で、責任をもって一緒に解決する道を探っていくのが私のスタイルです。相談者の要望に対して、できないとは言いたくないので、自ずと一人ひとりの依頼者に向き合う時間や労力は増えますが、事務所を拡大するつもりもないので、それでいいと思っています」

自分の時間を、今まさに法的なトラブルに遭遇している人たちのために開放し、依頼者の納得のいくかたちで解決できるよう、誠意をもって伴走する。今後「LINE弁護士」が増えたとしても、そんな覚悟をもった齋藤氏のような存在は、そう現れはしないのかもしれない。

齋藤健博

銀座さいとう法律事務所 代表弁護士
https://ginza-saito.com
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。