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小原浩志
OBARA HIROSHI

小原浩志

エムズワン株式会社 代表取締役社長

開発から総合管理までのすべてを行う自社保有物件を展開していきたい。
不動産の総合管理からビルメンテナンス、リフォームまでを手がけているエムズワン株式会社。自社ブランドマンション開発事業を視野に置き、社員1人1人の営業力より「人間力」を大切にしていると言う代表取締役社長、小原浩志氏の挑戦を紹介しよう。
小原浩志
画像はイメージです。
高校時代のアルバイトを機に業界入り。

「弊社の強みのひとつは、建物について外側、内側関係なく一括して対応できることです」と語る、エムズワン株式会社代表取締役社長の小原浩志氏。同社は1都3県で、不動産総合管理からビルメンテナンス、建築、リフォームまでをワンストップで行う。
「たとえば築40年以上の老朽化している建物に付加価値を付けて売却する会社の力になれるよう、管理費の見直し、リニューアルのご提案というケースにも柔軟に、かつスムーズに対応できます。厳しい不動産の仕入れ事情を考えたうえで、付加価値を付けられるような提案ができるように取り組んでいます」

小原氏がこの業界に入ったきっかけは、高校生時代のアルバイト。高校入学前の春休みに知人の紹介でビルメンテナンスの作業アルバイトを始めたが、自分でお金を稼ぎ、働いた成果をもらうことに充実感を覚え、2学期からは定時制課程に編入して毎日のように働いていたと言う。そしてアルバイト先の元請けである建物総合管理会社に誘われて、卒業と同時に就職。
「技術部門に配属され、清掃部隊としてアルバイトを連れて現場を回る仕事をしていました。ところが1年経ったころ、欠員が出た関係で管理部門に異動になりました。それまで作業着しか着たことがなかった私が、スーツを着てお客様と商談をし、触ったこともなかったPCで資料作り。初めは戸惑いましたが、仕事を覚えるうちにやりがいを感じるようになっていきました。これが大きな転機になりましたね」。

その後、同業他社の組織や業務環境に興味を抱いて転職したが、これもよい学びになったと言う。
「最初の会社は担当ごとにすべて担当者が対応するやり方だったのに対し、次の会社では作業ごとにきっちり分業化されていました。効率化という点ではとてもよかったのですが、反面、自分の部署以外については把握できず、全工程を俯瞰できる人が少なかった」
クライアントに対して迅速に対応し、かつ精度の高い仕事を行うには、どちらの方法にも問題があると感じた小原氏。その後、別の独立系管理会社での5年の経験を挟んで立ち上げたエムズワンでは、効率化を進めつつも、各社員に他部署の仕事への理解を促すような組織運営を行っていると言う。

小原浩志
独自の管理システムで迅速なレスポンスを実現。

設立時には小原氏一人でビルメンテナンス事業とリフォーム事業だったエムズワンも、管理物件は200棟以上、リフォーム案件は年間3,500件以上、社員数も30名を超える企業まで発展した。しかし小原氏は経営の傍ら、今も時間があれば現場に携わる。
「建物管理は、日常業務はできて当たり前。トラブルが起きたときの対応が重要で、そこで他社にできないサービスを提供したい。お客さまのご要望やクレームの傾向の変化を肌で感じたいので、私も建物に携わるようにしています」
以前は担当者の知識にこだわるクライアントが多かったが、近年はとにかくレスポンスの早さが求められるケースが多いそうだ。

そこでエムズワンでは2021年から業務管理のシステム化を図り、独自の専用ソフトを導入。以前は報告書を各社員が個別にExcelで報告書を作成していたが、クラウドにデータを置き、タブレットでいつでもアクセスできるようにした。
「現場で何かあって急な対応を求められた時、誰でも状況が分かり、通常は数日かかるところを即日対応し、見積もりまで出せるようにしました。また項目の文言を打ち込まなくてもよいように、できるだけ選択式の入力にしています。これらによってスピードアップを実現しつつ、社員の負担も軽減できました」
大手はともかく、エムズワンの規模でこうした取り組みを行っている会社はまだ珍しく、迅速な対応は同社のもうひとつの強みとなっている。

22年12月には新たに神奈川県に支店も開いたエムズワン。将来的には自社ブランドのマンション開発をすることが目標だ。
「じつは秋に初の自社保有物件を購入しました。これは売買の実績作りのためのもので、すぐ売却する予定ですが、5年後ぐらいには開発から総合管理までを行う自社保有の賃貸物件を展開していきたいですね」
独立した際には、一人で自分のペースで仕事をするつもりだったと言う小原氏。しかし仕事が増え、やむなく社員を増やしてからは自由に仕事をするという願望は捨て、拡大を目指して邁進してきた。
「社員にとっては、給与も含め伸びしろがないとつまらないでしょうから。ただ、できないことを無理にしようとは思いません。お客さまと社員に恵まれたおかげで、弊社は新規開拓の営業部隊を設けていないのにもかかわらず、お客さまから別のお客さまを紹介していただくという形で成長してきました。膨張するのではなく、スピードは遅くても着実に成長していきたいですね」

小原浩志

エムズワン株式会社 代表取締役社長
https://ms-one01.com/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。