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野村直樹
NOMURA NAOKI

野村直樹

株式会社First one.デザイン 代表取締役

楽しく暮らしながら、将来も安心できる、
単身者向けの戸建住宅で新しい時代を創る。
建築資材や人件費の高騰などでマンション価格の上昇が止まらない。一方の戸建住宅も未婚化や少子化が進む中で、必ずしも見通しが明るいとはいえない。そのような状況の中で、単身者やDINKs(ディンクス)向けに平屋の戸建住宅を提案する建築会社が福岡市にある。株式会社First one.デザインの代表取締役を務める野村直樹氏は、「これまで単身者の住まいはマンション一択だったが、戸建住宅という選択肢もあることを広めたい。老後に向けた投資としても有効」と自信に満ちた様子で語った。
野村直樹
未来への投資にも活用できる第二の価値とは。

福岡市南区に拠点を構え、新築の注文住宅や事務所、住宅や店舗の改装・リノベーションなどを手掛けるFirst one.デザイン。「Only You Design」をテーマに、住む人の個性に合わせて設計する完全オーダーメイドの家づくりを得意とする。過去には、40畳のリビングに木を植えるといったユニークな住まいも設計した。そのため、比較的高価格の注文住宅を扱うことが多いが、近年力を入れているのがSECOND VALUE HOUSE(セカンドバリューハウス)と名付けた、延床面積16~18坪の木造平屋住宅である。

「これからの時代、大きな家ばかりをつくっていいのだろうかと疑問に感じたのがきっかけです。戸建住宅はファミリー層が買うイメージが定着していますが、一人暮らしの人も分譲マンションは購入しています。それなら単身者が住みたくなる戸建住宅をつくればいいのではないかと思ったのです。将来、結婚するかどうかは分からないが、今の生活を存分に楽しみたい。しかし、将来のことも不安に感じている、そんな人たちに向けた戸建住宅がセカンドバリューハウスです」

16~18坪(52.89~59.50㎡)の広さに、趣向を凝らした5つのプランを用意。女性向けのSOLARIA(ソラリア)は、防犯性を高めるために外壁に大きな窓を設けず、内側から自然光を取り込める中庭を配置した。中庭の周囲を回遊するように間取りがつくられ、1台のエアコンですべての空調をまかなえるように設計されている。他にもサウナルームを設けたOASIS(オアシス)、ビルトインガレージが付いたGARAGE(ガレージ)、秘密基地のように使えるロフトがあるGADGET(ガジェット)、動画配信するための防音ルームを備えたSTREAM(ストリーム)と、遊び心を取り入れた個性的なデザインになっているのが特徴だ。

「ポイントは柔軟な住まい方に焦点を当てたことです。一生住む必要はなく、結婚して子どもが産まれて手狭だなと感じたときは、売却してもいいし、賃貸に出してもいい。マンションよりも戸建住宅の方が賃貸料は高いので投資にもなるわけです。そして、子どもが独立して家を出たら再び住むという選択肢もあります。今を自由に楽しく過ごしながら、将来の備えにもなるのがセカンドバリューハウスで、第二の価値という意味で名付けました」

間取りも仕様も決まっており、建物の価格は1750~1800万円くらい。必要な土地が30坪だとすると、坪単価60万円の立地だと土地代は1800万円となり、合計4000万円未満になる計算だ。売却しても賃貸に出してもメリットが生まれるように建物の価格を決定し、野村氏によると坪単価60~70万円くらいの場所がおすすめだという。利便性がよく、セカンドバリューハウスの魅力を十分に享受できるエリアは、福岡市内にはまだまだ多いというのが野村氏の見立てだ。

「今は福岡の新築マンションも高騰し、築年数の古いマンションを手頃な価格で購入してリノベーションする手法も流行っています。しかし注意したいのは、築40年以上の古いマンションは大規模修繕に必要な金額が足りなくなり、毎月の修繕積立金が高騰する可能性があること。さらに深刻化すると、マンションの価値が暴落することもありえます。対して、戸建住宅は耐用年数の問題があるにせよ、土地として売却できる点が大きな強みです」

野村直樹
新たな市場を創り、幸せになる人を増やすのが使命。

1969年に福岡県で生まれた野村氏は、19歳の頃にミュージシャンになることを夢見て上京。プロになるチャンスにも恵まれたが、最終的には音楽の道を諦めて不動産仲介の会社に就職した。東京で4年ほど働いた後に福岡に戻り、不動産仲介業者やマンションのデベロッパーを経て、マンションの販売代理を行う会社を立ち上げた。その後、リノベーションをメインにしていた株式会社S建築から、新しく戸建住宅を手掛ける事業を始めたいと声がかかり、2006年に入社した。

「モダニズム建築をテーマに、これまでにない洗練された個性的なデザインの戸建住宅をパターン化して売り出しました。お客様は何種類か用意した中から希望のモデルを選び、外装材や内装を自分好みにカスタマイズできるという内容です。爆発的な人気を呼んだことで年間施工数が50棟を超え、私が代表取締役社長に就任。福岡ではトップクラスを走るくらいの勢いがありましたが、事業の方向性が変わるタイミングで辞任。2023年に新しく設立したのが今の会社です」

このときに培った経験が生かされているため、セカンドバリューハウスは単なる小さな平屋住宅ではなく、生活が楽しくなる家としてデザインされている。また、自然素材を活用して経年変化による劣化を抑え、気密性や断熱性にも配慮。無結露保証20年を実現するなど、住宅の機能性についても妥協のない設計になっている。そして、セカンドバリューハウスの1棟目となる住宅の施工が長野県白馬村ではじまろうとしている。

「セカンドバリューハウスはこれから本格的に売り込むところで、フランチャイズ(FC)展開として、木材などを扱う全国の建材屋や流通問屋に声がけをしています。今、住宅業界は売上が厳しいため、建材屋の営業マンの方々に繋がりの強い工務店に売り込んでいただき、契約が決まればフィーが支払われる仕組みです。その際に、建材屋のオリジナル商品を使ってもらえれば売上も上がりますし、お互いにウィンウィンの関係になれるのではないかと考えています」

さらにセカンドバリューハウスを賃貸に出したり、売却したりすれば、どれくらいの金額になるのかといった相場が分かるスマートフォン用のアプリも開発中だという。アプリではメンテナンスに必要な情報も見られるようにし、全国のハウスクリーニング会社と提携。年に1回30分程度の掃除を無料にするほか、さまざまなオプションが用意された有料のハウスクリーニングのメニューも提供する予定だ。

「まずは単身者やディンクスといった人たちが家の購入を考えるときに、平屋の戸建住宅という選択肢があることを知ってもらい、新たなマーケットを創出したい。ハウスメーカーやホームビルダーといった他社にも真似してほしいくらいで、そのために登録商標をはじめとした知的財産権の取得は一切考えていません。今後は福岡市内に分譲型モデルハウスを建てることも考えており、実際の建物を見てもらえればその価値観は伝わっていくのではないかと期待しています」

かつて、これまでになかった独創的なデザインの戸建住宅で業界をリードしてきた野村氏。今度はライフステージの変化に応じて、フレキシブルな住まい方を可能にしたミニマムな平屋住宅を広めようと意気込む。そして、そこに住む人たちが今の暮らしも楽しめて老後も安心できる、そんなパラダイムシフトが起きることを目指している。

野村直樹

株式会社First one.デザイン 代表取締役
https://firstone-design.com/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。