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元榮太一郎
MOTOE TAICHIRO

元榮太一郎

弁護士ドットコム株式会社 代表取締役社長兼CEO

専門性とDXを駆使して社会に貢献する、
プロフェッショナルテックカンパニーを目指す
国内最大級の法律相談ポータルサイトや、弁護・税理士の業務支援サービス、契約マネジメントプラットフォーム「クラウドサイン」などを展開し、2014年には東証マザーズ市場(当時)への上場も果たした弁護士ドットコム株式会社。2016年からは参議院議員も務め、22年に同社の代表取締役社長に復帰した創業者の元榮太一郎氏が目指すのは、専門性と技術の組み合わせで日本社会の課題解決に貢献する“プロフェッショナルテックカンパニー”だ。
元榮太一郎
画像はイメージです。
画期的なサービスで弁護士を身近な存在に

「困っている人と弁護士がつながる場所」というコンセプトのもと、弁護士をより身近にするサービスを提供してきた弁護士ドットコム株式会社。無料法律相談や弁護士検索、費用見積比較などができるWebサービスである「弁護士ドットコム」は、今では多くの人に利用されている。しかしサービスを開始した当時は、「サイトに登録してもらう弁護士を集めるだけでもひと苦労だった」と、元榮氏は話す。

そもそも元榮氏は、大学生の頃に自らが運転する自動車で事故を起こしてしまい、弁護士に窮地を救われたことをきっかけに、弁護士を目指すようになったという。
大学を卒業して司法試験に合格した後は、大手法律事務所に入所。M&Aやファイナンス案件など、企業法務の分野で力を発揮すると同時に、「弁護士を人々にとってより身近な存在にしたい」という思いを募らせ、2005年に独立して弁護士ドットコム株式会社を創業した。

日本では戦後に弁護士による広告が禁止され、本格的に解禁されたのは2000年のこと。当時はまだ「弁護士がインターネットに名前を載せたり、自らの法律事務所を紹介したりするべきではない」といった風潮も根強く残り、紹介のない一見の顧客を嫌がる弁護士も多かった。

「私自身はそんな時代がいつまでも続くはずはないと考えていましたが、サイトに登録してくれる弁護士は簡単には増えませんでした。当初は一人でも多くの弁護士に登録してもらうため、登録料を無料にしてハードルを下げ、一人ひとりの弁護士の元を訪ねて粘り強く説明を行い、少しずつ賛同者や登録数を増やしていったのです」
そうした元榮氏の強い思いと努力もあり、2010年頃からサービスの認知拡大が進み、その数年後には事業の黒字化に成功。実質8年間の赤字時代、元榮や社員たちのモチベーションを支えたのが、サイトに届くユーザーからの熱いメッセージだった。

「実際に支援した弁護士だけでなく、サイトを運営する私たちにまでわざわざお礼を書いてきてくれる。時にはそんなユーザーの方からのメッセージを社員たちにシェアし、これだけ価値のあるサービスなのだから、いずれはもっと評価されるはずだという思いで、社員ともに一丸となって苦しい時代を乗り越えてきたのです」

そして2014年には、弁護士として初めての株式上場を達成。さらには税理士版の「税理士ドットコム」や、電子契約サービス「クラウドサイン」なども次々と展開し、オンリーワンの価値を提供する企業へと成長を遂げた。

元榮太一郎
DXの活用で社会の生産性を向上させる

現在も経営者としてはもちろん、現役の弁護士としても活躍する。そんな元榮氏の活動の根底にあるのは、「社会を良い方向に変えたい」という強い思いだ。
そうした思いから2016年には参議院議員選挙に立候補し、見事に当選。国政に関わる日々では菅内閣の財務大臣政務官なども務め、「日本が抱える各種の国家的な課題と、国として向かうべく方向を深く考えるようになった結果、国家観や公共心が高まり、新しいビジネスのアイデアにもつなぐことができた」と、政治の世界で活動した6年間を振り返る。

例えば、作業効率化や人手不足解消への貢献から、国が推進するDX。社長に復帰するやいなや、元榮氏は自社のサービスでも新たなテクノロジーの導入を進め、2023年2月にはChatGPTを活用した法律相談の開発を発表。「みんなの法律相談」にChatGPTを活用したAIタイトル自動生成機能を搭載し、相談者の負担軽減や解答率向上を実現した。

政治家から民間に戻る決断をした際、「人生100年時代と言われる中、まだまだ先の長い40代、50代のうちに、事業化としてクリエティビティを発揮し、民間の立場からダイレクトに日本の未来に希望を与えられるような企業を創りたい」と、力強く語った元榮氏。

その言葉通りに目指すのは、「日本に活力を与えることができる、プロフェッショナルテックカンパニー」だ。
「リーガルテックでナンバーワンの価値を生み出すことはもちろん、士業だけでなくあらゆる専門性のある技術やナレッジをDXすることで、社会が高い生産性を発揮できるよう支援することが私たちの役割。そうした事業を通じて、世界に胸を張れる国としての、日本の未来に貢献していきたいと考えています」

今では多くの人や企業が活用するインターネットでの弁護士検索や電子契約など、数々のハードルを超えて革新的なサービスを実現してきた。そんな元榮氏が経営者として描く新章に、日本中の注目が集まっている。

元榮太一郎

弁護士ドットコム株式会社 代表取締役社長兼CEO
https://www.bengo4.com/corporate/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。