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工藤豊樹
KUDO TOYOKI

工藤豊樹

東京内視鏡クリニック 院長

大腸がん検査の常識を変える、最先端内視鏡が導く新しい医療
東京内視鏡クリニックは、ハイレベルな医療技術を、クリニックという身近な場で提供している。超拡大内視鏡やAI技術を併用することで、短期間で高精度な大腸内視鏡検査を実現した。その背景には、大腸がん研究の第一人者である父に触発された院長・工藤豊樹氏の強い信念がある。
工藤豊樹
“大腸がんでは死なせない”──検診が生む日米の大きな差

日本人の大腸がんリスクが増加している。大腸がんによる死亡数は、女性のがんの中ではトップ、男性では2位となっており、罹患率も増加傾向にある。食生活の欧米化や運動不足が要因として考えられている。
大腸がんは、早期発見ができれば、完治の可能性が非常に高い病気でもある。アメリカでは、大腸内視鏡検査の無料提供など検診に力を入れた結果、死亡者数が日本を下回るまでになった。約2.6倍の人口比を考えれば、検診がどれほど有効に働いているかが分かる。

こうした現況下で、「大腸がんでは死なせない。」をモットーに、高精度な内視鏡診断・治療技術を提供しているのが、東京内視鏡クリニックだ。
「胃カメラと比べて大腸内視鏡検査は敷居が高いと思われがちですが、当院では、気軽に検査を受けてもらえる環境づくりに注力しています」と、同クリニック院長の工藤豊樹氏は語る。
実は内視鏡技術こそ、日本が世界をリードしている分野の一つだ。東京内視鏡クリニックでは、最大520倍まで拡大可能な内視鏡やAI診断システムなどを導入し、患者の負担を極力減らしている。

通常、顕微鏡による病理検査の結果を待つには、2~3週間かかる。しかし、拡大内視鏡を使えば、細胞レベルでがんの有無を確認し、その場で治療方針を決めることが可能だ。医師をアシストするAI診断も活用し、「忙しくて来院回数を減らしたい」「がん検診の結果待ちが不安」という悩みに応えている。

「昭和の時代は、症状が出た後、がんを見つけるために内視鏡を使うことが主流でした。しかし今は『予防内視鏡』がより重要だと考えられています。定期的な検査は、大腸がんや胃がんの予防・治療において、特に有効なのです」

工藤豊樹
より多くの患者に最先端医療を届ける、“新しいスタンダード”の創造

「医療は単なる技術ではなく、人の心を動かすアートである。常にそう意識しています」と、工藤氏は続ける。その想いの根底にあるのは、父、工藤進英医師の姿だ。

40年前、進英医師は、秋田の市中病院で"陥凹型大腸がん"を世界で初めて発見した。だが、当時の定説とは異なるため、学会になかなか認められなかった。秋田病などと揶揄もされた。それでも研究発表を地道に続けると、やがて日本中から若い医師たちが秋田に勉強に訪れるようになる。その人数はのべ800人にも及んだ。

今では、医学の教科書にも掲載される周知の病変となっている。
「当時の私は小学生で、連日深夜まで働いている父が不思議でした。その意味が分かったのは、医学生になってからです。もの凄く価値あることをやっていたんだと、心から理解できました。『誰に何と言われようと愚直に提唱し続けて、世の中を動かす』。そんな父の背中は、当クリニックの理念にも現れています」

工藤氏の語る理念とは「1、本クリニックは患者様のために存在します。2、世界最高の医療を提供します。3、医療で感動と驚きを与えるように努力します。4、『笑顔』をモットーに診療します。」というものだ。

同クリニックが目指すのは、過去の成功事例を集めたベストプラクティスの実践ではなく、世界最先端の開拓による、新しいスタンダードの確立である。事実、同クリニックが扱う超拡大内視鏡やAI病変検出支援システムは、メーカーや大学と共同開発したものだ。
先端研究だけならば、大学病院で可能かもしれないが、工藤氏はクリニックという現場を選んだ。

「より多くの患者さんに、高度な治療を広めたいと考えたことが大きな理由です。大学病院では、予約をしてから検査を受けるまでに2〜3カ月かかることもあります。我々と同じ超拡大内視鏡がある大学病院は、国内にも数施設しかありません。現在は、東京・大阪・秋田で三院展開していますが、より多くの患者さんの恩恵が大きい医療を気軽に提供していきたいと思います」

拡大内視鏡が映す画像を鮮明にしたり、患者に痛みを感じさせないようスコープを操るには、高度なテクニックが必要だ。より多くの医師に先端技術を伝えていきたいと、工藤氏は言う。

「我々だけでこれ以上の"多店舗展開"をしようとは思っていません。患者さんに提供する医療の質を維持することが困難だからです。しかし、当クリニックには、全国から若い医師が見学にいらしています。一緒に働きたいという声もたくさん来ています。我々の理念に共鳴してくれるドクターをもっと育てて、チームとして、良い医療を一人でも多くの患者さんに届けていきます」
大腸内視鏡検査を身近にし、日本のがん医療をさらなる高みへ導く同クリニックの挑戦は、今後も続いていく。

工藤豊樹

東京内視鏡クリニック 院長
https://www.tokyo-endoscopic.com/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。