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石亀一昭
ISHIGAME KAZUAKI

石亀一昭

株式会社クレタ 代表取締役社長

低燃費でエコな軽自動車の普及を通じ
美しく豊かな北海道の未来に貢献する
「軽自動車で北海道を元気に」をスローガンに、道内最大級の在庫規模を誇る軽自動車販売店の運営や各種アフターサービス、カーライフ提案まで、軽自動車にまつわるあらゆる事業を展開する株式会社クレタ。事業を通じた地域への貢献を目指し、「100年、100億円企業を目指す」と語る代表取締役の石亀一昭氏に、同社の過去や現在、そして未来に向けた展望を聞いた。
石亀一昭
海外で磨かれた生活者の視点と故郷への思い

株式会社クレタの創業者である石亀氏は、北海道岩内町生まれ。自然豊かな地で育った少年の心にいつもあったのは、「世界中を旅してみたい」という海外への憧れだった。
地元の高校を卒業後に選んだ進路は、短大の自動車整備科。当時は日本車の品質が世界で高く評価され、各国への輸出が急増していた時代。
「自動車の整備は世界共通の技術。進路を考えたとき、自動車関係の仕事に就けば海外に行けるチャンスがあるかもしれないと考えたのです」と、石亀氏は当時を振り返る。

短大を卒業した後は北海道に戻り、札幌日産自動車に入社。入社5年目には会社に籍を置いたまま海外青年協力隊に応募し、約2年間、マレーシアで自動車整備専門学校の立ち上げに関わり、現地整備士の指導にもあたった。
「札幌日産自動車で整備などの腕を磨き、マレーシアでは海外で働きたいという憧れが叶うと同時に、それぞれに抱える経済的な事情なども含め、様々な土地で暮らす人々と自動車との関係などを、深く考える思考も養われました。また、海外に身を置くことで、雄大な自然や美味しい食べ物など、自分が住む北海道がいかに恵まれているということも、強く感じるようになりました」

マレーシアから帰国後は会社に復帰するも、間もなく日本ではバブルが崩壊。社会情勢や経済状況が不安定化する中で、石亀氏が選んだのが独立という道だった。
「たとえ経済状況が悪化しても、広い北海道で自動車が生活必需品であることは変わりません。当時、雪深い北海道では排気量の大きな車を選ぶ人が多かったのですが、燃費が良くて自然環境に優しい日本の軽自動車は、普及の余地が大きいと考えました。そこで、軽自動車に特化した自動車販売店をスタートさせたのです」

そう話す石亀氏が目をつけたのが軽自動車の四輪駆動車であるジムニー。当時は同一車種を並べて販売するスタイルが珍しかったこともあり、店頭にジムニーが並ぶ店舗は大きな注目を集めた。そうして年々売上を伸ばし、以降は様々なメーカーの自動車を揃えた軽自動車専門店として、道内に店舗を増やしていった。

石亀一昭
地域とともに成長し100億円企業へ

事業が軌道に乗り企業としての規模が拡大してからは、新卒採用もスタート。そこで石亀氏が目の当たりにしたのが、奨学金の返済に苦しむ多くの若手社員たちの姿だった。
「調べてみると北海道の奨学金の利用率は全国平均よりも高く、学力テストの成績や大学進学率は全国的に見て低い状態にありました。そうした社会課題に直面し、地域が抱える課題を解決するために、北海道の一企業として何かできないかと考えるようになったのです」

そうした思いから石亀氏がスタートさせたのが、北海道の未来を担う子どもたちや、北海道の美しい自然資源を守るための取り組みだ。
たとえば、排気量の大きな車から低燃費でエコな軽自動車に乗り換えることで、年間の維持費は大きく削減できる。その分を教育資金にまわすライフプランの提案など、同社では自動車を売るだけでなく、顧客の生活に寄り添ったカーライフを提案する事業なども充実させた。また、整備士を目指す学生への奨学金や、販売契約数に応じて自治体や非営利団体への寄付を行うなど、北海道の人や自然、産業を守るための社会貢献活動にも注力。
「創業当時からの顧客満足度(CS)を第一とする経営から、社会満足度(SS)を意識した経営へと舵を切ることで、CSや従業員満足度(ES)も大きく向上したと感じています」と、石亀氏は話す。

株式会社クレタの創業から25年が経ち、北海道で軽自動車に乗る人も徐々に増えてきているものの、軽自動車の利用割合は全国的に見るとまだ下位に位置している。
「つまり、北海道での軽自動車販売にはまだまだポテンシャルがあるということ。当社は100年続く“100年企業”、そして100億円企業を目指すことを宣言していますが、決して売上だけを追求することはありません。北海道で一番の公平・公正な軽自動車販売や事故対応などのサポート、トータルなカーライフサポートを通じて、お客様や社員の暮らしや教育水準のレベルアップ、豊かな自然の保護を同時に実現させたいと考えています」
石亀氏は現在68歳。経営を後進に任せた後は、自社のマイクロバスに道内の子どもたちを乗せ、「北大などの優秀な大学に連れて行くようなツアーを実施したい」と、そう遠くない未来の構想も語る。

「社員たちも地域貢献のために色々な行動を起こしてくれていますし、何よりも誇りをもって仕事に励んでくれています。今後も『軽自動車で北海道を元気に』という合言葉のもと、より豊かで美しい北海道の未来に貢献できるように、個人としても企業としてもチャレンジを続けていきたいと思っています」

石亀一昭

株式会社クレタ 代表取締役社長
https://kereta.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。