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匹田絵人
HIKITA KAITO

匹田絵人

株式会社レバーン 代表取締役社長

多彩なイラスト制作の技術やノウハウを武器に、世界に通用するクリエイター集団を目指す。
クライアントの依頼に応じて絵を制作する商業イラストのクリエイターには、ファインアートの作家とは違ってある種職人的な素養も求められる。その点で、実力と才能を兼ね備えたプロのイラストレーターを多数擁する広告制作会社、株式会社レバーン。50年以上の歴史をもつ同社が目指すものとは。
匹田絵人
イラストレーターを豊富に抱え、多彩な表現に対応

1970年に創業し、来年55周年を迎える広告制作会社、株式会社レバーン。紙からweb、またイベントなどの展示物まであらゆる媒体に対応するレバーンだが、最大の特長は、味わい深い水彩から先進的な3DCGまで、多彩なイラストレーションを自社制作できることだろう。
「弊社ではハイブリッドデザインイラストと呼んでいるのですが、アナログ技術とデジタル技術の融合で制作を行うことで、イラストをより効果的に演出する目線や技術を売りにしています」と語る、代表取締役社長の匹田絵人氏。

レバーンの社員は約30名だが、グラフィックデザイナー兼務の3名も含め、イラストレーターを13名も雇用している。一般的な広告制作会社ではイラストはフリーのイラストレーターに外注するところが多いので、珍しいケースと言えるだろう。
これは、自動車業界や医療業界のパンフレットやカタログを手がける機会が多かったというのも理由のひとつ。イメージイラストと違って、機械の構造や人体への作用などをイラストによってビジュアライズするには、単なる絵の上手さとは別に、工学や医学、生物学などの専門知識も必要で、クライアントの要望に迅速かつ的確に応えるには、社員としてイラストレーターを抱えていたほうが有利だからだ。

また近年では、不動産業界の案件が大きなウエイトを占めるようになっていると言う。
「例えば開発分譲地のパンフレットを制作する際には、街づくりの未来予想図CGや、敷地配置図や間取り図などの図面イラスト、住民のイメージイラストなど、さまざまな図やイラストが必要になりますが、弊社ならすべて自社で制作できます。また社員にコピーライターもいるので、カタログから営業さんの資料やウェブサイト、さらには看板やモデルルームの施工まですべて一気通貫で制作できるところが強みです」

専門的なイラストを描くためには、センスに加えて経験も重要だ。そこでレバーンでは美大や美術系専門学校に優秀な人材を求めつつ、入社後は独自のカリキュラムによる育成を行っている。
「図面などの資料を読んでイラストに起こすといった、商業イラストに必要な技術などを身につけてもらいます。個性をちゃんと伸ばしつつ、満遍なくいろんなものを描けるようなスタイルに 仕上げていくのが目標ですね」

匹田絵人
新しく掲げる目標は、海外進出と地方創生

レバーンがもつ高いイラスト制作の技術やノウハウを武器に、匹田氏が今後挑戦したいと考えているのが海外への進出だ。日本の緻密で繊細なクリエイティブ技術は、世界でも必ず通用すると匹田氏は語る。

「我々がこれまで携わってきた自動車、医療、そして不動産のいずれの業界でもお役に立てると思っています。特に不動産業界は、アジアを中心にさまざまな場所で日本の企業がインフラの整備を担っていますが、我々なら空撮の写真などを元にクオリティの高い街づくりの予想図を制作でき、プレゼン用資料から広告やプロモーションなどに活用していただけます」
まずはそうした案件から始め、いずれは海外企業にも「日本のレバーンというクリエイティブ集団がいて、あいつらに作らせると面白いものができる」と認めさせたいと意気込む。

一方、国内では、地方創生の仕事に力を入れていきたいと匹田氏は語る。
2023年には、広島空港ターミナルビル2階に設けられた、来港者に空港の仕事に興味をもってもらうための展示スペース「空港おしごとミュージアム」のプロデュースおよび制作を行った。空港での仕事を紹介するメインパネルには、AR技術によってスマートフォンをかざすことで画面の中に空港キャラクターが浮かび上がり、一緒に記念撮影できる限定フォトフレームなどの仕掛けも取り入れた。

「この案件では、紹介でもなく、また営業をかけたわけでもなく、普通に先方がネットで検索して直接お問い合わせいただいたんです。ネット時代になって、そうしたことも一般的になってきました。気軽に発注していただける環境があることをもっと知ってもらい、我々のクリエイティブで街おこしに貢献していけたらいいなと思っています」

案件におけるデジタルコンテンツの比重が増していくなか、最新の技術を取り入れていきたいと語る匹田氏。
「メタバースの空間内の絵作りなどの研究工夫を行っています。デジタルの知見を溜めつつ、我々が昔からやっていたアナログのイラストとうまく融合させたら表現の幅が広がり、さまざまな需要があるのではと考えています。これまでも時代に合わせて潰れないようにやってきましたが、物事が倍速で進んでいる今、まだ未知の新たなジャンルも出てくるはず。それに対応できるのはやっぱり若い子達だと思うので、彼らを受け入れられるように、会社の規模を大きくしていきたいですね」

匹田絵人

株式会社レバーン 代表取締役社長
https://lesbanc.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。