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原園文一
HARAZONO FUMIKAZU

原園文一

マイクロモジュールテクノロジー株式会社 代表取締役

半導体製品の小型化を実現する実装技術で、
日本のものづくりの復権に貢献する。
「半導体の実装技術は、設計と製造の間に入って双方をつなぐ役割。ここが機能しないと半導体製品をつくることはできません」と語るのは、半導体実装技術や小型電子機器モジュールなどの開発及び製造などを手がける、マイクロモジュールテクノロジー株式会社代表取締役の原園文一氏。
原園文一
画像はイメージです。
日本のものづくりの衰退に危機感を覚えて起業。

半導体デバイスを回路基板へ実装する際、従来はデバイス回路を上面にして電極と基板を金ワイヤで接続していたが、近年ではデバイスの電極が下面となるように反転(フリップ)して基板へダイレクトに実装する「フリップチップ実装工法」が登場。電子回路をより小さく薄くし、性能も向上させることが可能になった。マイクロモジュールテクノロジーでは、このフリップチップをベースに、独自の工法や素材、装置・プロセスの工夫によって、あらゆる製品への半導体の実装を実現している。

半導体を基板に乗せる際には、細さ数10ミクロンのハンダ付けなどをしているという。子どもの頃からものづくりが好きだったという原園氏。妹のエレクトーンが故障した際、すぐに修理してくれたサービスマンの技術に感心し、電気技術者に憧れた。工業高等専門学校に進学し、卒業後は大手電機メーカーに就職。メーカーでは主にカメラモジュールを小型化する仕事に携わり、世界最小の車載カメラを実現したほか、さらにそれを発展させて、携帯電話に搭載する小型カメラの開発などに携わってきた。

そんな原園氏が、安定した大手電機メーカーの職を辞して独立したのは2008年のこと。
「カメラの小型化開発に一定の目途がついていたところに、携帯事業からの撤退が決まったのです。日本の製造業全体を見渡すと、当時は工場がどんどん海外に流出し、ものづくりを知らない技術者が増加していました。このままでは日本の製造業は衰退してしまう。そんな危機感を覚えました」

自分自身も、管理職として書類仕事や会議の割合が増えていくのに対し、もっと現場で仕事をしたいという思いが募っていた。そうしたタイミングで知った早期退職者の募集。「こうなったら自分でものづくりの会社をつくろう!」と決意した原園氏は、上乗せされた退職金に加え、銀行からの融資を受けて起業した。

原園氏がマイクロモジュールテクノロジーを立ち上げる際に決めたのは、半導体実装の試作について、たとえ1個でも断らずに注文を受けること。そしてどんなに困難な開発試作依頼でも対応すること。これらを貫くことで技術力を高め、ノウハウを構築するうちに評判が広まり、紹介による依頼も増えていった。現在では「マイクロモジュールテクノロジーでできなければ、日本ではできるところはない」という評価を受けるまでに成長。同業他社から、自分たちでは手に負えない案件が回ってくる機会も多いそうだ。

原園文一
次世代パワーモジュールなどの自社製品開発にも挑戦。

「半導体製品を小型化、薄型化することには、さまざまなメリットがあります。部品を小さくして基板への搭載感覚を狭くすれば、同じスペースに多くの 部品を盛り込めますから、機能を増やすことができます。さらに配線が短くなるので、性能をアップすることも可能です。また、個々の部品や製品の基板を小さくすれば、コストも下げられます」

日本の電子機器には久しく画期的な製品が出てきていないが、半導体製品の小型化、性能アップで魅力的な製品作りをサポートしていきたいという。
最近では、自社製品の開発と実用化にも積極的に取り組んでいる。そのひとつが次世代パワーモジュールだ。EVなどにおいて、バッテリーの直流電流をモーター駆動のための交流電流に変換するのがパワーモジュール。

従来はシリコン(ケイ素/Si)製の半導体が用いられていたが、これに置き換わるものとして注目されているのがシリコンカーバイト(炭化ケイ素/SiC)製の半導体だ。SiC半導体はSiに比べて電気抵抗率が10分の1と低く、数倍も高速なスイッチング動作が可能。また、200度以上の高温でも動作可能なため、Si半導体で必要な冷却装置が不要となり、全体をよりコンパクトにできる。マイクロモジュールテクノロジーはフリップチップ工法による超小型次世代SiCパワーモジュールの実用化に成功し、従来の10分の1という業界最小サイズながら電力変換効率を30%向上させたモジュールを実現している。

さらに、得意のカメラモジュール開発技術を活かし、オリジナルの小型USBカメラの製造・販売を行うほか、人間の目では識別できない波長の光も記録できるマルチスペクトルカメラの開発も進行中だ。

「今のところはBtoB製品ばかりですが、将来的にはコンシューマ向けのカメラなどの開発・販売も行ってみたいと思っています。街で自社製品を見かけることは、社員にとって大きなモチベーションアップになりますから。受託だけでなく、社員全員が自らの発案で製品やものづくりを考える真の製造業を目指したい。いろいろなものを小さくすることで社会貢献できる商品を生み出し、日本のものづくりを元気にしていきたいですね」

原園文一

マイクロモジュールテクノロジー株式会社 代表取締役
http://www.micro-module.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。