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趙凡
CHO BON

趙凡

株式会社Blue Tiger Consulting 代表取締役

OAと基幹システムを一気通貫に利用できる統合サービスによって
日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進する。
近年、リモートワークが普及するにつれて、クラウド型のERP(Enterprise Resources Planning・基幹業務システム)を導入する企業が増えている。これを背景に、ERP関連の開発や導入、コンサルティングなどで急成長を遂げているのが、2015年に創業した株式会社Blue Tiger Consultingだ。同社代表、趙凡氏の挑戦をご紹介しよう。
趙凡
画像はイメージです。
精度の高い自動化処理技術が最大の武器

「従来のERP導入におけるボトルネックだった情報収集と入力の手間を、自動化処理によって突破したこと。それが弊社の最大の強みです」と語る、株式会社Blue Tiger Consulting(ブルータイガー・コンサルティング)代表取締役の趙凡氏。企業の経営資源を統合的に管理し、経営の効率化を図ることのできるERPは、大手で未導入の企業はほぼないが、中小企業となると導入率は一気に下がる。

「日本には年商50億以下の企業が300万社以上ありますが、ERPの普及率は5〜10%といったところでしょう。その理由は人員コストにあります」
趙氏によれば、ERPを導入する場合、通常はデータの入力やシステムの保守のために社員数100人の企業ならその1割、10人編成のチームが必要だと言う。
「そしてIT分野への投資は前年度の売上げの約1%が平均値で、年商25億なら2500万になりますが、これではITチームを組むには予算が足りません」

人手を要する一番の要因は、何と言っても経費の精算書や請求書をはじめ、社員から提出されるさまざまな書類のデータをシステムへ入力するのに時間と手間がかかってしまうことだ。「その点弊社がご提供するサービスでは、たとえば経費精算なら領収書の写真を撮って、ZOOMやマイクロソフトTeamsのチャットにその写真を送ればそれで完了。いちいちキーボードで入力し直さなくても、AIがその場でERPシステムにつなげて自動入力してくれます。またメールボックス内の検知機能によって、見積もりや受発注のやりとりから互いの合意が得られた時点で注文書などを自動登録し、直接ERPに上げることもできます」

メールは決まったフォーマットで作成しておく必要もなく、AIが本文から判断してくれるという。その他にも、ECサイトとの売上げ情報データ連係など、クラウドERPと他の各種クラウドサービスの違いを意識することなくシームレスに利用できるクラウド統合サービスを提供している。こうした自動化処理技術に加え、保守メンテに関しても手厚くフォローするため、社内に特別にITチームを編成する必要がなく、その分ローコストでクラウドERPを導入することを可能にしている。

「また弊社も扱っているオラクルのNetSuiteやマイクロソフトのDynamicsは多機能で高性能な分、年間の使用料も高額です。そこまでのスペックが必要ないというより小規模な企業向けには、自動仕分けやキャッシュフロー計算書など必要最低限の会計レポートができる独自のミニERPや、さらにERPなしで自動処理したデータをExcelの形で出せるサービスもリーズナブルな価格でご提供しています」

趙凡
日本、中国、そしてアジアの掛け橋となりたい

Blue Tiger Consultingが高度な自動化処理技術を安価に提供できるのは、趙氏が中国出身であることも大きい。
「たとえば文字認識は中国で成熟した技術で、それをベースに日本語向けにカスタマイズすることはあまり手間もコストもかかりません。
また開発自体を大連や上海の子会社など海外の拠点で行っていることも、価格を抑えられる理由のひとつです」
中国東北部の吉林省で生まれ育った趙氏は、ゲームや『ドラゴンボール』をはじめとする漫画やアニメをきっかけに日本に興味をもち、大連理工大学理学部で専攻の機械設計と並行して日本語を学んだ。

当時中国ではまだ日本語を話せる技術者は多くなかったため、日本語と技術を生かせる仕事をしたいと考えて、1997年の卒業後は上海カシオ計算機などで日本向けのソフトウエア開発に携わった。
「初めて来日したのは2008年。上海IBMに転職して3カ月目に、念願の日本勤務がかないました。そして日本で暮らしてみて、コンビニの店舗ひとつとってもサービスのレベルが高く、またそれを全国どんな場所でも受けられることに感心しましたね」

豊かで落ち着きがあり、心の余裕が感じられる。それが日本を起業の場に選んだ理由のひとつだと趙氏は言う。
「上海をはじめ中国はビジネスにスピード感があるのはよい点ですが、反面競争が激しすぎるところがあります。もっとも日本にも中国にもそれぞれ長所があるのでそれらをうまく活かし、生み出したものを将来的には他のアジアの国に広めたい。そうして日本、中国、そしてアジアの掛け橋となりたいですね」

Blue Tiger Consultingが提供するサービスは、企業の意思決定層のためだけでなく、現場スタッフの負担を軽減し、やりがいの向上につなげるためのものでもあると語る趙氏。今後も3年以内に上場を目指しつつ、日本および海外のITリソースと連携し、クライアントの業務を便利にする商品を打ち出していきたいと言う。
「OAと基幹システムを一気通貫に利用できる統合サービスを広めることで、徹底的にお客様の作業効率を上げ、コミュニケーションをスムーズにする。そうして日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進したい」
クライアントに喜んでもらえることが何よりのモチベーションだという趙氏の挑戦は、いよいよこれからが本番だ。

趙凡

株式会社Blue Tiger Consulting 代表取締役
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※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。