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三宅卓
MIYAKE SUGURU

三宅卓

株式会社日本M&Aセンター 代表取締役社長

1社でも多くの企業の存続と発展に寄与し、日本の経済成長に貢献する
2017年秋に経済産業省と中小企業庁がまとめた試算によると、今後、中小企業の廃業が急増し、2025年までに650万人の雇用が失われる可能性があるという。その大きな原因とされるのが、経営者の高齢化および後継者不足にともなう事業承継問題だ。この問題を解決する一手としてM&Aのニーズが高まっている。こうしたなか、時代に先駆け1991年から中小企業のM&Aを数多く手がけてきた企業は今、日本の明るい未来を築くため新たな一歩を踏み出した。
三宅卓
中小企業のM&Aの礎を築いた10年

株式会社日本M&Aセンターは、戦後の日本経済を支えてきた中堅・中小企業の経営者の後継者問題を解決し、企業を存続させるための友好的M&Aの推進をミッションに掲げる。設立から29年、一貫して中小企業のM&Aに注力し、地域経済、日本経済の活性化に貢献してきた。地域金融機関や会計事務所で構築された国内最大級のM&A情報ネットワークをもち、全国規模での効果的かつ効率的なマッチングを行えることから、M&A累計成約数は5,000件を超える。

「設立当時は、M&Aは決して今のような明るい印象ではありませんでした。売り手企業からしてみたら会社を乗っ取られるようなイメージがあったでしょうし、買い手企業にしてみても、世間からは戦略的というよりもやや暴力的と捉えられていた時代でしたね。当社には今あるM&A業界の土台を長い年月をかけて地道に作ってきたリーディングカンパニーであるという自負があります」
そう力強く語るのは、同社代表取締役社長の三宅卓氏だ。

三宅氏がM&Aに携わるようになったのは、同社代表取締役会長の分林保弘氏の存在が大きい。新卒で入社したコンピューター会社では当初、会計事務所向けのシステム販売を担当していたが、そのときの上司が分林氏だった。その後、分林氏は転職し、三宅氏は会社に残って銀行向けのシステム作りを担当した。
「一度はそれぞれの道を歩みましたが、あるとき分林からM&Aの会社を設立すると聞き、ぜひ参加させてほしいと手を挙げたのです。銀行向けのシステムを作るなかでM&Aに興味をもち始めており、タイミングが合ったこともありました」

分林氏が設立を考えたきっかけは、会計事務所から聞く中小企業の後継者問題への嘆きだったという。いくら高機能の会計システムを提供し、仕組み改善などで経営上の問題を解決しても、後継ぎがいなければ会社は存続していけないと気づいた分林氏は、中小企業に向けたM&Aマーケット作りに取り組もうと考えた。そのビジョンに共感した三宅氏は退職し、日本M&Aセンターの設立に参画。当時まだどこも手をつけていなかった中小企業M&Aのノウハウ構築のために動き出した。

「最初の10年はとにかく一つひとつやり方を決めていくことの連続でした。会社の値段はどうやって決めるのか、買収監査はどうやって行うのか。契約書一つとっても、大企業同士であれば何百ページにもなるものを、中小企業規模ならばどういった体裁にするのが適切なのか。そうした細かいところから順次、構築していったのです」

基礎固めの10年を経て、同社は次なる目標を打ち立てた。
「10年を振り返ったとき、お客様から想像以上に喜んでもらえていることに気がつきました。会社を残せたこと、雇用が守られたこと、自分が作った会社の名前が残ったことなど、たくさんの喜びの声をいただいたのです。もっと喜んでもらえる会社を作っていかなければと考え、M&Aマーケット規模の拡大を目指し、成長路線へと舵を切りました」

三宅卓
中小企業の事業承継問題をM&Aで解決、IPOで地方創生へ

同社がその第一歩として取り組んだのは、M&A業界のデファクトスタンダードを作ることだった。
「M&Aの進め方には明確な決まりがなく、同じゴールにたどり着くにも、そのプロセスは人によって様々。情報も共有されず、属人的になっているところがありました。そこで、市場規模を拡大するにあたり、皆が同じプロセスを踏めるよう、標準化に取り組んだのです。時流の変化に沿いつつ改良を重ね、多様性が重視される現代社会にフィットした、フレキシビリティのあるスタンダードを作っていくことを目指しています」

同時に、中小企業の事業承継問題が取りざたされるなか、今後は特に地方でM&Aのニーズが高まることを見据えた取り組みも行っている。
「当社も社員を増強しておりますが、日本全体のニーズから考えるとM&Aコンサルタントの数はまだまだ足りません。そこで、M&A 実務者の育成を目的に独自のM&Aエキスパート認定制度を創設し、その普及活動にも力を入れています」

地方の中小企業のニーズを捉えたこの認定制度は、地方銀行や会計事務所を中心に資格取得が進み、全国で約3万人のエキスパートを輩出した。一方、M&Aに長い年月向き合ってきた企業として、「M&Aのあるべき理想の姿」へのこだわりも忘れてはいない。

「M&Aは成立したら終わりではありません。あくまでも経営統合はスタート地点です。日本のM&Aは、このスタート地点での決め事がぼんやりとしてしまいがちなことが弱み。多民族国家のアメリカでは言語や宗教が人によって異なることから、価値観の違いがあることが大前提。だからこそ細部まで明文化し、一緒に肩を組んで歩み始めようという風土があります。私たちはその点のコンサルテーションをする役割を担い、売り手側と買い手側の両社の意識を統一させるために、結婚式のような演出をした調印式を開催しています。両社に幸せを生む『最高のM&A』を追求し、会社と会社の架け橋となってサポートすることで、日本経済に活気を取り戻せればと思っています」

時代の変化に合わせてM&Aのあるべき姿を日々模索してきた同社が、今後の挑戦のキーワードとして挙げるのが「地方創生」だ。地方に若者を集めるためには、地元企業がより魅力的であることが必須と考えた同社は、2019年7月、東京証券取引所のプロ投資家に限定された市場「TOKYO PRO Market」の審査およびモニタリングを行うプロフェッショナルとしての資格「J-Adviser」を取得。これにより、地方企業の株式上場(IPO)支援が可能となった。

「5年で地方企業100社のIPOを成立させることが当面の目標です。我々の強みであるM&Aによる企業成長支援にIPO戦略支援を加えることで、地方経済にとって重要な地元の中堅企業をスタ―企業に成長させ、地方をより活性化させたい。まずは成長のファーストステップとしてTOKYO PRO Market、その後、東証一部や東証二部といった一般市場へステージアップさせていくことで、確実な企業の成長を実現したいと考えています」

M&Aの礎を築き、その市場の拡大を図り、さらに今、地域経済に活気を呼び戻すための総合的な経営コンサルティングにまでサービスの幅を広げている日本M&Aセンター。1社でも多くの企業の存続と発展に寄与し、日本の経済成長に貢献するという同社の強い使命感が、日本を明るい未来へと導く。

三宅卓

株式会社日本M&Aセンター 代表取締役社長
https://www.nihon-ma.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。