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出会った一人ひとりを大切にする
17歳で高校を中退した後は、実家の鍛冶屋を手伝いながら、派遣社員として数々の仕事を経験。「当時は決して得意ではなかった」と話す営業職や、仕事仲間に誘われて立ち上げに参加したシステム開発会社の役員を経て、嘉氏は2005年にエクシードジャパンを設立した。
「当初、事業の軸になっていたのは、前職でも経験のあったコールセンター。それと並行して人材派遣事業を立ち上げたのですが、お客様からの要望や人材派遣の方が伸びてきたこともあって人材派遣に絞りました」
嘉氏がそう話す“選択”の背景には、「自身のように学歴や確固たるキャリアのない人たちが、チャンスを掴むための後押しをしたい」という強い思いもあった。人材派遣業において当時からいまも大切にするのは、とにかく働く人に寄り添うこと。そして、「人のために時間を使うことを惜しまない」という信念だ。
「いまの時代のスタッフに同じことを求めるのは難しいかもしれませんが、派遣スタッフさんには『何か困ったことがあればいつでもいいから相談してください』と。実際に相談があれば、夜中でも土日でも関係なく飛んで行きましたし、対応を絶対に後回しにはしない。最近はLINEなど便利なツールも出てきていますが、とにかく一人ひとりのスタッフさんに時間を使うという基本的な姿勢は、いまも根付いています」
本社のある大阪と東京に、現在抱えるスタッフは人材コーディネーターを含め、約600名にもなる。その全員に対して、独自の教育訓練制度に基づくトレーニングやキャリアコンサルティングを実施するなど、関わるすべてのスタッフのキャリア&スキルアップに注力するのが同社の特長だ。
「仕事を求めて来てくれた人たちが、それぞれ、自分に合った居場所(仕事)を見つけられるようサポートすることはもちろん、彼らが世の中から求められる人材として成長してくれることが、私たちの社会貢献です。また、私たちのゴールは派遣することではなく、派遣先での生産性を高めること。トレーニングなどを通じて、求職者がスキルと自信を得て派遣される現場で結果を出してくれるから、営業力や生産性を高めたい企業をはじめ、オフィスワークのスペシャリストを求める企業など、あらゆる企業における組織強化のニーズの一端を担うことができているのです」
独立支援によるグループ化を目指す
そう話す嘉氏が次に掲げるのが、「自社から多くの社長を輩出する」という目標だ。エクシードジャパンでは、人材派遣コーディネーターが自ら営業も担当し、それぞれが受注した案件に責任をもって対応する。この手法は嘉氏が以前に人材派遣コーディネーターとして勤めた会社と同じものだが、報酬体系などは大きく異なる。
「幹部をはじめとする社員たちからの希望で数年前に報酬体系を見直しました。現在は利益の何パーセントが報酬になると決まっているので、結果を出せば出すほど給料が上がります。そうした給与体系や福利厚生などについて、私が独断で決めることはほとんどありません。他にも、1年目、3年目、5年目……と、節目ごとに記念品を贈るなど、社員のアイデアを取り入れながら、モチベーション高く働き続けてもらえる会社経営を行っています」
そんな同社で人材派遣コーディネーターとして十分に成長した結果、「経営者を目指す人はぜひ目指してもらいたい」と嘉氏は言う。
「自分自身の経験を振り返ると、以前に人材派遣コーディネーターとして勤めていた会社を、辞めたくて辞めたわけではないんです。その会社に独立を支援してくれるような制度があれば、いまもその当時の社長と手を繋ぎながら、グループとして大きくなるという未来があったかもしれない。だからこそエクシードジャパンでは、そんな可能性を追求していきたいと考えているんです」
すでに今年(2022年)には、東京オフィスで事業部長を務めてきた吉澤大輔氏が、エクシードジャパンの支援を受けて独立。
「これまで近くで見せてもらった、人のために時間を使うという社長の姿勢や思いを受け継ぎながら、スタッフと力を合わせて自分なりの会社を作っていきたいと考えています」
そう話す吉澤氏は東京の飲食店で嘉氏が自らスカウトし、入社5年で部長に昇進したというキャリアを持つ。若くて優秀、そして気概のある吉澤氏のような社長を、自社内から今後もどんどん輩出し、「女性を含むより多くの人々にチャンスを与えられるグループ企業となること」を嘉氏は目指す。
人材派遣事業では、東京や大阪以外のさらなる拠点展開も視野に入れつつ、これまでのナレッジを活かした求人広告事業や、「ことりカフェ」の運営など、幅広い事業にも挑戦する。
「ITがどれだけ発展しても人材派遣業にはまだまだ可能性がありますし、今後もスタッフたちと力を合わせて、色々なチャレンジを続けていきたいと考えています」
エクシードジャパンが掲げるのは、『すべての人々の居場所(仕事)をつくる』という壮大なミッション。同社と嘉氏の挑戦は、これからもまだまだ続いていく。