
急成長と安定を支える、現場経験から得た知識
もっちりクレープ&タピオカのGelaFruを運営する、株式会社ジェラフル。2004年7月に創業し、全国に31店舗を展開している(2019年10月24日現在)。出店場所は観光地ではなく、ショッピングモールや住宅地。半径3km以内の住民をターゲットに、各店舗が地域に密着するスタイルをとっている。安定したビジネスモデルを確立しているため、独立志望のフランチャイズ(以下FC)オーナー志望者が後を絶たず、出店スピードが年々上がっている。
「高校卒業後は、デパート販売員や水道業界を経て、芸能の仕事の傍ら飲食店に勤めていました。ひょんなことから、私が東京汐留のイタリア街に軽飲食の店舗を出すことになり、片手で食べ歩きできて景観に映える食品として、クレープを扱うことになりました」
そう語るのは、代表取締役の吉田達二郎氏。今は経営に専念しているが、創業から10年以上、ほぼ休むことなく現場に立ち続けた。「どうしたら人の目を引けるのか、どうしたら売れるのか」、その答えを求めて、店舗に立ちながら通行人の様子を観察したり、街中の看板の見せ方を研究したり、集客方法を徹底して追究し続けた。
現在展開中の1店舗あたりの面積は約5坪だが、そのレイアウトや什器の配置のすべてに吉田氏のノウハウが詰め込まれており、自ら商品開発にも携わっている。
「ラーメン業界などでは現場歴10年以上の人は沢山いますが、クレープ業界で私ほど現場経験がある人は聞いたことがありません。弊社は外部コンサルを一切入れていないのですが、それは汗水垂らしながら現場で得た知識に勝るものはないと考えているからです。数字上のデータも大事ですが、コンサルのアドバイスは机上の空論に過ぎません。弊社には100ページのマニュアルがあるのですが、これは私が自分で作ったんですよ」と、笑う吉田氏。実学が反映された戦略とメニュー構成が、ブームに左右されない売上を支えている。
同社が事業を行う上で大切にしているのは、当たり前のことをしっかりやること。小難しい社訓やクレドは、あえて設定していない。多くを望んでいるわけでなく、元気な挨拶、人の目を見て会話すること、笑顔でちゃんと「ありがとう」と言えること、たったそれだけを徹底できれば良いと考えている。
「当たり前のことを最低限やっていれば、必ずお客様は帰ってくるし、誰かが見ていてくれます。欲を言えば、常連さんと『髪切りました?』のような、プラスワンのコミュニケーションがとれたら良いですね」