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大和行男
YAMATO YUKIO

大和行男

医療法人社団先陣会 理事長

医療を通して地域・雇用・子どもの未来を守る、児童精神科と病院開業のエキスパート。
公的医療費抑制策による経営難や人材の流動化が、地方医療の崩壊を招きつつある昨今。日本の医療体制の基盤が揺らぐなか、東京都内で3院を展開する医療法人社団先陣会理事長の大和行男氏は、地方医療再興に向けた取り組みを続けている。
大和行男
画像はイメージです。
医療現場に到来する時代の波

保険診療の際に医療機関に支払われる診療報酬は、2年に1度改定される。財務省は診療所経営が良好との調査結果をもとに、2024年度の診療所の診療報酬を5.5%引き下げることを提言。これに対し日本医師会などが強く抗議し、診療報酬本体を0.88%引き上げることが決定した。医療制度をめぐっては政府と医療関係団体の間で激しい綱引きが繰り広げられており、大和氏は国が進める「医療DX」にも議論が必要だと話す。電子カルテの標準化やオンライン診療の導入など、診療に関連する作業のDX化は人手不足への貢献が期待される一方、地方の開業医の多くは高齢で、未だに紙カルテを扱っているからだ。

「医療DXに対応できない医療機関は、診療報酬の請求ができなくなる見通しです。経営が立ち行かなくなれば、まず診療所、次にすぐ近くの調剤薬局が潰れる。すると看護師や薬剤師、医療事務員など、そこで働く多くの人が職を失うことになります」

医療は国の基幹産業であり、医療従事者の失業率上昇は地域経済に与える影響も大きい。そこで大和氏は、病院のM&A(買収・譲渡)や有料人材紹介業により、若手医師や看護師、薬剤師の雇用創出に貢献するべく、神速キャリアアシスト株式会社を立ち上げた。病院の開業には大きく分けて新規開業と継承開業があり、後者は前院長が運営する医院を引き継ぐ形で開業を行う。近年、後継者不足や高齢化の影響で親族間の継承が困難になり、第三者による継承が増加中だ。だが、M&Aは仲介事業者の手数料が高額になることが多く、特に若手経営者にとっては負担が大きい。そこで大和氏は一律300万円+実費検査料のみと、業界相場よりも大幅に仲介料を引き下げた。

有料人材紹介業でも、業界平均25〜40%の紹介手数料率を一律15%に設定。大和氏は、「近年はクリニックの統廃合が進んでおり、医療DXの影響による廃業も増えるでしょう。今後は好条件の物件がたくさん市場に出回ると考えられます。開業にまつわる自身の経験から得たスキルを活かし、多くの医師の開業と継承を安価にサポートします」と意欲を語る。

大和行男
次世代のために手を尽くす

大和氏の活動は、多様なキャリアが原動力となっている。東京大学に現役合格した大和氏は、卒業後に約2年間会社勤めした後、新潟大学医学部に入学。その後は勤務医として精神科に従事し、子どもの不登校や虐待などに対応する「子どものこころ専門医」にも認定されている。そして、2018年に豊田こころのクリニック、22年にイーアス高尾クリニック、23年にこころと美容のクリニック東京と、わずか5年で3院を開業。東京院・高尾院では児童精神科に加え、皮膚科、アレルギー科、小児科、婦人科、内科といった総合診療を行い、さらに東京院では自由診療である美容皮膚科もスタート。東京23区で美容皮膚科を黒字化するには2年かかるといわれるなか、東京院は融資を一切受けずに開業し、1カ月で黒字化を達成。今年は新クリニックの開業を控えており、自身のYouTubeチャンネルで黒字化達成の道のりを公開する予定だ。

現役医師として診療を行う傍ら、株式会社と社団法人の設立準備、動画制作と幅広く活動する大和氏。その信念は、高校時代から変わっていない。
「子どもに関わりたいと思う気持ちは一貫していて、最初は教師になるのが夢でした。ですが、教師は学校に来ない子どもには関われないことに気付き、一度社会に出て医学部の学費を貯めることにしました。その後、児童精神科で医師として色々な家庭の子に出会い、子どもの多様性は社会の多様性を表していることに気付かされました」

大和氏のモットーは「診られるものは全て診る」総合診療。さらに東京院ではじめた児童精神科の訪問診療や、自身のYouTubeチャンネルで行った家や学校に居場所のない少年少女へのインタビューを通じて、子どもが見せる顔の多様性や、医療だけでは救えない現実に直面してきた。自分の信念を貫くには、医療法人だけでなく株式会社で活動する必要性を感じ、神速キャリアアシストを立ち上げることになったという。
「薬剤師や看護師には子持ちの女性も多く、地域医療が崩壊すれば、子育ても困難になるでしょう。医療を守ることは、雇用、地域、そして日本の未来を担う子どもを守ることにつながります。今後の深刻な医師不足が予想される社会で、専門性をもつ若い医師の開業支援や総合診療のスペシャリストを育て上げるのが私の使命です」

大きな転換期を迎える医療業界。地域医療の継続と日本国民への安定した医療供給のため、医師一人ひとりに課せられた役割は大きい。児童精神科とクリニック開業のエキスパートは、医療の質を高め、子どもたちが笑顔で自分の未来を選択できる社会の実現のため奔走し続ける。

大和行男

医療法人社団先陣会 理事長
https://senjinkai.tokyo/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。