受講者の新しいスタートを支援する
山田氏は大学を卒業後、大手資格予備校の講師や支店長を経て、株式会社フォーサイトを設立。当時、事業の柱に据えたのが、不動産業界を専門とする企業研修だった。
「当時はまだ企業研修自体があまり行われておらず、私自身もいかに効果的な研修を実施するかという課題と日々向き合っていました。そうした中で、会社全体として学ぶためのシステムを企業がもつことの大切さに気づき、全社にわたる能力開発システムの構築など、体系的な研修を開発して実施していたのです」
転機となったのは1995年、きっかけは山田氏の研修を全国の支社の社員に受けさせるための「通信教育を考えて欲しい」という、クライアントからの依頼だった。
「当時、私自身には『本物の教育とは講師と受講生との戦いである』という持論があり、通信教育には少し否定的な考えをもっていました。しかし、全国に支社があるような企業ですべての社員に対し、同じレベルの研修や教育を行うためには、通信教育が必要不可欠なものになっていました。そこで通信教育で研修を行うためのシステムやカリキュラムの開発をスタートさせ、約3年をかけて満足のいく通信教育システムを完成させたのです」
そうして開発したシステムを土台に、2002年からは通信教育事業に参入。フォーサイトとして数多くの試験対策本なども出版し、2007年には年間受講者が1万人を突破。質の高い講座に加え、インターネットの普及を追い風にして瞬く間に事業を拡大させた。
「私たちが目指すのは、すべての受講者を合格させること。そうした究極の目標を達成するために、フォーサイトでは年々合格率をアップさせる改善を続けています」
山田氏がそう話す通り、同社では毎年カリキュラムの見直しを実施。高い合格率に満足せずカリキュラムを刷新するのは、長年の経験やデータの蓄積から、合格率を左右する要因が、受講者の質ではなくカリキュラムの質にあると確信しているからだ。
また、受講者のタイムパフォーマンスを重視した効率的な勉強法を提示するのも、フォーサイトの講座の特徴だ。
「当然ながら資格取得を目指す人にとって、第一の目的は試験に合格して資格を取得すること。そして、資格を手にして新たなスタートラインに立つことです。そのために優先すべきは、100点を目指すことではなく合格ラインを1点でも上回る点を獲得すること。たとえばインプットよりもアウトプットの割合を増やし、間違いが多い部分を例題や過去問題で重点的に勉強するなど、最短期間に効率的な学習で合格するための戦略に基づいた勉強法で、受講者の合格率とタイムパフォーマンスの双方を向上させることにも注力しています」