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山田浩司
YAMADA KOJI

山田浩司

株式会社フォーサイト 代表取締役社長

若い世代に響く“新しい教育”で
日本の未来に貢献したい
1993年に不動産研修会社として創業し、2002年に通信教育業界に参入した株式会社フォーサイト。特に行政書士や社会保険労務士、宅地建物取引士といった難関資格に向けた対策講座に注力し、2022年の合格率は全国平均の4.46倍を達成。同社の講座を受講した累計受験者数は、現在までに38万人を超えている。最近ではバーチャル講師の採用など、新たな取り組みで通信教育業界に新風を送り込み続ける同社の山田浩司社長に、事業の背景にあるビジョンなどを聞いた。
山田浩司
画像はイメージです。
受講者の新しいスタートを支援する

山田氏は大学を卒業後、大手資格予備校の講師や支店長を経て、株式会社フォーサイトを設立。当時、事業の柱に据えたのが、不動産業界を専門とする企業研修だった。
「当時はまだ企業研修自体があまり行われておらず、私自身もいかに効果的な研修を実施するかという課題と日々向き合っていました。そうした中で、会社全体として学ぶためのシステムを企業がもつことの大切さに気づき、全社にわたる能力開発システムの構築など、体系的な研修を開発して実施していたのです」

転機となったのは1995年、きっかけは山田氏の研修を全国の支社の社員に受けさせるための「通信教育を考えて欲しい」という、クライアントからの依頼だった。
「当時、私自身には『本物の教育とは講師と受講生との戦いである』という持論があり、通信教育には少し否定的な考えをもっていました。しかし、全国に支社があるような企業ですべての社員に対し、同じレベルの研修や教育を行うためには、通信教育が必要不可欠なものになっていました。そこで通信教育で研修を行うためのシステムやカリキュラムの開発をスタートさせ、約3年をかけて満足のいく通信教育システムを完成させたのです」

そうして開発したシステムを土台に、2002年からは通信教育事業に参入。フォーサイトとして数多くの試験対策本なども出版し、2007年には年間受講者が1万人を突破。質の高い講座に加え、インターネットの普及を追い風にして瞬く間に事業を拡大させた。

「私たちが目指すのは、すべての受講者を合格させること。そうした究極の目標を達成するために、フォーサイトでは年々合格率をアップさせる改善を続けています」
山田氏がそう話す通り、同社では毎年カリキュラムの見直しを実施。高い合格率に満足せずカリキュラムを刷新するのは、長年の経験やデータの蓄積から、合格率を左右する要因が、受講者の質ではなくカリキュラムの質にあると確信しているからだ。
また、受講者のタイムパフォーマンスを重視した効率的な勉強法を提示するのも、フォーサイトの講座の特徴だ。

「当然ながら資格取得を目指す人にとって、第一の目的は試験に合格して資格を取得すること。そして、資格を手にして新たなスタートラインに立つことです。そのために優先すべきは、100点を目指すことではなく合格ラインを1点でも上回る点を獲得すること。たとえばインプットよりもアウトプットの割合を増やし、間違いが多い部分を例題や過去問題で重点的に勉強するなど、最短期間に効率的な学習で合格するための戦略に基づいた勉強法で、受講者の合格率とタイムパフォーマンスの双方を向上させることにも注力しています」

山田浩司
教育界初の“バーチャル講師”を実現

近年は一部で日本の国力の衰退が叫ばれ、その要因を若者たちの資質に見る向きも少なくない。しかし山田氏は、「日本の若者は自分たちの世代よりも優秀だ」と断言する。
「私は現在61歳ですが、頻繁に食事をともにするなど、会社の若い世代との接点を多くもっています。だからこそ、たとえばSNSなどを使った情報収集や分析、発信などの能力や、他者を思いやる心など、彼らの素晴らしさを知っています。それに様々な業界を見渡しても、メジャーリーグの大谷翔平選手をはじめ、世界で活躍する日本の若者は数多く存在しています。それなのに日本が浮上できない原因は、現在の社会制度や教育などが今の若者に合っていないからではないでしょうか」

そうした問題意識から、同社では旧来型のトップダウンを排除し、会社の運営方針を若い世代を含めた社員全員で決定する。また、若手社員を適材適所で配置し、それぞれが得意分野を伸ばせるような仕組みの採用も進めている。
さらには「教育の現場から日本の若い世代を支えたい」との想いから、大学入試講座でのバーチャル講師の採用もスタート。アニメのキャラクターのようなバーチャル講師の声には有名声優を起用するなど、若者の学ぶモチベーションの向上に繋がる取り組みを推進してきた。

「今では受講者からの評判も上々ですし、バーチャル講師を取り入れる企業なども増えています。しかしスタートさせた当時は、『神聖な教育を汚すな』といった批判が矢のように飛んできました。講座の内容は批判されるものではありませんから、表面的な印象への批判だと思います。とはいえ、私自身は当時から、若い人が学ぶことに興味をもってくれるなら、好きなアニメ声優であろうと最新のテクノロジーであろうと、動機はなんでも良いと考えていました。また、最近ではChatGPTやメタバースが話題になっていますが、世の中の流れは常に変化し、テクノロジーは途轍もないスピードで進化しています。そうした大きな流れを受け入れ、楽しみ、自分自身や会社の在り方はもちろん、教育界を変えていくことも私にとっての正しい道だと確信しています」
日本の教育の在り方を民間から変革し、次の世代に良質な教育を残すために、挑戦を続けるフォーサイト。同社が切り拓く教育事業の未来に注目だ。

山田浩司

株式会社フォーサイト 代表取締役社長
https://www.foresight.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。