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古い価値観に縛られた経営層のマインドセットを促す。
「国内外のさまざまな企業と仕事をしてきて感じたのは、『日本はもったいない』ということです」と語る、ロタンダコンサルティング株式会社代表取締役の和田洋介氏。「よい技術や人材はもっているのに、停滞している企業がたくさんある。とくに地方の中堅企業に多いですね」その理由はいくつかあるが、典型的なものは、過去の成功体験を引きずり、古い経営手法や価値観に縛られているケースだ。
「年功序列制だったり、社内承認プロセスが紙ベースだったり。また需要は時代によって移り変わるのに、今ターゲットにすべきクライアントが誰なのかが見えていないために、効果的な営業活動ができていないケースもよく見られます。もち腐れになっている宝を再び輝かせるためには、外部からの客観的なアドバイスによって視野を広げることが非常に重要です」
和田氏は野村證券の投資銀行部門で11年間M&Aアドバイザリー業務に従事し、最終的には金融機関向けM&Aチームのヘッドとして業界再編案件を多数実現。その後、米系保険会社日本法人の事業開発責任者や企業内ベンチャーの代表を経て2023年3月にロタンダコンサルティングを設立した。
「大手金融機関、外資系日本法人と渡り歩くなかで、日本の中堅企業には『もったいない』と感じると同時に、投資銀行や大手コンサルティングファームなどが提供するクオリティのサービスにアクセスすることが困難な状況も目の当たりにしました。そのクオリティギャップを埋める役割を果たすことができれば、世の中に大きく貢献できると思ったのが独立した理由のひとつです」
大手投資銀行やコンサルティングファームが手掛けにくい規模の中堅企業やスタートアップ企業に対して、経営コンサルティングとM&Aアドバイザリーを一気通貫して提供できることが、ロタンダコンサルティングの大きな強み。和田氏自身、事業会社の経営も行なっていたため、アドバイザー・コンサルタントと経営者両方の目線から本質的に必要なアドバイスを提供することも可能だ。
夢を追いかける人を応援することにやりがいを感じる。
大手の投資銀行やコンサルティングファームをはじめ、クオリティの高い優秀な業者とそうでない業者の違いは、ひとつの悩みに対する解決手段の豊富さ、引き出しの多さに表れると語る和田氏。
「例えばM&Aについてのアドバイスひとつとっても、ある会社を買収したいとき、単純に株を買収するのか、あるいは組織再編という方法をとるのかといった選択肢があり、さらに買うにしても、直接買いに行くのか、SPC(特別目的会社)をつくってそこから買いに行くのかといった選択肢があります。それぞれの税務的、法律的なメリット、デメリットを踏まえて提案できる力が必要です。M&Aの実行をサポートするコンサルタントは存在しますが、実務経験が乏しかったり、経営のダイナミズムまで理解できる人はあまり多くないのが実情です。また、M&A実施の判断に至るまでの経営戦略の立案段階から経営者の方と伴走できるコンサルタントはあまり多くないと思っています」
日本社会の少子高齢化が進むなか、事業承継にからんだM&Aは今後ますます活発になっていくことが予想される。
「たしかに中堅企業のM&Aはそうした事業承継の文脈で語られることが多く、もちろんその側面も重要だと思います。しかし会社を後に継ぐだけでなく、それ以前に企業としての輝きを取り戻すためのサポートを経営コンサルティングやM&Aの観点から応援したいと考えています」
M&Aは、あくまでも企業戦略を実現するための一つの手段だと言う和田氏。買いどきではない、あるいは売りどきではないと判断した場合には、別の手段を講じたほうがよい場合もあるが、売買自体が目的になってしまっているケースも多く見られると言う。
「表面上の数字だけでは判断できないので、条件がマッチしたからといって、やみくもにM&Aすればよいというものではありません。売買はあくまで一つの事象。M&Aを通じて何がしたいのか、目的を明確にする必要があります」
特に明確な夢や目標は定めていないと言う和田氏。そもそも自分が何かを達成するよりも、夢を追いかける人を応援することにやりがいを感じるのだと言う。
「もちろんコンサルティングを通じて日本経済に貢献したいという想いはありますが、これは夢ではなくて、今この瞬間に自分が楽しいと思ってやっているだけなんです。結局、私は熱い思いをもった人の話を聞くのが好きなんですよ。野村證券を退社したのも、管理職になって、経営者の方と直接話す機会が減ったことが大きな理由でした。世の中にはまだ自分の知らない世界がたくさんある。今後いろんな方と出会うなかで自分の視野を広げさせていただくとともに、新しいことにチャレンジする経営者の良き相談相手として、日本のみならず世界で成功するための参謀でありたいです」