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辻康雄
TSUJI YASUO

辻康雄

大島歯科医院 院長

初心を忘れない、
患者の痛みがわかる歯科医として。
「どれだけ歯科医療が発展した現代においても、健康な歯を維持するためには予防がまず第一です」
そうした予防歯科の大切さを強く訴え続け、歯科医となって早40年。東京の下町・大島を拠点にした地域医療で多くの患者さんに愛されてきたのが、大島歯科医院の院長を務める辻康雄氏だ。
辻康雄
できる事を、できる限り

日本大学歯学部を卒業後、同大学院の歯科臨床系歯周病学を修了した辻氏は、若くから国内外の様々な医科歯科研修に参加し、数多くの臨床経験を積んできた。歯周病を専門領域とし、1989年には義父から大島歯科医院を承継。そこから地域医療の重要性を肌で感じるようになり、「患者に求められる医療を」という一心で診療に励んできたという。

現在は歯周病治療のほか、高い技術力が要求される顔面骨格矯正治療や欠損​補綴​治療をはじめとする様々な科目を手掛ける。20年ほど前からは訪問歯科治療にも力を入れ、現在も他の歯科医師と協力体制を築きながら、週3〜4日のペースで往診を続けている。

「足腰が悪いなど、様々な事由で通院できない患者さんが沢山いることを知り、訪問診療を始めました」と言う辻氏。困っている患者がいれば「できる限りを尽くすこと」が彼のモットーである。15年前には往診車まで購入し、より高度な治療を提供できる環境まで整えた。

「訪問治療では大きな医療機器は持ち運べないため、どうしても治療に限界があるんです。しかし往診車があれば、CTなどの複雑な診療以外は可能になります。車椅子の方でも診療ができ、ポータブルユニットやレントゲンまで車内に完備されている。クリニックと遜色ない治療が提供できるようになりました」

大島歯科医院の理念は、「痛くない​、削らない、抜かないを目指し、患者さんを自分の家族と思い、口から食べるを支援します​」。訪問治療などを通じて、様々な症状と向き合う中で、歯周病からの誤嚥下性肺炎などの根本的な原因も除去できる食べ方や睡眠時無呼吸の治療など、生活全般の指導・提案にも力を入れている。

「日本は高齢化社会になり、平均寿命は年々伸びているようですが、いくつになっても自分の歯で食事を楽しんでもらいたいというのが私の願いでもあります。例えば、ものを食べたり飲み込んだりする一連の反射を摂食・嚥下反応といいますが、食べ物がきちんと飲み込めずに口の中から細菌が一緒に入ってしまい、それが原因で肺炎にかかる高齢者の方も増えています。いかに口の中の細菌を除去する定期的な口腔ケアが大事なことなのか。それをしっかり理解してほしい」

辻康雄
予防歯科の大切さを万人に

辻氏はこうした理由から、摂食・嚥下治療を積極的に行うよう取り組みながら、予防歯科の大切さを日頃の診療現場でも啓蒙し続けている。ここ数年は保育園の嘱託医としても活動の幅を広げ、「子どもの頃から口の中をきれいに保つ習慣を付けてほしい」と、その必要性を親子に向けても発信しているところだ。

「とくに現代は、親が子を思うがあまり、できるだけ食材を小さく柔らかく調理する傾向にあるようです。そうした料理に慣れてしまうと、顎の筋肉も弱まり、やがて歯並びにも影響してしまいます。そして歯並びが悪くなっていけば、歯周病など痛みを伴う病気の原因にもつながっていくんです」

辻氏曰く、現在は成人の3人に1人が歯周病にかかっているとのこと。だからこそ彼が問題視しているのは、歯医者に通わない習慣など、予防に対する危機感の欠如に他ならない。

「痛みを伴えば治療に通うけれど、痛みがなく、生活に支障がなくなれば通院しなくなってしまう。そうした方も多いのが現状です。だからこそ日頃の診療現場で、できるだけ丁寧に患者さんに向けた予防の大切さを伝えていくことが、歯科医としての使命でもあるんです」と辻氏。

その人にとって、予防をした場合にどんな良いことがあるのか。その人の人生にどれだけプラスになるのか。また予防しなかった場合はどのような症状を招いてしまうのか。そうした考えを一つひとつ具体的に、わかりやすく話してくれるのが辻氏の真骨頂だ。その親密さが地域でも評判を呼び、クリニックには連日にように患者が押し寄せている。

「実は私が小学生の時に、年の暮れから正月にかけて歯痛で苦しんだことがありました。今でも忘れられないほどの痛みです。そんな痛みや不安な気持ちを身をもって体験したからこそ、今でも患者さんの痛みに寄り添うことができる。患者さんには同じような痛みを味わって欲しくないと心から思えるからです」

歯科医も一人の人間だ。だからこそ辻氏は、「一人ひとりがもつ人間性を大切にしていかなければいけない」と話す。「クリニックに足を運ぶ患者さんは、誰もが不安を抱えています。患者さんの中にはうまく不安を吐露できない方もいますから、その不安や痛みを理解してあげなければいけません。そのためには医師の技術力ではなく、人間力が必要なのだと思っています」

辻氏は、患者の痛みや不安を許容してあげられるような心の広さをもっている。まさに患者の痛みがわかる歯科医だ。ひたむきな彼の挑戦は今後も多くの患者を笑顔に変え、地域医療に深く貢献していくに違いない。

辻康雄

大島歯科医院 院長
https://www.oojima.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。