
美容院に行くような感覚で歯医者に来てほしい
東京・麹町の新宿通りに面したビルの1階にある「津田デンタルクリニック」。ビジネス街のイメージが強い麹町だが、大通りから奥に入るとマンションも多く、オフィスワーカーをはじめ、高齢者から子どもまでさまざまな人々が来院する。クリニックではそうした患者に対し、一般歯科はもちろん、小児歯科、予防歯科、歯周病治療、歯科口腔外科、入れ歯、インプラント、ホワイトニング、歯列矯正など、一人ひとりに合ったオーダーメイドの治療を行っている。
床には無垢の木材、壁にはトラバーチンの石材を使用し、温かみのある落ち着いた雰囲気の院内には、個室、半個室の施術室のほか、カウンセリングルームも備えている。カウンセリングルームに入ると、目を引くのが大きなモニターと顕微鏡。患者から採取した歯垢の中にいる細菌をその場で拡大して見ることができる。歯周病が進行している場合、画面には無数の細菌や真菌、原虫などが動き回っているさまが映し出される。これを見て平気でいられる人はそう多くはないだろう。
「大切にしているのは、できるだけ患者さんと話すことです」と語る、院長の津田宏尚氏。会話を重視するのは、歯の治療に恐怖感をもつ人はまだ多いため、その緊張をほぐすためでもあるし、患者の人となりを知りたいからでもある。
「治療を行ううえでは、患者さんと歯科医が同じ方向に向かっていることが大事。そのためにはお互いの理解が必要です。理解と信頼を得るためには、話すしかない。現状について、そして治療方法とそのメリットとデメリットについて丁寧に説明することで、一緒に治療方針を決めていきます」
すべての人々が、床屋や美容院に行くような感覚で定期的に歯科医院へ歯のケアをしに行くようになってほしいと言う津田氏。
「健康のためには、体にいいものをバランスよく食べる、そのためには口内を常によい状態で維持することが大事ですが、まだ歯が痛くなってから歯科医院に行くという方が多い。定期的にケアすれば痛い思いもせず短時間で済むのですが、歯医者は怖い、痛いという昔のイメージが受け継がれているんでしょうね。歯科医の使命は、人々の健康を長く保つこと。会話と丁寧な診療によって地道に啓蒙することでそのイメージを変え、ここからその輪を広げていきたいですね」