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手島由紀子
TESHIMA YUKIKO

手島由紀子

手島精管株式会社 代表取締役社長

社員の向上心とQOLを高める体制を整え、ステンレスチューブメーカーとして成長を続ける。
1970年、医療注射針用のステンレスチューブメーカーとして創業した手島精管株式会社は、圧倒的な技術力で国内では業界トップシェアを誇る、注目企業のひとつだ。現在は、注射の他にも、医療器具・機器、テレコム機器、自動車用部品などを幅広く取り扱っており、2017年には、経済産業省が「地域未来牽引企業」に選定。その技術力は、海外からも高く評価されている。
手島由紀子
最重要視するステークホルダーは、社員

6年前に先代から後を引き継ぐ形で代表取締役社長に就任した手島由紀子氏は、アメリカで培った経験を社内へ還元し、グローバル化に向けた動きを加速させている。組織づくりの根本にある人材育成法と、今後の展望について話を聞いた。手島氏が掲げる組織づくりのテーマは明快だ。社員を経営の最優先の価値基準とすることが、結果的に技術力の向上やステークホルダーの満足度に繋がる、という考えだ。

「日本では『お客様は神様だ』という概念が定着しているように感じますが、当社がステークホルダーの中で最重要視するのは、あくまでも社員です。それはお客様にも公言していることで、社員を第一に考え、社員が自ら考え動く組織になることが、最終的にはお客様と、当社の利益に還元されていくものだと思っています」。

その言葉を体現するように、手島氏はこれまで様々な改革を推し進め、社員が人間として成長できる環境づくりに力を注いできた。向上心や前向きな姿勢を無駄にしたくない、という思いから、社員教育への投資は惜しまない。

社員が希望する講習会費用は同社が全額負担するシステムを採用。希望するカリキュラムを自己負担なしで受講できるとあって、スキルアップを試みる社員は増え続け、現在は連日のように、各地の講習会に参加している。

福利厚生面では、社員食堂のランチを180円に設定するなど、ユニークな試みも多い。また、近年はBCP(事業継続計画)も重視し、災害対策や備蓄対策も徹底するなど、危機管理にも余念がない。こうした社内へのバランスがとれた投資は、業績にも好影響をもたらしている。今期の売上高は当初の予想である8億円を大きく上回り、年商10億円を達成する勢い。社員数は40名から50名へと増員された。人材不足が叫ばれる業界の中で平均年齢は36歳となり、社員の若返りにも成功している。

手島由紀子
成長するためのプロセスを突き詰める

「代表取締役社長に就任して以降、会社をどう立て直していこうかと、自分なりに試行錯誤を繰り返してきましたが、かつてアメリカでMBAを取得した際の経験が、自分の大きな財産となっています」。代表取締役社長に就任する以前に、アメリカの私立経営大学院で学び、MBAを取得する過程で得た様々な知識や経験が、現在の手島氏の組織づくりのベースとなっている。

現在も、手島氏はセカンドホームタウンと言えるボストンやシリコンバレーに、毎年のように足を運んでおり、その視点は常にグローバルビジネスの最先端に向けられている。「日本だけに固執せず、視野を広げてグローバルな展開を目指しています。販路を広げるため、海外での展示会にも積極的に参加しています」。

こうした事業拡大に向けた取り組みが功を奏し、外資系企業との取引は増え続け、現在では千社を超えた。海外との取引が増えるにつれ、同社の社員教育も転換期を迎えている。「海外に比べると、働き方の効率性や合理性の観点から見ても、まだまだ日本は遅れていると感じる部分は多くあります。また、単に海外展開を加速すれば良いのではなく、同時にグローバルに活躍できる人材を育てていかなければいけないとも思います」。

社員の評価制度に、100項目近くの基準を設定。新入社員の場合、入社3年後にスペシャリスト、ジェネラリスト、マネジメントの3つの選択肢が与えられるシステムで、一人ひとりの希望や能力に見合った働き方を推奨している。こうした社内制度を整えたうえで、手島氏は裏方に徹し、経営判断に関わること以外は細かく口を出すことはないという。その狙いは、どこにあるのだろうか?

「この一年は私自身が現場の第一線を外れ、社員に任せていく方針で事業を進めてきました。数字という結果を待つ側に専念するのは心苦しい部分もありますが、いまは耐える時だと考えています。社員自らが新しいことに挑戦し、リーダーシップを発揮していかなければ、組織の成長はありません」。マネジメント業務を社員に任せて成長を促す一方で、手島氏は同社の国際競争力をさらに高めるため、世界的認証機関であるテュフラインランドのISO(品質マネジメント認証)取得に向けて業務プロセスを強化中だ。

そんな手島氏にとって挑戦とは「自分が成長するためのプロセス」。日本有数の技術力を誇るステンレスチューブメーカーが、日本を代表するグローバル企業へ成長していく、そのプロセスから目が離せない。

手島由紀子

手島精管株式会社 代表取締役社長
http://www.teshima.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。