
関わる全ての人が幸せになる決断を
田中氏の代表取締役社長就任が発表されたのは、今から約1年前の2018年12月のこと。「これまでと立場は大きく変わり、この1年は会社のベクトルを示すことに注力してきました。今後も理念やビジョンをさらに社員に浸透させていきながら、目に見える成果を出していきたい」と本人は冷静に語る。
実際に就任後の成長率は約130%増。創業以来、過去最高の売上で増収増益を達成している。今後の3カ年計画でも20%の売上増が見込まれており、採用計画では年間で30名近い増員を予定するなど、人材面でもその規模を拡大させているところだ。
「イメージ通りの会社の基盤作りができていますし、皆が同じベクトルで事業を進めることが何より重要だと考えています。この1年の成果は、そのベクトルを示せた証でもあるのではないでしょうか」
田中氏が就任後、真っ先に着手したのはベクトルの統一化だった。これまで未開拓だったブランド規定などを見直し、業界大手と手を組んだビジョン研修なども積極的に開催。どこに向かうべきかを明確に社内で共有、言語化していったと言う。
そんななか、同社が掲げる理念は「WIN FOR ALL」。関わる全ての人が幸せになる決断をしているかどうかが、会社のベクトルを決めるうえで大切な軸となってきた。ではなぜ、こうした理念を掲げるに至ったのか。
もともと田中氏は、大手外食チェーン業界で実績を積んできた経歴の持ち主。当時は数多の店舗マネジメントや経営企画にも携わるなど、実に順風満帆なキャリアを経ている。
「仕事の本質は外食業界で学ばせてもらいました。それはまさに、当社の理念にも繋がるホスピタリティの意義です。当時、仕事における様々な決断の根本を辿ると、いつも追求していたのは“お客様が幸せになるかどうか”ということ。これは外食産業では当たり前のことなのですが」
そして田中氏が不動産業界に足を踏み入れたのは30歳のとき。それまでの実績が評価され海外転勤の打診を受けたなかで、不動産業界で壮大なビジョンを描くアルファス前社長との出会いが、自身の挑戦心を掻き立てた。
「私は自分の道を選択するとき、いつも難しいと思われる道を選んできました。難しい挑戦であればあるほどモチベーションは上がりますし、その方が成長できると思うからです。もちろん不動産業界は全くの未経験で、当社のようなベンチャーで0から1を生み出すのはきっと難しい。だからこそ面白そうだと思いましたし、今の道を選んだんです」