安全のためにドライバーにはノルマを課さない
岐阜県各務原市に拠点を構える同社は、田島氏の祖父が1954年に設立した。トヨタグループの物流を担うトヨタ輸送株式会社の協力会社として、トヨタ車体株式会社に属する岐阜車体工業株式会社が製造するトヨタ車の輸送を担当。こうした協力会社は全国に53社あり、全社がトヨタ協輸会と呼ばれる組織に加盟。すべての仕事をトヨタ輸送から受注するなど、強い関係性で結ばれている。
「仕事は主に2つで、ひとつは岐阜車体工業の工場で完成した新車を、同じ敷地内にあるヤードに自走して運ぶこと。もうひとつは、それらの新車をトレーラー(牽引型車両)に載せて、名古屋港に運ぶことです。そして、全国にあるトヨタグループの工場から名古屋港へ運ばれてきたトヨタ車を、岐阜県内のディーラーへ運んでいます」
メインは2〜6台積載できるトレーラーによる輸送で、ハイエースやコースターなどの車種が中心。ドライバーは工場と名古屋港間の約50㎞を3往復する業務が基本で、一週間の昼夜交代制で車を運ぶ。営業をしなくても仕事を受注できるため、売上は安定しているが、厳格なルールに従って仕事を進めなければいけない点が、一般的な運送会社との大きな違いだ。
「車を止めてパーキングブレーキをかける際、運転席の計器盤にPのマークが点灯するのを指差しと声出しで確認するなど、すべての作業がルール化されています。名古屋港には業務を管理する人がいて、車を無事に運んでいるかだけでなく、作業手順もチェックされます」
もちろん、こうしたルールの運用は安全のためであり、田島氏がもっとも重視するのは安心して働くことができる環境づくりだ。たとえば、激しい雷雨などの悪天候が予想される場合は、自社の判断で運送を中止している。ドライバーの体調にも万全を期し、毎日の仕事を丁寧に行うことを目標に掲げて無事故に繋げている。
「力を入れているのは、ドライバーに対していかに負担を最小限にできるかどうか。万一事故を起こしても、”止める、呼ぶ、待つ“というルールがあります。事故が発生した時点で仕事を止め、管理者に連絡して、指示を待つという規則です。自分の判断では動かないことを徹底し、ドライバー自身が過度にプレッシャーを感じることがないようにしているのです」