
環境関連商品を携えて海外市場に売り込む
社名の「SBM」は、旧社名「鈴木ビルメンテナンス」の略。今までの歴史を大切にしつつ、新しいものを加えていくという意味が込められている。
新事業についてはさまざまなアイデアが出されたが、そのひとつが鈴木氏自身も取り組みたかったという環境関連商品の開発および製造販売だ。ビルメンテナンス業務において、ビルの管理会社やオーナーに新しい提案ができるような自社製品をつくりたいというのが発端だが、当初から海外で売りたいと考えていたという。
「除菌消臭剤や空気清浄剤などは、国内では大手メーカーの製品が出回っていますし、マーケットもあまり大きくない。弊社の製品は日本でもユニークなものだという自負はありますが、類似品のない海外ならもっと珍しく、画期的な存在になれる。いち早くマーケット展開できるのではと考えました」
そうして2017年、鈴木氏は開発した自社製品を携え、まずインド・デリーで開催された展示会に赴いた。最初にインドを選んだのは、これから衛生関連商品への需要が伸びていくと睨んだからだ。広い会場でSBMplusが借りたのは、3メートル四方ほどの最小のスペースだった。
「コンサルタントの方には、期待しすぎずに行きましょうと言われていましたし、完全に様子見のつもりでした。しかしいざ蓋を開けてみると、初日の午前中から大反響。勧められてその場で急遽開設したFacebookのページも、あっという間に何十万ビューというアクセスをカウントしたのです」
インドの展示会で出品した中で特に好評だったのが、触媒を利用した置型の空気浄化ジェル。
「インドでは料理にスパイスをたくさん使いますが、キッチンの臭いが翌日には消えると驚かれました」
手応えを感じた鈴木氏は、その原材料を更に見直し、「324ecoPRODUCTS(ミツヨ・エコプロダクツ)」ブランドを立ち上げ、3種類の「FRESH」という名で商品化。これは、横浜国立大学工学部が開発したグラフト重合高分子を原材料とする、タバコやトイレなどの様々な悪臭に加え、ホルムアルデヒドなどの有害化学物質を消臭・浄化することができるという画期的な商品だ。
さらに、現地の要望に応えて除菌効果を加え「FRESH PLUS」を開発すると、製品を取り扱いたいという企業からの問い合わせが殺到した。