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菅原正弘
SUGAWARA MASAHIRO

菅原正弘

医療法人社団 弘健会 菅原医院 院長

啓発活動や人材育成にも力を入れ、
目指すのは高齢者が元気な健康長寿社会。
現在、予備軍を含めると2000万人以上の患者がいると言われている糖尿病。この国民病ともいえる糖尿病やリウマチの診療に力を入れているのが、東京都練馬区にある菅原医院である。院長の菅原正弘氏は診療や生活改善の指導だけでなく、さまざまな人たちへの啓発活動も積極的に行っている。その先に見据えているのは、高齢者が笑顔で暮らすことのできる社会の実現だ。
菅原正弘
糖尿病とリウマチを専門とするかかりつけ医。

東京都立石神井公園からほど近い閑静な住宅地にたたずむ菅原医院。約20人のスタッフを擁する内科のクリニックで、糖尿病や脂質異常症、高血圧といった生活習慣病、リウマチをはじめとした膠原病、内視鏡による消化器検査などを主な診療科目にしている。質の高い医療の提供を身上としており、糖尿病の場合は食事療法と運動療法に代表されるライフスタイルの改善に注力している。

「肥満が原因による糖尿病の場合は、バランスの取れた食事と適切な運動によって減量できれば、病状はかなりよくなります。数カ月は食事療法と運動療法でどれだけ病状が改善するのかを見て、それでも不十分な場合は薬物治療を行います。しかし、もっとも重要なのは生活習慣の指導。患者の暮らしに深く介入しなければいけないので、連携の取れたチーム医療が求められます」

そのため、看護師や管理栄養士、臨床検査技師というスタッフがいる中で、日本糖尿病療養指導師(CDEJ)という専門の資格をもつ者が7人在籍。この資格をもつスタッフが一人でもいれば糖尿病の診療に熱心に取り組んでいる病院といえるため、7人もの有資格者がいるということは、十分な体制を敷いていることが分かるだろう。加えて、設備が充実している点も特長の一つとなっている。

「血糖値に関係するHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)値を測定する機械や、リアルタイムで血糖値の変化を確認できるCGM、動脈硬化を調べることができるCAVI検査の機器、基礎代謝量を測るメタボリックアナライザーなどを導入。結果をすぐに知らせることができるため、生活改善に対する患者のモチベーションアップにもつながっています。また、新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、感染症専用の診察室が2部屋あることも強み。入口も別に設け、一般の患者と感染症の患者の動線が交わらないように対策しています」

周知のように糖尿病は放置すると動脈硬化や心不全、網膜症、腎症、神経障害、認知症といった合併症を引き起こすリスクがある。そのため医師は患者の全身を診ることができないといけないのだが、この点についても菅原氏には十分な経験がある。父が外科医だった菅原氏は自身も医師を志し、1980年に順天堂大学医学部を卒業。その後、内科医として同大学医学部附属病院で豊富な臨床経験を積み、1993年に現職。

「医師になるのなら地域に貢献でき、全身が診られる医師になりたいと思っていました。卒業後に入局した内科学講座では、糖尿病や膠原病だけでなく内分泌代謝、血液疾患、感染症、腎臓関係などの幅広い診療を担当。実際に患者の訴えは多岐にわたるため、患者の気持ちが分かる実地医家(かかりつけ医)になりたというのが目標だったのです」

菅原正弘
“3B&3C”で健康管理のポイントを啓発。

糖尿病をはじめとした生活習慣病について、さまざまな情報が共有されるようになってきたが、まだ十分には浸透していないと問題を提起する菅原氏。患者の健康管理についてもっとも重視しているのが“3B&3C”というキーワードである。これは、Blood vessels=血管、Brain=脳、Body=身体、Cancer=がん、Cigarette=タバコ、Communication=コミュニケーションを表わしたもの。血管は糖尿病・脂質異常症・高血圧、脳は脳卒中・認知症・睡眠障害に注意し、身体は肥満を改善し、関節を大切にして骨粗鬆症を防ぎ、運動により筋力を維持することを意味する。加齢とともに心身の活力が弱くなっていく「虚弱(フレイル)」を予防することが極めて重要なのだという。

「がんは発生を促進する喫煙や過度の飲酒、塩分過多、肥満などを改めることが大切。早期発見するためにがん検診の受診を勧めており、おかげさまで当院の患者は高い受診率を誇っています。平均寿命を10年縮めるタバコは、肥満とともに新型コロナウイルスによる重症化リスクも指摘されているので、禁煙が求められます。そして、最後のコミュニケーションはコロナ禍で家の中でじっとしていると、年配の人なら認知症が進む可能性もあるため、誰かと積極的にコミュニケーションを取っていきましょうということ。加えて、医師である私にとってはこれらのことを多くの実地医家に啓発していこうという意味も込めています」

菅原氏はこれまでに東京都糖尿病協会会長や東京内科医会会長、日本糖尿病療養指導士認定機構理事などの要職を歴任。現在も日本臨床内科医会副会長や東京糖尿病療養指導士認定機構代表幹事などを務める。多くの医師やコメディカル(医療従事者)に対して啓発できる立場にあり、過去に医師向けに“3B&3C”の重要性を説いた本を出しており、今年は同じテーマで一般読者に向けた本の発表を予定している。そして、患者に対しては25年以上にわたって“石神井公園糖尿病友の会”を運営してきた。

「これは私が開業医として地域医療に従事するようになった翌年からスタートした活動です。糖尿病といっても幅広く、脂質異常症や高血圧、合併症である網膜症や腎症など、すべてを普段の診療中に話すことができないため、毎月定例の講演会を開催。1年を通じて聞いてもらえると、糖尿病という病気が全般的に理解できるようになっていて、これまでの講演数は300回を超えました。他にも患者と一緒に石神井公園を散策して、園内で糖尿病に関する話をする“歩く会”の活動も行っています(現在は新型コロナウイルス感染症対策のためともに休止中)」

また、菅原氏が代表となって設立された東京糖尿病療養指導士認定機構では、東京糖尿病療養指導士(東京CDE)と東京糖尿病療養支援士(東京CDS)という2つの資格の研修と認定を実施。発足後の3年間で約1000人の指導士と支援士の認定を行い、多くの支援者を育成してきた。糖尿病を改善するためにはチーム医療が重要で、医師とコメディカル、患者の3者が連携できるインフラづくりが早急に対応すべき課題となっているのである。

「糖尿病は寝たきりの原因となる脳卒中や認知症、転倒・骨折、関節疾患、心疾患などすべてに関与しているため、糖尿病対策は極めて重要。健康長寿社会を実現するためには、寝たきりをなくすということと頭も元気であることが必須で、この2つを達成しないと真の健康長寿社会とはいえません。これからも私だからできることに取り組み、地道な活動を続けることで元気な高齢者が増えていくことを願っています」

菅原正弘

医療法人社団 弘健会 菅原医院 院長
https://www.sugawara.or.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。