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下井秀文
SHIMOI HIDEFUMI

下井秀文

株式会社ミッドランド 代表取締役

空き家を蘇らせる、リフォーム・リノベーションの仕掛け人
全国を対象とした土地や建物の不動産開発事業を手掛ける株式会社ミッドランド。特に既存の建物のバリューアップを図る同社のリフォーム・リノベーションは、加速度的に増え続ける空き家問題などの解消においても大きく社会に寄与しており、その手腕に注目したいところだ。仕掛け人となる代表の下井秀文氏に話を伺った。
下井秀文
物件の潜在価値を見抜く、透徹した目利き

リフォーム・リノベーションは既存の不動産価値を向上させるだけでなく、イチから不動産を開発することと比較してもコストが割安であることから、現在では広く認知されている手法だ。
物件の平均単価は2000万円前後と、億単位の新築物件も多く出回る不動産マーケットにおいて、高需要の価格レンジでターゲット層が明確である。

「お客様の給与水準は、年収ベースで300万円台から400万円台前後。高所得者よりも一般的な会社員の需要が圧倒的に多く、顧客対象も多いため、今後もリフォーム・リノベーションをしたいと希望されるお客様が増える余地は大いにあると言えます。一方、我々の業界は景気連動型の商売ですから、仮に景気が落ち込んだときでも安定した事業を展開して行かなければなりません」

需要の増大が予想されるリフォーム・リノベーション分野であるが、同時に他社との差別化を生む独自性が発揮されれば、尚のこと競争優位に立てる。同社が試みの一つとして注力しているのが、深刻化する空き家問題の解消にも一役買う事業だ。特に地方では、居住者の高齢化に伴い管理が行き届かない物件が散見される他、相続が進まず野放しとなり、空き家増加を助長する傾向なども年々増加しつつあるのは巷間伝えられるところである。

下井氏が手掛ける事業の強みは、まさにそこに着眼点を置いたことだ。通常敬遠されるような、価値が著しく毀損した物件も積極的に手掛けている。「我々の介在する余地があり、存在意義でもあります」と下井氏は話す。

確かに都心部や地方のあちこちで、ゴミ屋敷と揶揄される住宅があり、そのまま放置されているケースも少なくない。悪臭、害虫の被害、倒壊や火災のリスクも伴う。同社はそれら建物を買い取り、蘇生させ価値を上げ、再生再流通させるのだ。だがその手腕の拠りどころとなるものは何であろうか。

「不動産の目利きが重要になります。あらゆる角度から総合的に物件のデータを分析することで、たとえ流動性の低い物件でも“ウリ”を焙り出すことができるんです。様々な仮説を立て、地場業者に何度もヒアリングを行ない、とことん検証を尽くすこと。その徹底ぶりは、同業他社でも臆するほどだと思います。よって正しい定性評価も加味することができるのです」

下井氏は決して、物件の価値を判断する際に主観や自身の経験値、先入観を介在させない。まずはバイアス無く机上の情報や数値に基づいて客観的・合理的に物件を見極めることが重要なのだという。堅実な実績が同社のブランドに繋がっている。

下井秀文
ロジカルな思考で、多様な社会を生き抜く人材の育成を

事業の成果が実を結び、同社の売り上げは2007年の設立以来、右肩上がりを継続。現在は第二創業期と位置付け、年商200億円突破を目標に掲げている。「私自身は200億円という目標値に対しての不安や危機感は抱いていません。到達のためにやらなければいけないことは多々あります。肝だと考えているのは人材の採用・教育・マネジメントです。単に人材を確保すれば良いというのではなく、個々を育て、各々が強みを持った弾力のある組織を形成していく必要があると思っています」
確かに、いくら資金や環境が整っていても、人材が揃わなければ意味がない。「偏差値35の若者を東大に合格させる気概で注力している」と下井氏が言う通り、経営者として人材育成に対する覚悟には、並々ならぬ情熱を感じさせる。その情熱をいかに社員へ浸透させるかが、今後の成長の鍵を握っていきそうだ。
 
では具体的に、どのような人材を育てていきたいと考えているのだろうか。
「多様化が進む社会だからこそ、ロジカルシンキングができる人材がマストだと考えています。例えば当社では仕事に向き合うとき、常に仮説を立て、実際に起こった結果を何度も検証し、仕組み化します。それはこの十数年、一貫して続けていることです」
景気や不動産の価格は変動する。物件を手掛ける度に失敗もあれば成功もあり、リスクを取らなければ次へ進めないときもあるだろう。目の前の仕事を通じてブレずに常にロジカルに考える訓練をし習慣化することで、お客様や取引先各社にも安心感を与え、信頼関係を生むのである。

「思考力を備えた信頼の置ける人材を更に育て、組織や事業に厚みを持たせていきたいと考えています」
将来については、「補完性のある事業部門や会社のM&Aはあり得ても、事業の多角化は考えていない」と断言する。良質な物件の提供を突き詰めるべく、自社でデザイナーを雇用するなど、質の向上のための内製化を図りたい構えだ。

「完璧、100点など無い」と下井氏は続ける。
「私に慢心はありません。今日よりも明日、明日よりも明後日と、常に自分を高みにもっていこうと努力し、挑戦していくからこそ成長がある」
下井氏のストイックな挑戦は、まさに人生そのものだ。生きている限り終わりがない、それこそが挑戦なのだと教えてくれる。

下井秀文

株式会社ミッドランド 代表取締役
http://www.mdl.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。