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事業戦略立案から現場業務改善まで多岐にわたる「本質的な課題解決」。
経営コンサルティングファームのHorizon Head & companyは、2020年に澤村氏によって設立。顧客の業種は幅広く、5~10年後を見据えた事業全体、マーケティング・セールスなどに関する戦略を立案し、顧客と二人三脚で実践していく。例えば、IT関連製品を幅広く扱う大手流通企業では、BtoBにおけるDX戦略に携わっている。
「弊社が特別な戦略を提案しているというよりも、お客様がすでに答えをもっている場合がほとんど。ただし、複数のキーパーソンがもっているそれぞれの答えが本質的には同じなのに、違うことを言っているように見える場合があります。そのような答えを同じ場所に集め、全員の頭の中をひとつにしていく。お客様の中で意見がひとつになり方向性が定まると、組織として一歩前へ進みます。顧客と一緒にこのプロセスを地道に進めていくことが、弊社が何よりも大事にしている矜持です」
コンサルタントとして数多くの実績を積み上げてきた澤村氏。学生時代は地元の岐阜大学で農業を学び、砂漠の緑地化といった地球環境問題にも目を向け、農学研究科を修了した。しかし、環境問題を解決にするためには、常に経済の問題が立ちはだかることを強く実感。社会を良い方向に変えていくためには、経済にも精通していなければいけないと気づき、大学院修了後は金融業界を志した。
「新卒で入った財閥系金融会社では、営業を経験した後、システム部へ異動。基幹システムやCRMなどに携わり、外部のシステム会社やエンジニアとチームを組み、プロジェクトのマネジメントも経験しました。企業における様々な課題や問題をITで解決していくことはとても面白く、もっと広く・深く課題解決に携わりたくなりました。それまでの半生を振り返り、31歳のときに経営コンサルティングの業界へ飛び込みました」
日本の成長に貢献する“知のプラットフォーム”。
その後、コンサルティングファームを複数経て独立。コンサルタントとして過ごす中で、澤村氏には以前からジレンマがあった。経営コンサルティングサービスの活用が首都圏・大手企業中心ということだ。これは、経営コンサルティングのコストやビジネスモデル上、やむを得ない面もある。だが、日本には約360万の企業がいて、大企業はその内1万社。つまり、経営コンサルティングの活用率は1%を切っている状況とも言える。
地方、中堅・中小企業にも経営コンサルティングを必要とする方々がいる一方で、何も出来ない自分に苛立ちがあった。
「特に意識するようになったのは、2014年に日本創成会議が発表した消滅可能性都市というレポートでした。少子化等によって行政維持が困難になる可能性のある自治体を示したもので、全自治体のほぼ半数が該当。私の故郷も入っていましたから、素直に寂しいと感じました。そのときに、コンサルタントとして何か貢献できることはないかと考えたのが、地方の中小企業にも気軽にコンサルティングサービスを利用してもらうことだったのです。企業の大小、首都圏・地方によらず、全ての企業・個人にコンサルティングサービスを届けたい。本気でそう考えています」
その目的のためには、まずコンサルティングサービスの提供方法を変える必要がある。
今は人工ビジネス、人がベタ張りで支援している。かつ、これが高コストの一因になっている。
そういった現状を打破するためには、ICTテクノロジーの活用が必須。例えば、スマートフォンでコンサルティングサービスを受けられるアプリがあったらどうだろうか。YouTubeを見る、スマホゲームをする感覚で、日々の仕事に関する悩みや相談を10~15分といった隙間時間で気軽にできたら革新的だ。
「クラウドベースの“コンサルアプリ”を価格に無理がないサブスクで提供する。文字通り、手の中にコンサルティングサービスがあるという状況を実現できます。現在、試作品を開発している段階です。サービスリリースによって、コンサルティングの普率を100%に近づけたいと思っています」
実は澤村氏が目指しているのは、コンサルティングサービスのデジタル化だけではない。この考えをさらに進化させ、あらゆるビジネスナレッジを誰もが共有できる“知のプラットフォーム”を創ることを中長期的な目標としている。最も重視するのが、自社が管理者となるのではなく、DAO型のプラットフォームにすることだ。同じ志をもつ仲間が集まり運営することで、仮にHorizon Head & companyがいなくなってもプラットフォームは機能し続けていく。
「ブロックチェーンやメタバース、AIといった次世代テクノロジーが進化し続けている中、10年後くらいには大きなパラダイムシフトが起こっているでしょう。人と社会、テクノロジーが高度に融合し、価値観が激変しているはず。そして、その社会にはDAO型の“知のプラットフォーム”が必要になると予見しています」
Horizon Head & companyは、来たるべきパラダイムシフトに備え、ビジョンを共有できる多様な企業との協業、共創を加速させている。こうしたビジョンを核にした新たな“共創”によって、世の中を革新するサービスが生まれる日は予想以上に近いかもしれない。