Powered by Newsweek logo

佐藤康弘
SATO YASUHIRO

佐藤康弘

株式会社ジャストケアコミュニケーションズ 代表取締役

美容師自身が豊かになる
労働集約型からの脱却
労働集約型ビジネスと言われる美容業界で「店販」と呼ばれる物販、施術以外の収益源を得るには何が必要か。美容業界に特化したコンサルタント事業を行っている株式会社ジャストケアコミュニケーションズ代表取締役の佐藤康弘氏は、「美容師が美の専門家として伝えるだけでいい」という。美容師の幸福度に貢献したいという佐藤氏に、美容業界の未来を聞く。
佐藤康弘
画像はイメージです。
美容業界に特化したコンサルで売上倍増

美容室でシャンプーやトリートメント商品を美容師から薦められることがあるが、なぜかその瞬間からお互いにギクシャクしてしまうことが多い。身構えてしまう客側に対して、美容師側も「売れるわけがない」と諦めてしまう。佐藤氏は、ここが「店販の挫折ポイント」だという。

「美容師は技術職なので、そもそも物を売ることを苦手と感じる方が多い。売ろうと思うからお互いに身構えてしまう。ですが、売ることを一切考えずに、専門家が専門的な立場で見解を述べると考えればいい。美容師というのは、お客さまにとって定期的に会い、髪を切るという身体を預けたことのある信頼のおける専門家。その人が提案するものなら、高額商品でも使ってみようかなとなりやすいでしょう」
ただ、専門家がお薦めするなら、と興味が湧く一方で、そこから購入に至るまでにはややハードルがあるように思える。

「基本的にお客さまは美容師に対して片思い。お客さまは私の美を叶えてくれている専門家、と思っているが、美容師自身にその認識は無いか少なく、私の期待に応えてくれない、と思われがちなんですよね。そこを信じて話すだけでいい。お客さまに求められていますよ、ということを伝えたい。それが今僕が行っているコンサルティングのベースになっています」
もともと美容業界出身ではないという佐藤代表。地元・岩手で食品会社の営業マンだったときに、美容師だった親友が薦めてきた、1本5000円のシャンプーが転機になった。
「当時、彼から『成功する人間は、必ず自分の身なりに投資する。将来ビッグになりたいんだったら、シャンプーに5000円をかけられるレベルじゃないとダメだ』と言われたんです。それも月給12万のときに。今思うと、彼が僕にそれを売るために考えた結果のアプローチ方法だったんでしょう」

その後、そのシャンプー会社に親友を通じて転職。当初は全く売上に結びつかず、落ちこぼれからのスタートだったが、「1年間勝負をかけてダメだったら辞めよう」と背水の陣で導き出したのが、「答えは現場にしかない。だったら、美容室で美容師と一緒にシャンプーを売ってみよう」という方法だった。そこで、美容師が「店販」を苦手とする理由を目の当たりにし、改善策を提案。自身の売上も急激に上昇した。

「美容師がセールスマンになる必要はない。もともとお客さまと築き上げてきた信用と信頼がありますから。売りつけるのではなく、自分の技術と知見を活かしてあげようとメンタルを変えるだけで売れるようになる。そんなようなことを現場で一生懸命学んでいきました」

佐藤康弘
美容師の能力を最大限に活かせるようなサポートを

独立後、美容業界から離れた時期もあったが、前職で付き合いのあった美容室からの依頼で、コンサルタント業を始動。それが、現在の美容業界に特化しさまざまな観点から美容室をサポートする、JCCアカデミーにつながった。

「独立して初めて美容室で講習を行ったときに、『ただいま』と思うと同時に心の底から『美容師さん、大好き』という気持ちになりました。美容師の皆さんに喜んでもらうことが一番うれしい。そこで、今まで考案したあらゆるコンテンツを現代版に作り直し、『商品売上倍増プログラム』を提案するようになりました」

「店販」で売れないと思い込むのは、「売れる」と思えるメンタルにふたがされている状態だとし、そこを変えていく脳内革命からはじめるという同プログラムだが、口コミから広まり、現在では受講生が延べ9万人を超えるほどに。
「今、僕が提案するコンテンツは成功率が高いものばかりです。当初はもちろん失敗もありました。ですが、美容師さんと一緒にたくさんノウハウを作って売ってきましたから。そのセールスプロモーションが軸になっています」

近年は、富裕層や美への投資額が高いプレミアム層に向けた自社開発商材にも力を入れている。
「予算度外視で開発する最高品質の商品は大量販売が難しく、大手メーカーだと参入しにくい。そういった富裕層、プレミアム層向けの市場を開拓したいと、美容室における高価格帯のメニュー開発にも力を入れています。お客さまの見た目だけでなく心まで晴れやかにするような素晴らしい仕事をする美容師自身が豊かな生活を勝ち取れるよう、薄利多売ではなく、美容師がもつ能力を最大限活かしてもらえるような商品やメニューを提供したい。恩返しではないですが、僕を幸せにしてくれた美容師の皆さんの幸福度に貢献できる会社で在りたいと思っています」

佐藤康弘

株式会社ジャストケアコミュニケーションズ 代表取締役
https://jc-communications.co.jp
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。