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坂本恒之
SAKAMOTO TSUNEYUKI

坂本恒之

株式会社スマイルワークス 代表取締役社長

統合型クラウドERPシステムの普及を通じて日本の生産性向上に貢献する。
企業の経営資源を統合管理するERP(Enterprise Resource Planning)システム。電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を理由に導入する企業も増えているが、真のメリットは何か。統合型クラウドERPシステム「SmileWorks」を提供する株式会社スマイルワークスの坂本恒之代表取締役社長に伺った。
坂本恒之
画像はイメージです。
一元管理のデータであらゆるバックオフィス業務を自動化

公益財団法人日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2022年版」によると、日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟38カ国の中では27位。アメリカの6割弱しかない。「これは中小企業の生産性の低さに起因しています。日本は中小企業の数が全企業数の99.7%を占めているのに、大企業と中小企業の生産性の差が最大2.4倍にもなっているのです」と語る、株式会社スマイルワークス代表取締役社長の坂本恒之氏。

「なぜなら、欧米の企業や日本の大企業が統合型ERPシステムに投資をしてバックオフィス業務を電子化かつ自動化しているのに対し、日本の中小企業の多くは未だに紙と手作業による煩雑な処理を行っているから。そこに労力を割かれ、最大の経営資源である人財が企業の収益力や競争力に活かされていないのです」

従来の統合型ERPシステムは非常に高額だったため、日本の中小企業では部署、あるいは担当者ごとに単機能、単一業務のソフトやクラウドサービスを導入し、そのまま利用している場合が多い。近年ではERPシステムを謳ったクラウドサービスも増えてきたが、実質は単機能を組み合わせているものが大半だ。しかしそれでは単一業務ではある程度利便性が向上するものの、企業全体の生産性を向上させることはできない。部署間、業務間で散らばっている各種データの連携を行う際には、結局手作業に頼らざるを得ない場合がほとんどだからだ。

「統合型ERPでは、マスターとなるひとつのデータベースでデータを統合管理します。リアルタイムで正確な情報にアクセスすることができ、部門や拠点間でのシームレスな自動連携が可能なので、敏速な情報共有と意思決定が行えます。 また経営資源の即時見える化を実現し、間接コストを低減すると同時に、業務上のミスを最小化できるので、結果として生産性の高いビジネスを迅速に進めることができるようになります」
生産性の向上には、“部分最適”ではなく“全体最適化”が不可欠だという考えに基づき、スマイルワークスでは設立当初から統合型クラウドERPサービス「SmileWorks」を中小企業でも利用できる価格体系で提供している。

このサービスでは、販売管理、仕入管理、在庫管理、勤怠管理、給与計算、経費精算、財務会計、資金繰り管理をすべて統合データベースにて管理することができる。また電子取引機能を標準で搭載しており、社内のバックオフィス業務全体の電子化と自動化だけでなく、他の企業との取引の電子化を実現することも可能だ。「弊社のサービスは、わざわざ『電子帳簿保存法対応』をセールス文句にする必要はありません。導入すれば、必然的に対応することになるからです」

坂本恒之
金融庁から銀行本体のサービスとして認められた
唯一のクラウドERP

トータルで考えれば明らかにメリットの多い統合型ERPシステムだが、ERPがまだ浸透していない日本では、導入に二の足を踏む中小企業も多い。そこでスマイルワークスでは、スムーズな導入を促すためのさまざまな取り組みを行っている。そのひとつは、必要とする機能を必要な時に追加することができる“カフェテリア方式”。

「機能を切り分けているのではなく、あくまでもベースはひとつのERPシステムなので、機能を追加していくことで最終的には全社業務を統合管理することができます」と坂本氏は語る。初めから全機能を使うよりはリーズナブルに運用することが可能だ。さらに、世界的にもユニークな取り組みとして、「SmileWorks」のOEM展開がある。現在、みずほ銀行、福岡銀行、北陸銀行、北海道銀行など10行が、スマイルワークスのクラウドERPサービスを、自行サービスとして地域の取引先中小企業に提供している。

利用企業はERPと銀行の決済インフラであるインターネットバンキングをAPI連携させることで、 社内業務と資金管理を一体として活用可能。企業の生産性向上に貢献するだけでなく、煩雑な手続きなどを短縮して有利な条件で金融サービスを受けることができる。
「現段階では、金融庁から銀行本体のサービスとして認められた唯一のクラウドERPとなっています。中小企業庁が全国銀行協会や金融庁などと協力して実施した調査によると、 この統合型クラウドERPと電子取引、銀行連携決済の機能を利用している企業は、従来に比べバックオフィスの作業時間が平均73.4%も削減されることが明らかになりました。この提携によって銀行サービスの高度化と中小企業の生産性向上が一体として最適化され、 銀行と利用企業双方にとって有益なシナリオが生まれています」

今後もさらに金融連携機能を強化し、今後5年間でこのOEMプログラムを全国約30行に拡大する予定だ。かつてはIBMに在籍していた坂本氏。当時から日本の生産性の低さが気に掛かっていたと言う。

「企業には1社1社個性があって特長は異なりますが、会計処理などの業務はみな同じ。企業の支援にはいろいろな手段がありますが、バックオフィスの効率化に寄与すれば、より多くのさまざまな企業に貢献できます。それがスマイルワークスを設立した主な動機です」
戦略的な取り組みを推進していくことで、小さくとも力強く成長できる中小企業を支援し、それを通じて日本の発展に貢献していきたいと語る坂本氏の挑戦はこれからも続いていく。

坂本恒之

株式会社スマイルワークス 代表取締役社長
https://www.smile-works.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。