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坂上一樹
SAKAGAMI KAZUKI

坂上一樹

株式会社LEE不動産 代表取締役

卓越した先見性で、不動産投資の未来を見通す
終身雇用が崩れたうえ、たとえ定年まで勤めたとしても、よほどの大企業でなければ、セカンドライフを悠々自適に過ごせる退職金などは期待できない。しかも人生100年といわれる時代、定年後の暮らしは20年、30年と続いていく。
そんな時代だからこそ、「家賃力を味方につけるべき」と話すのが、株式会社LEE不動産の代表取締役である坂上一樹氏だ。拠点を置く北海道を中心に、卓越した先見性で強靭な事業を展開する坂上氏に、成功の源泉と不動産業の未来について聞いた。
新たな挑戦となる“ニセコ事業”への想い
画像はイメージです。
“家賃力”の素晴らしさを広め、人々を幸せにしたい

「私自身が経験をもって身につけた家賃力の素晴らしさを、多くの人に教えてあげること。そして、少しでも多くの困っている人に幸せを与えることが、当社の経営方針なのです」

そう話す坂上氏が1997年に立ち上げたLEE不動産は、札幌を中心に数多くの賃貸物件を所有し、いわゆる“大家業”や賃貸総合プロデュース業、さらには病院経営や、ニセコ・倶知安などの将来的な新幹線建設を見据えた開発事業までを展開する。それらすべてのプロジェクトを成功に導いてきたのが創業社長の坂上氏であり、その理念やノウハウは、『真・家賃力―不動産は「北海道」に買いなさい』(経済界)など、数々の著書でも惜しみなく披露されている。

そんな坂上氏が不動産の世界に足を踏み入れたのは80年代のこと。生命保険会社の辣腕営業マンだった当時、所長を勤めていた札幌の営業所に勤務する女性スタッフの夫が急逝し、残された物件の購入を頼まれたことがきっかけだった。
「事務所兼住居のような物件で、当時は借金までして買うのもどうかと思いましたが、社員を助けるつもりで購入したのです。約8%とローンの金利は高かったものの、借り手がついていたので月々の返済は無理なくできました。そのうえ、確定申告をすれば税金も安くなるし、還付金まで戻ってくる。物件自体は自分のものなのに、ローンは借主さんが払ってくれるわけですからね。賃貸経営はなんて素晴らしいんだと、そのときに衝撃を受けたんです」
 
以来、生命保険会社に勤めながら、転勤先の福岡や新潟などでもいくつかの物件を購入。ときはバブルの真っ只中。その追い風もあって所有する不動産はどんどん値上がりを続けたが、坂上氏が勤め先を退社することはなかったという。

「営業マンとしてたくさんの人に出会える仕事も好きでしたし、時代もおおらかで良かったのだと思います。株など他の投資なら難しかったかもしれませんが、そもそも賃貸経営はサラリーマンでも十分にできますからね。私からすれば辞める理由がなかったのです」
 
しかし、バブルの崩壊を契機に坂上氏にも転機が訪れる。幸い、札幌や福岡で自らが経営していた賃貸物件にバブル崩壊の影響はなかったが、サラリーマンとしての給与やボーナス、諸手当などはどんどんカットされていく。それにもまして坂上氏が「辛かった」と話すのが、バブル崩壊と不用意な投資が招いた多くの悲劇を目の当たりにしたことだった。
 
「私自身は各地で数多くの物件を見ていたことで、物件を見る目もありましたし、不動産価格を評価する収益還元法も身に染みついていました。しかし、当時は多くの人がバブルで相場以上に高騰した東京の不動産を業者に言われるまま購入し、大きな借金を負ってしまった。私の知り合いにもそうした借金を苦にして死を選んだ者がおり、もうこれ以上の悲劇を繰り返してはならないと。自らが不動産で成功したノウハウを広く人々に伝えるべく、会社を立ち上げることにしたのです」
以来、20余年、世間の相場に踊らされない地に足のついた経営をモットーに、すべての社員や顧客を不動産が生む“家賃力”で幸せにしてきた。

坂上一樹
「今や家賃収入だけでも8億を超えるなど、会社としては大きな利益を上げ続けていますが、私自身としては、家族や社員、お客様を幸せにできるだけの利益があれば十分という思いもある。今後は、社会貢献につながるような事業にも注力したい。人様に嫌われるようなことは一切せず、人に喜んでもらえることだけをやっていきたいですね」と坂上氏は話す。

とりわけ自らの出身地であり今も本拠地を置く北海道には並々ならぬ愛着をもち、「北海道応援隊」を自称する。そんな坂上氏が現在、最も注目するのがニセコ・倶知安エリアだ。2012年には深刻な赤字経営に陥っていたニセコの羊蹄グリーン病院を存続させるため、私財を投じて病院を取得。坂上氏が自ら副理事長に就任し、経営をV字回復させた。

「病院経営に参加したことについては、地域に必要な病院を潰すわけにはいかないという強い信念はもちろん、将来性のあるニセコでの事業展開の足がかりにしたいという思いもありました」
地域医療に貢献することで町との絆を深めた結果、ニセコ町が所有するJRニセコ駅前の一等地の開発を任されるようになり、2018年にはニセコに100戸超えの大型賃貸マンションも建設。さらには周辺の土地を取得するなど、現在はニセコ地域へ投資を呼び込む基盤を整えている。

72歳となった坂上氏を新たな挑戦へと突き動かすのは、「このままでは日本が誇る素晴らしいリゾートであるニセコの地が、海外の富裕層に買い占められてしまう」という危機感だ。
坂上氏によるとすでにニセコには、中国をはじめとする多くの海外資本が流入。その注目度はコロナ禍もあり日増しに高まっている。

「世界中から富裕層の人たちが集まるニセコには、東京にはない多くのチャンスがあります。そんなせっかくのチャンスを日本人が見逃してしまうのはもったいない。私はもう年齢も年齢ですからそれほど大きなことは考えていませんが、ぜひ次の世代の人にはチャンスを掴んでもらいたい。私としては、そのために基盤の整備を進めているわけです」
その先見性や分析力など、豊富な実績に裏づけられた坂上氏のノウハウは、まだまだ多くの人たちに求められている。人々を“家賃力”で幸せにするために、長年に渡り挑戦を続けてきた坂上氏。そんな坂上氏が人生の集大成として臨む次なるチャレンジが、日本人の手によるニセコ地域の開発と、不動産投資を通じた同地域への貢献なのだ。

坂上一樹

株式会社LEE不動産 代表取締役
https://www.lee-fudosan.com/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。