
外部記録メディアの変遷とともに歩んだ道
株式会社磁気研究所(本社:東京都千代田区)は、1979年の創業以来、コンピューターの外部記録メディアの企画、製造、販売を主軸に置き事業を展開している企業だ。その国内市場占有率はトップクラスを誇り、ここ数年の年商は約80億円と安定して推移している。代表取締役の斉藤邦之氏は「小回りの利く企業だからこそ情報のキャッチアップが早く、進化のスピードに敏捷に対応し、次世代の記録メディアにマーケットをつなげていくことができている」と話す。
外部記録メディアとは、コンピューター本体の中にあるハードディスクに保存された文書ファイルなどのデータの受け渡しやバックアップなどに使用されるもので、CD-RやDVD、Blu-rayなどの光ディスクや、USB、SDカードなどのフラッシュメモリ、外付けHDDなど数多くの種類があり、それぞれの用途に応じて使い分けられている。いずれも軽量で持ち運びが可能であることから、現代の情報社会においては欠かすことのできないアイテムとなっているが、その形態は1970年代以降のコンピューターの飛躍的進歩に付随して、大きな変化を遂げてきた。
「前職の時からフロッピーディスクの販売に携わっていたのですが、みるみるうちに記録容量が増え、形も8インチから5インチ、3.5インチと次第にコンパクトになっていくのを間近に見てきました。今後この外部記録メディアがどんな風に成長していくのかを見続けたい、自分の手で大きくしたいという思いで当社を立ち上げ、それから約40年、外部記録メディア一筋にやってきました」
さまざまな種類の外部記録メディアを取り扱うほか、その成長とともに長い年月を積み重ねてきた企業だからこそできるサービスにも注力する。
「新しいハードウェアと外部記録メディアがどんどん開発され、進化していく一方、過去の製品は採算が合わなくなるとメーカーが製造をストップするんですね。古い外部記録メディアに保存されたデータを再現することができずに困っている方たちのために、当社の機材でデータ変換を行い、現在使用されているハードウェアで見ることができるようにするサービスを行っています。また、障害が発生した外部記録メディアをお預かりし、失われたデータを高精度で復旧するということもやっています」
同社には他の業者では復旧できなかったり、断られたりした案件が数多く寄せられるという。
「技術だけではなく、復旧させるための適切なツールがあり、そのオペレーションをちゃんとできる人間がいれば、ダメージを受けたデータを復旧させることは不可能ではありません。この業界に長く携わっていれば、過去の例を複合しながら解決に導くこともできます」