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尾山弘晃
OYAMA HIROAKI

尾山弘晃

株式会社N&Sホールディングス 代表取締役

1+1を10にするシナジー効果で、
最強のホールディングスグループを目指す。
防水工事を請け負う“一人親方”からスタートし、現在は7社のグループ会社を束ねるN&Sホールディングスを率いる尾山弘晃氏。建設業界では異例ともいえる職人の独立支援やホールディングス化、そして異業種参入への挑戦など、まさに異端のチャレンジャーに、その成長の源泉や今後の展望などを聞いた。
尾山弘晃 画像はイメージです。
成長の分岐点に常にあった「仲間」への想い。

中学を卒業後に防水工事会社に就職。10代後半から20代前半にかけてさまざまな職を転々とした後、24歳で建設業界に戻り、2005年に防水工事を請け負う“一人親方”として独立。たった一人で立ち上げた会社を僅か13年で、7社のグループ会社を抱えるホールディングス企業へと成長させた尾山弘晃氏。

業界の異端児ともいえる尾山氏が、2018年に新たに設立したのがマンションやビルの新築・修繕工事をはじめ、あらゆる専門工事を提供するN&Sホールディングス。“ネクサス・アンド・シナジー”という社名には、「連結する繋がり」「生み出される相乗効果」といった意味や、グループの仲間としてともに歩んでいくという強い想いが込められている。

「独立した当時は一人親方のままでもいいと思っていた」。そう話す尾山氏が事業を拡大する意識をもったきっかけは、ともに働く仲間の存在だった。

「自分だけでは手に負えない現場を手伝ってもらうために一人を雇うと、その一人がまた誰かを連れてきてくれて。気づけば半年で7人のスタッフを抱える会社になっていたんです」

2008年には防水事業を軸としたAIM株式会社を設立。高い施工技術やきめ細かなサービスに加え、20代の頃に営業マンの経験もした尾山氏の営業力もあって会社は右肩上がりの成長を遂げた。

同社はその後、静岡や西東京、川崎などに営業所を開設するが、それもきっかけは仲間のためだった。

「まさに現場の一線で働いてくれていた社員が、家庭の事情で実家のある静岡に帰らざるをえなくなったんです。会社としては痛手ですが、彼には幼い娘さんもいたので、当初は『静岡でなんとか防水工事の伝手を探すから』と会社を辞めるように説得しました。それでも彼は会社を辞めず、横須賀で我々と一緒に働きたいと言ってくれたんです。とはいえ、家族に掛かる負担も大きいので、それなら静岡にAIMの営業所をつくろうと。最初は飛び込み営業で仕事を探すところからのスタートでしたが、その後は営業所ごと分社化して、いまは静岡のその彼の会社もグループの一員となっています」

尾山弘晃
“あたり前”がなくなる時代。だからこそ可能性に挑み続ける。

小規模の事業者が現場を取り仕切ることの多い建設業の世界では、そもそも職人の独立を歓迎する風潮がない。せっかく苦労して育てた人材が抜けてしまうことは、特に中小の組織にとっては大きな痛手となる。尾山氏も過去にはそうした悩みと向き合ってきた。

「一時期は職人だけで20名以上になり、お酒の席などでは独立したいという彼らの本音が見えてくることもあった。仲間としては応援したいけれど、大切な戦力が抜けるという意味では社長として困ってしまう。いつしかそんなジレンマを抱えるようになっていました。そこで、互いにWin-Winになれる方法はないかと考えているうち、グループ会社やホールディングス化というアイデアを思いついたんです」

やるなら徹底的にやるのが尾山氏の流儀。社員全員を集めて独立の意思を確認し、その日からホールディングス化の準備をスタート。独立の意思を示した社員に尾山氏が伝えたのは、「自分が一緒に働きたい仲間を口説いて連れてくること」。本体となるホールディングスから発注する仕事を見据え、ある程度の規模の仕事を請け負える体制を各自につくりあげて欲しいという想いからだった。

そうしてAIMから独立した4社と、会社に残る意思を示した職人のために尾山氏が新たに立ち上げた別会社、そして外部の協力会社からグループに加わった2社を合わせて7つのグループ会社が誕生。それらを束ねる形で持株会社であるN&Sホールディングスを立ち上げた。

「ホールディングス化して3年目ですが、まだまだ連結の売上がAIMのピーク時くらい。私もグループ会社の代表たちに負けないように、見本となれるよう歯を食いしばってやっていかなければならないと思っています」

グループ会社の他にもあらゆる建設業種におよぶパートナー企業と連携し、マンションから戸建ての新築、大規模修繕、リフォーム、内外装などあらゆるサービスを提供。そうした建設業界におけるシナジーのみならず、近年では不動産業界やIT業界への進出も視野に入れる。

「不動産業の方ではリノベーションと不動産売買を合体したスキームのビジネスを計画しています。ITの方は、案件管理から請求書作成までをクラウド上で管理するシステム。自分たちで開発した建設業界に特化したシステムで、バックヤードの業務を大きく効率化させることができるもの。それをブラッシュアップして業界に広めていきたいと考えているんです」

一昨年からは新卒採用も開始し、今年度には初めて3名の女性社員を現場スタッフとして採用。女性にとっても魅力的な職場環境の整備にも挑戦する。

「コロナで当たり前のことが当たり前ではなくなっていく時代、なんとなくやっているだけでは落ちてしまいますが、自分がチャレンジしたことの結果はこれまで以上に見えやすくなると思います。1社では見えない可能性もグループになると無限に見えてきますし、今後もどんどん挑戦を続け、そんな自分たちを見てグループに加わりたいと思ってくれる人や企業など、たくさんの仲間を増やしていきたい」

そう話す尾山氏が目指すのは、1+1をシナジー効果で10倍にも100倍にもする最強のホールディングスグループ。たった一人から始まった物語がいま、建設業界で働く人々からの大きな注目を集めている。

尾山弘晃

株式会社N&Sホールディングス 代表取締役
https://n-s-h.com/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。