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大島雅生
OSHIMA MASAKI

大島雅生

株式会社スパイラル研究所 代表取締役

ITやDXを正しく理解してもらうために、
伴走者としてアドバイスするのが使命。
2021年9月にデジタル庁が発足し、官民を問わずあらゆる分野でデジタル改革が叫ばれている。しかし、本質を見誤っている例も散見され、株式会社スパイラル研究所の代表取締役である大島雅生氏は、ITは手段であって目的ではないと警鐘を鳴らす。同氏は根本的なところから顧客と並走し、ITに関するアドバイザリー業務を行うことを身上としている。
大島雅生
画像はイメージです。
26年間蓄積してきたITの知見を伝授。

スパイラル研究所は、主に中小企業を対象にITに関するあらゆるアドバイスを提供。内容は多岐にわたり、経営者を相手にIT戦略の立案や情報システム部門のマネジメントについて助言することもあれば、プロジェクトのリーダーをサポートすることもある。また、現場のIT担当者のパートナーとして相談や悩みに対応することも多いという。顧客にはITについて決して得意ではないという企業も多く、デジタル分野において日々発生する問題や悩みを解決するためのアドバイザーとして日々奮闘している。

「ITのことを少し知っているくらいの人が情報システムの責任者になっている場合もあり、この仕事をどんな業者に発注していいのか決めあぐねている。あるいは発注してシステムが出来上がったけれど、出来の良し悪しを判断できない。そんな悩みを抱えられているお客様に対して、同じ目線で同じ方向を見ながら一緒に課題を見つけて解決していくイメージです。フラットで全方位的、かつ長期的な視点で取り組むことに注力し、企画する側、設計する側、発注する側、受注する側、保守する側など、あらゆる視点からアドバイスができるのは、前職であらゆるステークホルダーの立場を経験してきたからだと自負しています」

大島氏は東京大学農学部を卒業後、1992年に新卒でリクルートへ入社し、情報システム部へ配属。以来、26年にわたり一貫してシステムやIT関連の仕事に携わってきた。プログラミングの技術を習得し、社内のシステムを開発し、保守管理を担当。やがてインターネットが台頭してくると、今度はリクルートがもつさまざまなメディアのWebサイトを制作し、運用まで手掛けた。そして、ITをいかに利用するかといった経営的な観点での戦略を考えるなど、地道にキャリアを重ねていった。

「システムは人間にどんな影響を与えるのか、仕事の中でITとはどんな意味をもつのか。リクルートではそんな大事なことを学んだ気がします。組織には組織の強みがある一方で、逆に組織にいるとできないこともあります。26年間の実績や経験してきたことをもとに、ITの知識を世間に広く知らしめることができるのではないかと思ったのです」

その後2017年にITアドバイザーとして独立し、翌2018年にスパイラル研究所を設立。特徴的なのは、システムやWebサイトの企画や開発そのものを受けることができるバックグラウンドがあるにも関わらず、アドバイザリー業務に特化していることである。

「あくまでも主体はお客様であり、私のところにナレッジが蓄積してしまっては意味がありません。私がいなくなってもいいように、お客様の会社に知識やノウハウが溜まり、中長期的にビジネスが継続していくことが大事。ITが得意だからといって、私が何でも仕事として受注してしまうと、私がいなくなると仕事が回らなくなってしまいます。お客様に伴走し、私が抜けても大丈夫という状態にもっていくのが理想です」

大島雅生
誰もが身近に感じられるITにしたい。

大島氏は経験が豊富なだけに、IT化が上手くいかなかったケースもこれまでにたくさん見てきた。その理由の多くはITやDX、AIといった言葉が先行し、最新技術だけにフォーカスされることによって、手段と目的が取り違えられていることだと指摘する。

「IT化すれば課題が解決すると思われがちですが、ITは技術である前に“情報をどうしたいか”を解決するための道具にすぎません。その技術を使って何をしたいのかという目的が本題なのです。本当のITというのは、コンピュータや先端技術を使いこなすことではなく、どんな情報を誰のためにどう届けるのが最適なのかを考え、それを実現するためのもの。よく考えてみると、手で作業した方がいいものもありますし、人と人が対面で話した方がいい場合もあります」

特にIT化を急ぐあまり、トップダウンでシステムをつくることが決まってしまうと、人をたくさん集めて早く完成させることが重要視される傾向にある。大きなシステムだと完成までに時間がかかるため、現場の担当者も変わってしまう。その結果、目的にそぐわないものがつくられ、最悪の場合ほとんど利用されない無用の長物になることもある。またWebサイトだと、最新技術で見映えをよくすることばかりにこだわり、商品の購入といった最終的な目的への動線がおざなりになることも多い。

「このような課題を解決するためにはお客様に向き合うというより、横に並ぶというスタンスが大切です。お客様の本当の心が知りたいし、長期にわたって役立つアドバイスをしたいので、お客様は何をどう見られて、どう考えられているのかを理解しながら話を進めていく。そうすると最初に話された課題の裏に、実は他の悩みがあるといったことが見えてくるのです。そして、それに対して回答を示すのではなく、なぜそのように考えられるのか、その背景にはどんな問題が潜んでいるのかを探っていきます」

ITに対する意識や考え方を修正し、もっと身近なものにしたいという大島氏。ITとはinformation technologyの略であり、情報の技術ゆえ、本来なら誰の生活にも関係しているものだ。今後はこれまでの経験で得られたITに関する知見を、より多くの人達に伝えるための展開も考えているという。最後に同氏がよく披露するという例え話で締めてもらった。

「魚を釣りたくて困っている人に魚を釣ってあげるのが普通のサポートで、魚の釣り方を教えてあげるのがワンランク上のサポート。私はさらに上を目指したくて、その魚を釣る意味を一緒に考えるということをしたいのです。もし、お腹が空いているのなら違う食べ物の提案でもいいし、魚の研究をするためであれば傷がつかない釣り方を考える方がいい。目的によって方法は変わるので、そんなアドバイスをしたいと思っています」

大島雅生

株式会社スパイラル研究所 代表取締役
https://spiraling.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。