
「地域の人々のために」が原動力
自衛隊の駐屯地が身近にある街に生まれ、高校卒業後は陸上自衛隊に入隊。厳しい訓練の傍ら夜間大学を卒業した後は、自衛隊を辞めてユーラシア大陸を横断し、帰国後は愛知県の県立高校に教師として赴任。その後は営業職などへの転職を重ね、2003年に電気工事業を開始した小阪氏。若くして様々な経験を積んだ小阪氏にとって、いつしか人生の指針となっていたのが「ボランティアへの想い」だ。
「テレビのドキュメンタリー番組で、地雷によって足を失ったカンボジアの子どもたちのために義肢装具をつくり、無償で提供している日本人がいることを知ったんです。それからは、私にも同じようなことができるのではないかと思うようになりました。とはいえ、ボランティアをするためには、たとえば不動産による不労所得を得るなど、まずは経済的な自由を手に入れる必要があるだろうと。そうした考えから、教師を辞めて起業を目指すことにしたんです」
今も小阪氏が師匠と呼ぶ、異業種交流会で出会った電気店の社長にノウハウを学び、当初はエアコンをはじめとする家電の設置をメインに事業をスタート。2003年に設立した有限会社を基盤として、2009年には株式会社エコプランニングを設立。さらに2015年には合同会社3社を設立し、太陽光や風力発電などの再エネ事業にも参入した。
「日本を含めて世界が脱炭素を目指すなか、家庭における再生可能エネルギーの活用は、今後ますます必要になってくると思います。一方で、訪問販売などで太陽光発電を導入したものの、販売元の業者がすぐに潰れてしまったり、連絡がつかなくなったりというケースは少なくありません。世の中の人がもつ太陽光発電のイメージをより良いものにし、家庭での普及を推進するためには、地域密着で何かあればすぐに対応できる業者の存在が大切。当社ではそうした思いから再エネ事業に参入し、現在は太陽光発電システムや蓄電池、電気自動車を急速充電できるうえ、電気自動車から家庭への電力供給も可能なV2Hの施工・販売に力を入れています」
さらには独立当初から目標としてきた不動産賃貸業の他、2018年からは戸建て住宅のプランニングから建築までを請け負うなど、幅広い領域に事業を拡大。そうした事業拡大の背景にも、「社会や地域の人々が抱える課題を解決したい」という明確な理由が存在する。
「我々はエアコンなど様々な家電を設置する中で、多くの住宅の壁や床下、天井裏などを見る機会があります。その際に、断熱材が入っていないなどの明らかな瑕疵や、必要な場所にコンセントやスイッチがない又は家電を設置するスペースがない等、配慮に欠けた現場を目にしてきました。お客様にとっては一生に一度の大きな買い物であるマイホームなのに、明らかな手抜き工事が横行している。そんな状況を少しでも改善できればと考えて、不備がないことはもちろん、お客様のニーズに応じた住宅を自分たちで提供しようと、新築住宅事業をスタートさせたのです」