建築出身者だから行える省エネ計算
「大学では建築学科で学んだものの、建築士として一般的なキャリアを歩んでも何者かになれる道筋が見えなかった」
そう話す尾熨斗氏は、大学を卒業後に大手証券会社に就職。新規ビジネスであった不動産ファンドアレンジメントやREIT主幹事業務などを手掛け、当時の日本では黎明期だった不動産証券化の分野において、若きパイオニアとして存在感を発揮した。
その後は独立して株式会社HorizonXXを設立。2020年には環境・省エネルギー計算センターとして、建築物の省エネ計算や不動産の環境性能認証コンサルティングにビジネスの軸足を置いた。
「日本の建築業界において、省エネ計算はまだ生まれたばかりの分野。新築建築物の省エネ計算を行う会社こそ出てきてはいるものの、既存の建築物の省エネ計算については、実施できる人材や企業がほとんどないような状況でした。一方、証券会社にいた時代に私が専門としてきた不動産証券化、さらにESG投資の文脈では、既存の不動産の環境性能評価が重要な意味をもってきています。当社は、建築士の資格をもつ省エネ計算のスペシャリストが多数在籍し、新築はもちろん、難易度の高い既存の建物、住宅・非住宅とあらゆる建物の省エネ計算に対応できるのが強み。また、補助金の対象となるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)への対応や、CASBEEなどの環境性能評価といった省エネ関連業務を、一気通貫で対応できるのも私たちの大きな強みです」
既存建築物の省エネ計算の難易度が高いのは、新築時の施工図に、その後の設備改修した図面・資料などをパズルのように繋ぎ合わせることが必要で、そのうえCADデータ化するため。建築の意匠や設備に精通する建築業界出身者が集う同社では、そうしたケースでも精緻な省エネ計算を行うことができる。
また、近年のESG投資の流れを受け、企業は自社が所有する不動産の環境評価を無視できない状況だ。REITや不動産投資の分野でも同様に、不動産の環境評価は今や投資家が投資先を決めるための重要な要素となっている。その点、不動産証券化の分野で長く知見を積み上げてきた尾熨斗氏の元には、不動産オーナーやREIT、不動産ファンドの運用会社、企業のESG担当者から、日々、数多くの相談やコンサルティングの依頼が寄せられる。