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小原功裕
OBARA YOSHIHIRO

小原功裕

おばら内科腎クリニック 院長

地域の人々に寄り添う“家庭医”として、
専門的かつ総合的な医療を提供する。
小原功裕
家族のように診察してくれた医師への憧れ

高齢化が加速する日本の医療において、医療費の増大や医療現場の人員不足は大きな課題となっている。近年、そうしたなかで重要性を増しているのが、プライマリ・ケアと呼ばれる総合的なヘルスケアサービスと、それを提供する地域の一次医療機関の存在だ。地域の人々にまさにそうしたプライマリケアを提供する「かかりつけ医」として、埼玉県富士見市で2016年に開業したのがおばら内科腎クリニック。

一人ひとりの腎機能やライフスタイルに合わせた「オーダーメイド透析」をはじめ、最先端の透析治療を導入するなど、腎臓疾患に強みを持つことでも知られるクリニックだ。

院長の小原功裕氏は、小学6年生の頃に原因不明の身体の不調に悩まされた経験を持つ。「突然、左手に力が入らなくなったんです。いくつかの病院で診てもらいましたが1年ほどは原因がわからず、大変に苦しい思いをしました」

そんな少年を救ってくれたのが、親身に診察をしてくれたある整形外科医だった。「その先生は5分ほどの触診で原因を突き止めてくれました。医師としての高い知識や技術もさることながら、まるで家族に寄り添うような姿勢や親切な診察に感動して。そのときに抱いた先生への憧れや感動が、医師を志すきっかけになりました」

その後、日本医大へと進んだ小原氏が専門としたのが腎臓内科だった。左右の腰の高さの位置ある握りこぶし大ほどの臓器である腎臓は、全身を巡る血液を浄化し、不要な老廃物を尿として体外に排出する排出するなど、血液の浄化槽としての機能を持つ。

「たとえば腎不全などは初期ではほとんど症状が出ないものの、早期に見つけて治療しなければ命に関わります。また、腎臓の疾患は、心臓や消化器、目や関節など、ほぼ全身の病気につながります。ですから、腎臓内科では一つの臓器や特定の疾患だけでなく、常に患者さんの全身を診なければなりません。つまり、患者さんの全身の状態や疾患について、広く知っておく必要がある。そうした点で腎臓内科に興味を持ったんです」

2020年4月に新築移転したばかりの真新しいクリニックには、一般的な内科としての診療機能に加え、30床のベッドや個室、在宅で透析を行う「在宅透析」のための指導を行うトレーニングルームなどを備えた透析室も完備。食事や仕事、トレーニングなどをしながらストレスフリーな状態で透析ができるうえ、それぞれの患者の状態を見ながら、適宜、回数や時間を調整していく「オーダーメイド透析」など、透析患者のライフスタイルに合わせた革新的な透析手法を推奨。

さらには日々の徹底した患者の全身管理や、各専門医との連携、半径15キロ圏内の透析患者の無料送迎など、まさに患者に家族のように寄り添った透析医療を提供している。

小原功裕
揺らぐ日本の医療の未来を、地域から支える

小原氏自ら最先端の透析治療に関する著書も出版するなど、同院は透析治療に特化したクリニックとして知られる。一方、前述した通り、総合的な医療を提供する「かかりつけ医」としても、 同院は地域の人々に親しまれている。

「親子はもちろん三代に渡って来院される患者さんも少なくありません。私がスタッフにいつも言うのが、『不調を感じておられたり、病気になった患者さんを自分の家族だと思って接しよう』ということ。総合診療で幅広く、地域の皆さんの健康に寄与していくことも当院の目指すところです。そのためには一般診療においても、内科や小児科の枠にこだわらず、常に最新の治療法などの知見をキャッチアップしていく。そして専門性が高いと判断したケースでは、大学病院や開業医に関わらず、私がそれぞれの分野のスペシャリストとして信頼する医師に直接、患者さんをご紹介するようにしています」

高度に専門化された日本の医療の現場では、科別・臓器別に専門分化されすぎてしまったゆえ常に「たらいまわし」が起こり、患者はもちろん、医療を提供する側にも大きな負担になっている。対して欧米などでは、一人の患者をまさにゆりかごから墓場まで診る「家庭医」の存在が一般的で、多くの医師が総合診療を提供する。小原氏はまさにそうした家庭医のような存在として、すでに地域の多くの人々から頼られる存在となっている。

「たとえば呼吸器内科や泌尿器科、耳鼻科など、各科ごとに東京や埼玉の大学病院に通っているという患者さんは少なくありません。しかし、高齢になればなるほど通院もどんどん負担になりますし、そうしたケースで地域の総合診療が機能しなければ、やがて日本の医療は崩壊してしまうのではないかと思います」

そう話す小原氏のもとには実際、通院が難しくなった高齢の患者からの相談も寄せられ、介護保険を使った在宅医療の提案や往診対応など、できる限りのサポートも行う。

「検査などでもできるだけ当院で完結できるように」と、全身の断層画像が撮影できるマルチスライスCTも設置。診療放射線技師が常駐し、詳細な診断ができる体制を整えている。また、他にも透析機を扱う6名の臨床工学技士や看護師、ヘルパーなど、チーム医療で患者をサポートするのも同クリニックの特徴だ。

「専門性を重視する大学病院などと違い、当院のようなクリニックであれば、職種の領域を超えて医療をトータルに学ぶことができる。ですから、医療事務から患者さんのフットケアまで、私を含めスタッフはできるだけ複数の領域を横断して仕事をしています」

すべては家族のように思う患者のため。腎臓内科のスペシャリストでありながら、総合診療というゼネラリストとして地域の医療に貢献する――。日本の医療の未来にとっては、同院のようなクリニックの存在が不可欠となるだろう。

小原功裕

おばら内科腎クリニック 院長
https://www.obara-clinic.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。