
スムーズな結婚式準備に貢献するONE-Wシステム
「事業を立ち上げた当時は、営業をしても門前払いされることが多く、苦労しました」と語る、システム開発会社「PIEM(パイエム)株式会社」代表取締役の宮城光一氏。通常、結婚式を挙げるまでには、招待客のリストアップや招待状の発送に始まり、式の進行の流れや演出など、さまざまなことを決めていかなければならない。同社の主力サービス「ONE-W(ワン-ダブリュー)システム」は、これらの準備をオンライン上で進めていけるシステムだ。
「従来は、新郎新婦とウェディングプランナーが平均8回ほど直接対面して打ち合わせを行う必要がありましたが、クラウドサービスであるONE-Wは空いている時間にいつでもどこでもできるので、対面での打ち合わせは3分の1程度に減らせます。また印刷会社など、式に関わる婚礼パートナー会社がクラウド上で繋がっているので、FAXがメインだった式場とパートナー会社との取引もオンライン上でスムーズに行えるようになりました」
新郎新婦、式場のウェディングプランナー、パートナー会社、三方の負担を軽減できる画期的なシステムとして2006年に登場したONE-Wシステムだが、業界には「ホスピタリティマインド、おもてなし=アナログ」という固定観念が根付いていたため、初めのうちはなかなか受け入れてもらえなかった。その風向きが変わりだしたのは、スマートフォンが普及した10年ごろから。
「ネット社会に変わったことで導入が加速化し始め、さらに10年代末以降は働き方改革の影響でITを駆使した業務効率化が必要不可欠となり、一層普及が進みました。ウェディングプランナーからは、ミスやクレームが減って精神的な負担が軽減されるとともに、営業提案に集中できるようになったことでよりよいプランニングが実現できるようになったというお声をいただいています」
今では年間約6万組の新郎新婦がONE-Wシステムを利用して挙式している。PIEMは先駆者としてトップを走っているが、同様の準備システムを携えて参入してくる企業も増えた。現在、全国には約3500の結婚式場があり、ブライダル事業の実稼働は2500〜2800件程度。このうちONE-Wシステムを使用しているのは約800件。2023年1月末のシェアは約30パーセントだが、この数字を伸ばしていくことが当面の目標のひとつだ。