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三浦直樹
MIURA NAOKI

三浦直樹

株式会社FUNE 代表取締役

時代のニーズに合わせつつ、日本の葬送文化を守り継ぐ
少子高齢化の影響で、死亡者数が年々増加している日本。時代と共に葬儀のあり方が変容していくなか、葬祭関連ビジネスに求められるものとは。愛知県豊田市に本社を置き、葬送文化の新たな価値を提案している株式会社FUNE代表取締役、三浦直樹氏に話をうかがった。
三浦直樹
家業継承を決意するきっかけとなった祖母の死

「私の人生は、葬儀屋の創業とともにスタートしました」と語る、株式会社FUNE代表取締役の三浦直樹氏。三浦家は愛知県豊田市で生花店を営んでいたが、直樹氏が生まれた1975年に父の一夫氏が葬祭業に転換し、「ミウラ葬祭センター」としてトヨタ自動車とその関連会社の社葬を請け負うことで急成長を遂げた。

「反面、両親は365日24時間休みなしで仕事中心の生活。私には子どものころ遊びに連れて行ってもらった記憶がありません。いじめられたこともありましたし、家業に対する印象は最悪で、絶対に跡は継がないと思っていました」
しかし、専門学校卒業を控えた2月、祖母の死を機に三浦氏はその考えを改めることになる。遺族として間近で見た葬儀の光景は、葬儀の大切さ、そしてそれを執り行う葬祭業が非常に尊い仕事であることを実感させた。

「同時に、動かす物量の規模にも心を動かされました。父の人脈もあり、祖母の葬儀の参列者は1,000人を超えていました。別の業界で自分の力を試してみたいと思っていた私でしたが、経営者になることは嫌ではないし、起業しなくても社長になれるチャンスがあるのだから、それを逃すのはもったいないと思ったのです」
そこで大手百貨店の内定を直前で辞退し、一夫氏に葬儀屋を継ぐ意志を伝えた三浦氏。名古屋市の大手葬儀社で3年間修業した後、ミウラ葬祭センターに入社したが、中に入ってみるとさまざまな問題があることに気づいた。

「父は、祭壇を花で飾るということを全国でも初期に始めたり、出張形式の葬儀が一般的だった頃にいち早く葬儀会館形式に転換するなど、先を見る目がある人でしたが、会社は典型的なワンマン経営。父の号令の元、社員はときとしてすばらしい団結力を発揮するのですが、役割分担ができず、サッカーで言えばボールに全員が群がってしまう感じ。無駄が多く、組織になっていませんでした」

そして、その他制度面での不備について父に改善を要求したことが、若干30歳で三浦氏が代表取締役となるきっかけとなった。
「『文句があれば社長になってから言え』と言う父に、『じゃあやってやるよ』と。そうしたら、本当にあっさりと身を引いてしまった。私も社内もビックリですよ。今にして思えば、気が変わらないうちに跡を継がせてしまおうということだったのでしょうね」

三浦直樹
葬祭業界をリードする、さまざまな新しい試み

三浦氏が代表取締役に就任した2005年、ミウラ葬祭センターはFUNEと名を変え、「感動葬儀。」をコンセプトに掲げて新たなスタートを切った。感動とは「感・即・動」。人に感動を与える儀式を実現するために、感じて即行動に移すことを行動規範としている。
「これは、じつは苦し紛れに生み出したもの。社名変更は私の就任以前に行われたのですが、今は社名が横文字の葬儀社は珍しくないですし、その点でも父は先見の明がありました。とはいえ周知なしに突然変えてしまったので、売り上げが4割も減ってしまいました。取り戻すには、印象に残るフレーズでお客様にサービスを認識していただく必要があったのです。しかし、結果的にそれで弊社の目指す方向が定まりました」

2019年の年間死亡者数は137万6000人を超え、2040年には168万人近くになると推計されている。FUNEは三浦氏のもと、社内環境を整備して高いレベルのサービスを維持しつつ、路線バスのラッピング広告、信託会社との提携による葬儀信託、またイオンモール内に葬儀に関する相談コーナーを兼ねた仏壇専門店の「ギャラリーメモリア」をオープンするなど、業界初となるさまざまな試みを実践してきた。2020年3月には百貨店へも出店している。

「亡くなる方が増えたことで、死について考えることがタブーでなくなり、メディアでも終活という言葉を目にするようになりました。こちらからも情報発信を行うべきと考え、気軽に立ち寄りやすいショッピングセンターへ出店しました」

鉄道会社による沿線での葬儀会館経営など、業界への新規参入が増える一方で、葬儀や供養の簡略化も進んでいる。
「そういう意味では、葬儀はコモディティ化しつつあると言えます。ただもともと供養の形は時代に応じて変わっていくもの。弔いの心が変わるわけではないので、その時々のニーズに柔軟に対応していきたいですね」

その際に必要なのはコーディネート力、そしてワンストップサービス化だと三浦氏は語る。
「膨大な情報の中から、プロとしてメリット、デメリットを総合的に判断し、最適なものを組み合わせて提案する。また、葬儀社が葬儀だけやっていればいい時代は終わりました。たとえば空き家の処分など、あらゆる要望に一カ所で対応できるように事業化していこうと思っています。遺体の処理技術や宗教知識など幅広いスキルが求められる葬祭業は、海外の多くの国では国家資格が必要で、医師や弁護士と同様に社会的なステータスが高い職業です。葬送文化を守っていくことで、日本でも葬祭業を人気職にすることが私の夢ですね」

三浦直樹

株式会社FUNE 代表取締役
https://www.fune.ne.jp
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。