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三根大悟
MINE DAIGO

三根大悟

みね内科循環器科クリニック 院長

日常に寄り添う医療のために、
これからの地域連携を探る
設立から2年。未曾有の事態に全国の企業や医療機関が悲鳴を上げるなか、着々と右肩上がりの成長を続けるみね内科循環器科クリニック。秘訣を尋ねても首をひねる院長・三根大悟氏だが、院の方針やコンセプト、患者への対応を探ると、頷けるものが見えてきた。
三根大悟 ※画像はイメージです
病に対峙し、人生と向き合う医療。
常に“究極の目的”を見据えて。

みね内科循環器科クリニックは、佐賀県では唯一の、同時に全国でも珍しい「本格的な心臓リハビリ室を有するクリニック」である。自然光をふんだんに取り入れた明るい院内の、二階部分にリハビリテーションのための広い部屋がある。健康寿命の延長と生活の質の向上を、医療の究極の目標と考える三根氏。定期的な心臓リハビリの他に、プロ講師を招いて1回500円のヨガやピラティスのクラスも開いていると言う。

「生活習慣病や心臓疾患の患者さんには、歩くことや運動を勧める必要がありますが、具体的に何をどうしたら良いのか、手取り足取り教える機会はなかなかもてません。そこで1つの授業として、ヨガやピラティスをできる場を提供し、院内で安心して運動してもらおうと考えました。都心の病院ではスペースの問題で実現しづらいかも知れませんが、うちは心臓リハビリ室があるので、空いた時間を利用すれば場所代がかかりませんから」と言うアイデアマンである。

「本当は、クリニックを建てる際、建物の周りをウォーキングできるグリーンロードのようなものを作ろうとも計画していたんですよ。公道を歩くことに不安のある高齢患者さんなどが、病院の敷地内で散歩できたら良いなと。敷地内に数カ所物理的な問題があり、残念ながら実現しませんでしたが」

開業間もないため、まだあれこれ手を広げる余裕がない中でも、アイデアだけはどんどん浮かんでいる。しかし、それらが実現しないのは単にその多忙さゆえのみではない。「医療というのは制約の多い世界です。一歩間違うと命に関わるため、それは当然のことなんですが」

例えばリモートでリハビリ指導をするアイデアがあっても、適正に診療報酬を得るためには対面が条件となるため、実現しない。

「ある程度の広さがある場所に、専門の先生がいて、患者さんに来てもらって、という条件が整って初めて医療行為として認められるため、遠隔でリハビリ指導をしても正式な診療報酬にはつなげにくいんです。人口密度の低いこの街でリハビリをしているため、かなり遠方からも患者さんがいらっしゃるので、何とか患者さんの移動の負担を減らしたいんですが」

「送迎バスを循環させるアイデアもありますが、交通手段に困っている患者さんもいるけれど、うちだけでバスまで出すのは難しい。2018年から1年以上、オンライン診療を導入したこともありますが、何と希望者ゼロだったんです。福岡の方では実現したそうですが、佐賀県は、県内すべての病院で、問合せゼロだったそうです。年齢に関係なく、対面主義の患者さんが多い土地柄のようです」

三根大悟
描く理想の“町のお医師さん”像。

両親ともに教育関係者で、医療とは無縁だった三根氏が医師を目指したきっかけは、中学生のころ、母が病に悩んでいたことだった。大学で様々な医療を学ぶなか、子供の頃から思い描いていた内科医でなく、医学として奥深いと感じた循環器科を選択。カテーテル治療やバイパス手術の分野に可能性を感じたのだ。選んだ道での評価は高く、30歳にして、カテーテル治療の実際をライブデモンストレーションする循環器学会に、パネリストとして登壇を依頼されるほどであった。

循環器科の医師として働くなか、縁あって一般内科にも勤務。「もともと、母の病気をきっかけに目指していたのは内科でしたから」。ふつふつと情熱が湧いて、真剣に学んだという。

日々医療に邁進するなか、漠然ともう少し先だと思っていた独立が、数奇な巡り合わせを重ね急に現実味を帯びてきた。流れに抗わず、三根氏は導かれるように開業に至る。「周辺のクリニックや大学病院との連携を考え、この場所がベストだと思っていたら、コンテナハウスに使われていたこの土地が、ちょうど空いたのです」と三根氏は話す。

自宅も近く、子供の送迎の通り道でもあり、近隣の患者と情報共有しやすい場所だ。最近、忙しくてやめていたジョギングを再開したら、「新しいお店ができましたね」「佐賀城のお堀が整備されていますね」「あそこからあそこまで走れば何キロくらいですね」などと、雑談を交じえながら、生活指導を行なえるようになった。道端で患者に目撃されることも増えたと言う。

「気持ちを尊重することは大切ですが、患者さんが嫌がるから必要な薬を増やせないなどのクリニカルイナーシア(臨床的惰性)は避けたい。無意味な様子見はせず必要な医療行為を行い、通院中や通院後に倒れて運ばれる事態をなくしたいと思っています」

「医者が地域住民から信頼されることは、もちろん大切ですが当たり前だとも思っています。同時に大切なのは、大学病院など大きな病院の先生たちに信頼されること。最先端医療に関わる人と常に議論の場をもつことで、地域全体で医療の支え合いと循環を実現したい。そのために、日々勉強です」と、今日も三根氏は昼食を食べながら医療雑誌を読み、帰宅後も専門書を広げている。

地元のサッカーチーム・サガン鳥栖のスポンサー契約も決定した。
「生まれ育った佐賀の街の、文化やスポーツにも深く関わり、今後もより一層街とのつながりを大切にしていきたい。病気の患者さんだけに向き合うのでなく、街へ出て行き、高血圧や生活習慣病を未然に防ぐための健康教室なども開催していきたいと考えています。未病のうちに疾病を封じ、今後つらい思いをする人を減らせたら良いですね」

三根大悟

みね内科循環器科クリニック 院長
https://mine-cl.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。