
発想の転換で生まれた新しいファクタリング事業
企業買収、株式・債券などの投資ファンド組成および運営、住宅ローン、商業施設の開発、そして経営コンサルティングなど、株式会社Shine Artist Investmentの手がける事業は幅広い。
「世界的なカネ余り現象が不動産など一部の産業への過度な資産集中を生み、本当に必要とされるべき場所にお金が回っていないのではないかと感じています。独創的で面白いアイディアをもった若い人材や企業は多いのですが、そのほとんどが資金調達に苦しみ、チャレンジの一歩を踏み出せずにいます。業界にとっては有望であるものの、規模が小さかったり実績が少なかったりすると、大手企業や銀行は融資しづらいのです。そうした事業に対し、小回りのきく我々が資金調達の一端を担い、軌道に乗せるためのサポートをすることは、社会に大きく貢献できる、とても意義のあることだと思っています」
そう語るのは、同社代表取締役社長の河野光輝氏だ。
新規事業の立ち上げに挑む若い人材や企業をビジネスパートナーとしてサポートするなかで、今最も力を注いでいるのが、新しい視点を組み入れた「ファクタリング事業」だという。
「ファクタリングとは、個人や企業が保有する売掛債権を買い取ることで、債務者から入金される予定の資金を先行して提供するビジネスです。例えば建設業などの場合、下請会社は元請会社から資金が入金される前に、日雇い労働者の賃金や資材などの対価を支払わなければならないケースがあります。先に資金を確保できるファクタリングに対するニーズは高く、現在、多くの会社がこのニーズをビジネスチャンスにしようとしています」
すでに競合がひしめく事業に敢えて挑もうとする理由は、同社独自のサービススキームに自信があるからに他ならない。
「通常、ファクタリングは債権者(下請会社)とファクタリング会社の2社間で取引が行われ、債務者(元請会社)に債権譲渡を周知されることはありません。しかし我々は、債務者である元請側と取引をすることで、債権者である下請会社に支払い期日よりも前に対価が得られるようにしました。つまり、アプローチする取引先を下請会社ではなく元請会社に転換したのです。債務者からすればそもそも契約した支払期日よりも早く対価を支払う義務はもちろんありません。そこで我々があいだに入って下請会社の実情や悩みを説明し、これが解消されれば元請側が遂行したいプロジェクトを円滑に進めることができるというメリットがあることを根気強く伝えていきました。そうして何社か取引を進めていくうちに、元請側にも十分なニーズがあることがわかったのです。我々としても、より会社規模の大きい元請側と取引をすることで、資金回収の安全性も保たれますし、バランスが非常に良い。今は支払期間が1カ月程度の案件のみを取り扱っていますが、今後は3カ月などより長期の支払期間の案件にも対応できるようにサービスを広げることで、サポートできる業界を増やしたいと考えています」
プログラマーやSEなど専門知識をもった人が個人事業主として仕事を請け負うケースが増えるなかで、ますます需要は高まる見込みだという。