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子どもからお年寄りまで、最適な医療を届ける
半蔵門駅、麹町駅から徒歩すぐという利便性の高さから、多くの地域住民や会社員に支持されている医療法人社団慈鴻会麹町内科。理事長の河野英雄氏は、日本で最も歴史のある私学病院・東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学病院で痛風と高尿酸血症の診療にあたってきた。その後、複数の院で勤務し、2008年に開院。このとき、なんと御年60歳だった。
「最初は内科だけのつもりだったのに、患者さんから『先生、子どもは診られないんですか?』と聞かれて小児科、『アトピーは診られないんですか?』と聞かれて皮膚科、という風に、どんどん増えちゃってさ」と笑う。現在は内科、皮膚科、アレルギー科、ペインクリニック(麻酔科)、小児科と幅広く診療。子どもからお年寄りまでを診る地域のホームドクターとして、患者一人ひとりの悩みに合わせて医療を届けている。
患者にとって最適な医療を届けるために、新しい医療や薬を積極的に導入するようにしている河野氏。それには保険診療だけでは限界がある。一例として、海外の美容情報にも精通する河野氏は、プラセンタなどの注射をはじめとした自費診療も積極的に取り入れている。
「最近注目されているのが水溶性のビタミンである『ビオチン』の注射です。ビオチンとは『ビタミンB7』とも呼ばれますが、マウスによる研究で皮膚の炎症を防止する因子であることが発見され、『ビタミンH』と呼ばれるようになりました。『H』はドイツ語のHaut(皮膚)に由来します。プラセンタ注射も肌にいいことで知られています。ビオチンは皮膚や粘膜、髪、爪を美しく維持するために大切なビタミンです」
患者の些細な変化を見逃さず、適切な医療機関に紹介
患者の要望に応じて診療科が増えていったという麹町内科。だが、河野氏は全ての病気を自分で診ることに重きを置いているわけではない。「私の手に負えない、知らない病気の際は、しっかりと専門医に紹介します。それは、患者さんに日本で一番良い治療を受けて頂きたいと考えているからです」
開業医が専門医である必要はない、というのが河野氏の考えだ。出身校である東京慈恵会医科大学を中心に連携を強化し、クリニックのスピード感が必要な症状なのか、大学病院の施設でないと対応できない症状なのかを総合的に判断して、最適な医療機関を紹介する。この方針が、ある患者の命を救うことにつながった。
「ある50歳の男性患者が、胃カメラを希望して来院されました。すると、血液に異常が見られました。しかし、本人の自覚症状はないし、詳しいことは私では分かりません。そこで、東京慈恵会医科大学の血液内科を紹介して検査してもらうことにしました。12月の繁忙期だったので、検査は年明けにすることを二人で決めてその日は別れたんです。そしたら、年末にその方は倒れ、救急車で運ばれてしまいました」
ただでさえ多くの医療機関が休みとなり、受け入れ要請が数カ所に集中しがちな年の暮れ。「近所に受け入れてくれる病院がなく困っている」とその患者からのSOSの電話に河野氏が動いた。
「東京慈恵会医科大学に入院させてもらうことで話を付けて、すぐに検査を行うことに。すると、非常に珍しい血液の病気であることが判明しました。あと一歩遅かったら、もう助からなかったかもしれない。大事には至らず本当に嬉しかったですし、自分でも『よく気づいたな』と思いました」
そんな誠心誠意寄り添ってくれる河野氏を信頼して、15年間通い続ける患者も。最初は病院の近くに勤めていたことがきっかけで通院を始めたが、その後転職し、横浜や埼玉、千葉などに引っ越してからも足繁く通う患者もいるという。一日の外来患者数は多いときで150~160人。患者たちの厚い信頼に応えるためにも、現在76歳の河野氏の目標は、麹町内科を100歳まで続けることだ。
「私が休むことで患者さんが困らないためにも、年齢に負けず、100歳まで開業し続ける覚悟です。私の父と兄も整形外科医。父は兄には何も言いませんでしたが、私には『お前は医者に向いている』とよく言っていました。理由は聞きませんでしたが、きっと私が人好きで話好きであることを言っていたんじゃないかと。年齢を重ねても根っこの部分は全く変わらないですね。些細な症状を見逃さないように患者さんとじっくり対話し、わからないことはすぐ確認、どうするかを考えます。多くの方が来やすいクリニックをこれからも続けていきたいと思います」