Powered by Newsweek logo

米谷雅之
KOMETANI MASAYUKI

米谷雅之

ジーニーラボ株式会社 代表取締役社長

顧客目線を重視したシステム開発で、
間接材購買の常識を変える。
働き方改革が叫ばれる昨今、業務の効率化は企業の重要なミッションの一つ。この分野で大きな役割を果たしている企業のひとつが、ジーニーラボ株式会社だ。大手製造企業向けに間接材購買システムを企画・設計・開発・運用し、クラウドサービスとして提供する同社の代表取締役社長、米谷雅之氏に話を聞いた。
米谷雅之
世の中に役立つために、期待を上回る

間接材購買システムは、会社によっては全社員が使う場合もあるため、業務上の多様な要件にフレキシブルに対応し、操作が容易であることも求められる。そもそも間接材とは、経費の対象となる工具や保安資材、消耗品や燃料などを指す。同社が顧客対象としている製造業の場合、生産に直結する原材料や部品などは直接材、それ以外の購買品が間接材となる。

そのため間接材は、会社で一括調達するのではなく、社員が個別に、あるいは部署単位で調達される機会が多い。同じ品物を購入するのに、支店や部署によって購入先が異なるケースも珍しくない。少量ずつ何度も同じ品物を購入してしまうといったことも起こりうる。管理の一元化が難しいからこそ、間接材は、コスト削減のハードルも高いジャンルと捉える人も多い。

前職のソフトバンクBB(現SB C&S)で、コスト削減や内部統制、業務効率化を目的としたサービスやシステム導入に従事していた米谷氏は、約10年もの間、その最前線で間接材購買システムの問題点と向き合ってきた。当時、システムを導入する側だった立場の米谷氏は、この状況をどのように見ていたのだろうか。

「既存の購買システムを数多く研究してきましたが、気の利いたシステムがありませんでした。その原因は、お客様の細かな要望をスピーディにすくい上げて実装することより、売上拡大のために大きな機能の開発に熱をあげる会社が多く、ユーザーの利便性を高めることが後回しにされていたからではないでしょうか」

ソフトバンクBB在籍時代、満足を得られる十分な機能を備えた間接材購買システムが世の中にないことに違和感を抱き、ここにビジネスチャンスを見出した。そして、定年を目前に控えた59歳というタイミングで起業を決意した。

「お客様の『こういうものが欲しい』という声を現実にして、世の中の当たり前を変えていきたい。これを仕事人生の最終章にしよう」
そう考えて起業したものの、間接材購買システムの開発は、一朝一夕にできるものではない。顧客の期待を上回り、社会に貢献したいという高い志だけが、米谷氏の背中を押し続けた。

米谷雅之
買い手と売り手が、Win Winとなるビジネスの場

さまざまな試行錯誤を経て、同社の主力サービスとなったのは大きく分けて二つ。ひとつが、外部ECサイトと連携し、リアルタイムで商品を検索・閲覧・注文できる「カタログモール」もう一つが、見積りの取得や注文・購買取引が行えるクラウドサービス「ジーニー」

カタログモールの特長は、ひとつのプラットフォームから各カタログベンダーの最新カタログをリアルタイムで横断的に検索し、その結果を価格の安い順に閲覧・注文ができることにある。社内の承認も各社ごとではなく一度で済む。昨年、「横串検索機能」として、特許も取得したシステムだ。
 
見積の依頼・購入先選定・承認などのプロセスをワンストップで処理できる「ジーニー」は、この春「ジーニー2.0」として機能を拡張する予定だ。常にバージョンアップを繰り返してきたシステムを強化し、AIを駆使した効率化、自動化機能を実装する。

これら2つの主力サービスに加えて、夏には買い手と売り手をつなぐビジネスプラットフォーム機能「ビズハイウェイ」をリリース予定。間接材購買取引をオープンなマーケットとして捉えるサービスだ。

会社設立からわずか5年しか経っていないが、顧客目線を重視するシステム開発が評判となり、昨年の時点で、同社のソリューションを利用する企業は220社を突破。業績を順調に伸ばし続ける米谷氏だが、起業したときの初心を忘れることはない。

「我が社のシステムを導入したお客様から、『感激した、感動した』という言葉をいただく機会が多いことが本当に嬉しい。この瞬間が、仕事に取り組むうえで、最高のモチベーションになっています」

システム開発を通じて、中小企業の新たな販路開拓の支援に注力しながら、大手のシステムやOA機器関連会社との業務提携など、先を見据えた施策を着々と進めている。「昨今はSDGs の取り組みが、各企業で活発になっています。当社も収益の一部を寄付することで、ビジネスプラットフォームを利用していただいているお客様と共に、社会に貢献していきたいと思っています」

社会に役立つ革新的なビジネスモデルを確立し、顧客に感動と感激を提供するジーニーラボ。同社の間接材購買システムを通じて、ビジネスの無駄をなくし、「当たり前」を変えていく米谷氏の挑戦に、期待したい。

米谷雅之

ジーニーラボ株式会社 代表取締役社長
https://jienielab.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。