選ばれる薬局には、良いスタッフと心地よい環境が必要
「弊社は『私たちは関わるすべての皆様と夢・喜び・心からの感謝の共鳴を志しています』というクレドを設定しています。我々だけが良くて成り立つなんてことは、あり得ません。患者様やスタッフをはじめ、お世話になっている医療機関や問屋からも『ピーエフシーで良かった』と思ってもらえるよう努めています」
そう話すのは、代表取締役の小島真氏。祖父・父ともに薬剤師という家系に育ち、自身も自然と薬学の道へ。薬剤師の資格は取得したものの、「大きな世界で色んなことを経験したい」と、薬科大学を卒業後は山之内製薬(現アステラス製薬)にMRとして就職した。営業で病院を駆け回っていたが、独立することになったドクターから声を掛けられたことで、薬局を起業することに。1996年のことだった。
薬局は特殊な事業で、八百屋や魚屋のように地域に根付いているものの、食品のように価格競争ができないため、同業他社と差別化がしにくい。そんななか、小島氏は「地域の人に選ばれる存在になるためには“スタッフの質”が重要」と考えている。一緒に働く仲間との関係や職場環境づくりには特に注力しており、人手が足りないときにはひとりの薬剤師として率先して現場に立っている。現場の様子やスタッフの気持ちを肌で感じることができ、経営のヒントも見つかるという。
「スタッフ間に不平不満やわだかまりがあると、患者様や関わる方に喜んでもらえる薬局には成り得ません。心地よい環境であって初めて、まわりに気遣いができるし、患者様に心からの笑顔を提供できるのです。そして、心地よい環境というのは、会社やまわりが提供してくれるものではなく、本人の日々の努力の積み重ねで形成されていくもの。“いかに継続してまわりを心から思いやれるか”が重要です。それを実践できる仲間を迎え入れるために、80名のスタッフ全員の採用面接に立ち会い、この話をしてきました」
薬局事業は、関わりのある病院が閉まった場合共倒れになるため、不安定な環境にある。また、国内には5万店以上の薬局があるが、今後は半分程度に減ると言われており、企業努力をしない薬局はどんどん淘汰されていくという。
「薬剤師の在り方も変わっていきます。かつて薬剤師資格は『持っていれば一生困らない』と言われていましたが、これからはそうはいきません。薬局の数は減っていくのに薬剤師の数は増えていくので、需要と供給のバランスが崩れます。薬剤師も一人の立派な社会人でなければ、必要とされなくなるのです」