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小林正博
KOBAYASHI MASAHIRO

小林正博

株式会社ホロンシステム 代表取締役会長

システム開発ビジネスからロボットメーカーへ、
30年先の変身を目指した基礎づくり。
「夢をもって30年先の会社の基礎をつくる。それが会長である私の仕事だと思っています」と語る、株式会社ホロンシステム代表取締役会長の小林正博氏。今年で創業35周年を迎えたホロンシステムは、金融や物流、製造業界の大手・中堅企業や諸官庁をターゲットとしたITシステム開発および保守を軸に、ソリューション販売やクラウドビジネスなどの各種BtoCビジネスを展開している。
小林正博
画像はイメージです。
未来の日本社会では人間味のあるロボットが求められる。

経営コンサルタントとして活躍し、「小さな会社の経営学」「小さな会社の社長学」「小さな会社の成長学」(すべてPHP研究所)の3部作をはじめとするビジネス書のベストセラー、ロングセラーの著者としても知られる小林氏。51歳でホロンシステムを設立したのは、福井県にある計算センター会社の社員研修を受託したことがきっかけだった。
「ある時、教え子である3人の若手社員が新しい会社づくりを目指したいと、私のもとに相談に来ました。話を聞いて大いに可能性を感じたので、非常勤社長を引き受けるとともに、半額出資をして起業することにしたのです」

創業3年目にバブル経済が崩壊し、4年目には大型汎用コンピュータからPCへのダウンサイジングの潮流がアメリカから押し寄せるなど、相次いで大きな危機に見舞われたものの、創業時から行っていたリスク分散と資金繰りの強化によって乗り越えると、以後はIT化の波に乗って着実に成長。近年は、クラウドを活用した助成金申請の書類作成サブスクリプショナルビジネスやERPパッケージなどの新規事業も、意欲的に展開している。

また、創業以来、エンジニアでも出身学部を問わず採用して一から育てることを継続しており、女性も積極的に採用。国が整備する3年程前から児童手当制度を導入するなど、斬新な取り組みを行ってきた。
時流を的確に読み、それを経営に反映させることによって会社を大きく育ててきた小林氏が、30年後に見据えるものとは何だろうか。

「30年先の社会は、今以上の少子高齢化は避けられません。人口が減り、ひとりぼっちの人間が増えます。老人の介護の問題も一層深刻になります。もちろん外国からの労働者受け入れもひとつの手ではありますが、言語や習慣の違いがあってスムーズにはいかない。となると、機械に頼ることになるでしょう。機械といっても、単に自動で動くものではなく、二足歩行ができ、5本指を備え、人間同様の皮膚の手触りがある、人間味のある人型ロボットです」
小林氏は未来の人型ロボットには、以下の3種が求められるだろうと語る。
「まずは人を癒やすロボット。次に人間の介護やボディメンテナンスができるロボット。マッサージなどを行うことができるものです。3つめが、家事全般をこなし、日常生活を支援できるロボット。各々が会話もできれば、人間のよきパートナーとなることができるでしょう」

小林正博
社会貢献を実感できるビジネスに変身させたい。

小林氏は30年後までに、ホロンシステムをそうしたロボットの開発や販売ができる会社にしていきたいと考えている。これには、別の狙いもあるのだという。

「30年先の社会で企業が高い評価を得るためには、売上や利益ではなく、社会貢献度の高さがキーポイントになると思っています。利益の何パーセントが社会貢献に使われたかがカウントされ、グローバル企業はそれをどうコントロールするかを考える。そんな時代になると思っています」

人間の日常のパートナーとなり、さまざまな場面で直接サポートできるロボットを世に送り出せば、多大な社会貢献となる。
「今も社会貢献には尽力していますが、当社のビジネスである社会や企業のインフラや基幹システムの開発は、裏で世の中や会社を支えている縁の下の力持ち。一般の人々の目に触れる機会がありません。これを表に出して、すべての人々から『ありがとう、助かっています』と言ってもらえるビジネスに変身させたいのです。そうすることで、社員たちも社会貢献しているという感覚が肌で感じ取れるようになり、モチベーションもいっそう高くなるでしょう」

30年後のロボットメーカーへの転換に備え、すでに今年から、全社員に対してAIについての基礎研修も実施している。今後10年間はAIの資格取得者を増やしていき、最終的にはAIプランナーを育成して会社の看板にしたいと小林氏は語る。

「システム開発はいずれAIに取って代わられると考えているので、それに対応するためでもあります。AIはあくまでも道具で、使うのは人間ですから、システムとAI技術者を必要とする企業にコンサルできる体制をつくります。そして10年後にAIコンサルティングができる会社を目指して、AIプランナーを育成したい。それが30年後のロボットメーカーにつながると思っています。その基礎づくりをして次世代に伝えるのが会長の仕事と心得ています」
人生のモットーは「生涯現役、生涯前進、生涯青春」だという小林氏。87才を過ぎても、その挑戦意欲は衰えることを知らない。

小林正博

株式会社ホロンシステム 代表取締役会長
https://www.holon.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。