未来の日本社会では人間味のあるロボットが求められる。
経営コンサルタントとして活躍し、「小さな会社の経営学」「小さな会社の社長学」「小さな会社の成長学」(すべてPHP研究所)の3部作をはじめとするビジネス書のベストセラー、ロングセラーの著者としても知られる小林氏。51歳でホロンシステムを設立したのは、福井県にある計算センター会社の社員研修を受託したことがきっかけだった。
「ある時、教え子である3人の若手社員が新しい会社づくりを目指したいと、私のもとに相談に来ました。話を聞いて大いに可能性を感じたので、非常勤社長を引き受けるとともに、半額出資をして起業することにしたのです」
創業3年目にバブル経済が崩壊し、4年目には大型汎用コンピュータからPCへのダウンサイジングの潮流がアメリカから押し寄せるなど、相次いで大きな危機に見舞われたものの、創業時から行っていたリスク分散と資金繰りの強化によって乗り越えると、以後はIT化の波に乗って着実に成長。近年は、クラウドを活用した助成金申請の書類作成サブスクリプショナルビジネスやERPパッケージなどの新規事業も、意欲的に展開している。
また、創業以来、エンジニアでも出身学部を問わず採用して一から育てることを継続しており、女性も積極的に採用。国が整備する3年程前から児童手当制度を導入するなど、斬新な取り組みを行ってきた。
時流を的確に読み、それを経営に反映させることによって会社を大きく育ててきた小林氏が、30年後に見据えるものとは何だろうか。
「30年先の社会は、今以上の少子高齢化は避けられません。人口が減り、ひとりぼっちの人間が増えます。老人の介護の問題も一層深刻になります。もちろん外国からの労働者受け入れもひとつの手ではありますが、言語や習慣の違いがあってスムーズにはいかない。となると、機械に頼ることになるでしょう。機械といっても、単に自動で動くものではなく、二足歩行ができ、5本指を備え、人間同様の皮膚の手触りがある、人間味のある人型ロボットです」
小林氏は未来の人型ロボットには、以下の3種が求められるだろうと語る。
「まずは人を癒やすロボット。次に人間の介護やボディメンテナンスができるロボット。マッサージなどを行うことができるものです。3つめが、家事全般をこなし、日常生活を支援できるロボット。各々が会話もできれば、人間のよきパートナーとなることができるでしょう」